寄り付きの東京株式市場で日経平均は小反発。前週末の米国株が上昇したことに加え、日経平均は前週に約5%下落し短期的に売られ過ぎとの見方から押し目買いが先行した。
4日に4―9月期利益予想の上方修正を発表した三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>が買われるなど銀行株が堅調。情報・通信、証券もしっかり。
米財政問題をめぐる協議に具体的な進展はなく、買い一巡後は上値が重い。債務上限引き上げの事実上の期限とみられる17日までに与野党がまったく合意に至らないリスクは低いとの見方が多いものの、米議会の混乱が長引けば経済への悪影響も出てくるとみられている。11日にオプションSQ(特別清算指数)算出を控え1万4000円の攻防も意識されている。
<3831> PBITS 1625 -18パイプドビッツ<3831>は、「情報資産の銀行」 をコンセプトとして、クラウド型の「スパイラル」など情報資産プラットフォーム事業を展開する企業である。
30日に2014年2月期の上期(3-8月)の連結業績を発表。売上高が12.04億円、営業利益が2.22億円、経常利益が2.24億円、純利益が1.36億円と、ほぼ計画線に沿った水準で着地した(前年同期は単独決算のため比較していない)。スマートフォンやクラウドの企業利用の拡大などを追い風に、情報資産プラットフォーム事業が引き続き好業績を牽引した。
同社が重要な経営指標と位置づける「有効アカウント数(継続利用中の顧客数)」については、第1四半期末の5663件から6597件へと拡大し、今第2四半期で934件増(約16%増)となった。主力の「スパイラル」では第1四半期末比74件増の2984件へと、会計クラウド「ネットde会計」および「ネットde青色申告」では同40件増の1549件へと、それぞれ順調に有効アカウント数を増やしたほか、グループウェア機能とWebサイト編集機能を備えた「スパイラルプレース」では無償版から有償版への切り替えが奏功、有償版の有効アカウント数が第1四半期末の746件から1488件へと今第2四半期でほぼ倍増となった。
また、5月に実施された「AKB48 32ndシングル選抜総選挙」では、過去最高の264万票超の投票数があった中で、第三者機関として投票システムの構築・提供及び結果集計を目立ったトラブルなく遂行するなど、ネット選挙の次の段階として期待されるネット投票の実現を将来的に見据えて着実に事業展開している。なお、政治・選挙プラットフォーム「政治山」においては、第2四半期中に立て続けに新サービスを開始した。
通期業績は4月に発表した計画を据え置き、売上高30.00億円、営業利益7.00億円、経常利益7.00億円、純利益4.20億円とした。
<9204> スカイマーク 345 -4小幅安。4-9月期営業利益は、前年同期比55%減の30億円程度だったようだと報じられている。円安の進行で燃油費負担が膨らんだほか、格安航空会社(LCC)との運賃競争が激しくなったことも採算の悪化につながったようだ。前年同期比では大幅減益となったものの、4-6月期の営業損益は25億円の赤字であったため、過度な業績懸念が後退する格好にも。
<9984> ソフトバンク 7400 +130反発。7日には通信キャリア3社が9月の携帯電話純増数と累計契約数を公表するが、9月20日からの新型「iPhone」効果がどの程度表れているかが注目される。また、週末こそ利益確定の流れから3%超の調整を余儀なくされたが、時価総額2位はキープしている。週末段階で三菱UFJ<8306>とは740億円の開きであり、再逆転も考えられる。しかし、2位を死守する底堅さが見られれば、全体相場に対しても売り込みづらくさせそうだ。
<7508> GセブンHD 771 0G−7ホールディングス<7508>は、「オートバックス」「業務スーパー」のフランチャイジー国内最大手。主軸のオートバックス・車関連事業および業務スーパー・こだわり食品事業に加えて、新たな収益源としてアグリ事業、リユース事業にも注力している。2013年3月31日現在、9つのグループ会社で合計226店舗を展開。
グループ会社であるG−7アグリジャパンは、合弁会社G7 AGRI VIET NAM CO,LTD.(以下、G7アグリベトナム)を通じてベトナム・ダラットで菊花の生産を開始し、2013年12月中旬より自社が経営する農産物直売所「めぐみの郷」の全18店舗で販売を行うことにした。
「めぐみの郷」では切花の高需要期(お盆、彼岸など)において菊の売上は毎年30%増加している。一方、日本国内の菊の生産量は高齢化と後継者不足によって年々減少しているため、ベトナム・ダラットでの自社生産に踏み切り、菊の安定供給を図ることにした。
ダラットはベトナムを代表する菊の生産地で、すでに日本の市場に合った高品質な菊が生産されている。G7アグリベトナムはダラットに約18ヘクタールの農場を取得しており、第1次計画として1ヘクタールを造成、そのうちの1,536平方メートルで9月下旬より栽培を開始した。日本への初出荷は12月中旬の予定で、年間12万本~16万本を目指している。
<3664> モブキャス 1845 +305買い気配スタートで大幅反発。今後1年で、韓国市場に新作ゲーム50本を投入すると報じられたことが材料視されている。現在はサッカーゲーム1本のみだが、自社の配信基盤を使って、他社製も含めゲームタイトル数を増やすと。また、韓国での会員数を現在の35万人から100万人へと増やす方針とも伝わっており、海外事業の拡大期待が先行へ。
<8316> 三井住友 4790 +120買い先行。先週末に上半期業績予想の上方修正を発表している。純利益は従来予想の2900億円から4800億円に増額している。第1四半期の段階で2883億円を計上、上方修正は大分織り込まれていたものの、5000億円近い水準までの上方修正にはポジティブとの見方が優勢に。SMBC日興など子会社群の好調が想定以上の上振れの背景との見方にも。なお、金融株を中心とするバスケット売りフローは、本日も継続しているとの観測がある。
<1983> 東芝プラ 1694 +150上昇率トップ。JPモルガンでは投資判断を「ニュートラル」から「オーバーウェイト」に格上げ、目標株価も1300円から1850円にまで引き上げている。国内外の電力投資拡大期待、事業の安定性や株価のディフェンシブ性の高さ、原発再稼働やリニア建設投資などのテーマ性などを評価ポイントとしている。なお、東芝が英で原発会社を買収と伝わっていることなどもプラス材料視へ。
<3386> コスモ・バイオ 3585 +20買い先行。今週は、7日にノーベル医学・生理学賞、8日に物理学賞、9日に化学賞などの発表が予定されており、あらためてノーベル賞関連の一角として物色が向かっている。医学・生理学賞では、「オートファジー(自食作用)」の仕組みや機能を解明した大隅・東工大特任教授と水島・東大教授が候補して挙げられており、思惑的な物色が強まる格好に。
今日の東京市場は、こう着感の強い相場展開の流れが続きそうである。4日の米国 株式相場は、2014年度予算と債務上限問題を巡る交渉進展への期待から上昇。シカゴ 日経225先物清算値は大証比160円高の14200円であり、これにサヤ寄せする格好から のリバウンドは期待される。ただし、政府機関閉鎖の解除のメドは依然として立って いない状況であり、自律反発をみせた後は手掛けづらい状況になりそうだ。 日経平均は先週の下げで支持線として意識されていた25日線を割り込んでいる。米 財政問題が直接の要因であり、協議の進展が見られればリバウンドは容易であろう。 ただし、本命である債務上限問題が不透明のなか、来週・再来週からは7-9月期の決 算発表シーズンに入る。アベノミクス効果によって上方修正期待などが高まる可能性 がある半面、決算内容を見極めたいとする様子見姿勢によって、調整基調が継続する ことも考えられよう。 物色の流れとしては時価総額2位に浮上し、ムードメーカーの役割を持つソフトバ ンク<9984>に関心が集まりやすいだろう。7日には通信キャリア3社が9月の携帯電話 純増数と累計契約数を公表する。9月20日からの新型「iPhone」効果がどの程度表れ ているかが注目される。また、ノーベル賞受賞者が発表され、7日には医学・生理学 賞、8日は物理学賞、9日は化学賞が予定されている。先週は思惑的な売買が活発だっ たが、昨年のiPS細胞の時のようなインパクトへの期待は大きいだろう。 また、インド高速鉄道計画で、日印両政府が7日にも共同事業化調査の覚書に調印 することがわかったと報じられており、新幹線の関連など。そのほか、米国では8日 の非鉄大手アルコアから決算シーズンに入る。週末にはJPモルガン・チェース、ウェ ルズ・ファーゴなど金融の決算を控えており、業績相場への流れが次第に強まること になる。 [株式市場強弱材料] 強気材料 ・政府、公的年金の成長企業への投資を検討 ・シカゴ225先物清算値14200円、大証比160円高 ・NYダウ続伸、債務上限問題の交渉進展に期待 ・米半導体SOX指数、上昇 ・欧州株式市場、イタリア政局安定に向けた期待で堅調 ・ドル/円、円安進行(97円24-28銭) ・三井住友<8316>、上期最終利益を大幅に上方修正 ・LMEニッケル大幅上昇 ・バルチック海運指数、3日続伸 弱気材料 ・米政府機関閉鎖から1週間も解除の目処立たず ・米VIX(恐怖指数)、財政問題を背景に高水準 ・TPP交渉、「年内妥結」の道筋示せず ・ユーロ/円、円高進行(131円95-99銭) ・NY金続落、リスク回避姿勢の後退で売り優勢 ・東証REIT指数、反落 留意事項 ・上場企業中間配当5年ぶり最高額、収益回復で ・革新機構、ビッグデータ用ソフト会社に出資 ・ブリヂストン<5108>、軽や小型車向けタイヤ生産費2割削減 ・東芝<6502>、英で原発会社買収へ ・NY原油先物、小幅上昇(1バレル=103.84ドル) ・米長期金利、上昇(10年債利回り2.650%) ・長期金利、上昇(10年債利回り0.650%) ・日銀9月マネタリーベースと日銀との取引 ・9月携帯電話純増数と累計契約数を公表(携帯3社) ・10月日銀金融経済月報 ・8月景気動向指数 ・9月日銀コール市場残高 ・米8月消費者信用残高 ・APEC首脳会議(8日まで) ・ノーベル医学生理学賞、受賞者発表 [サポート&レジスタンス] 終値 14024 5日移動平均 14259 標準偏差+2σ 15059 転換線 14381 25日移動平均 14270 レジスタンス(2) 14245 レジスタンス(1) 14135 ピボット 14039 基準線 14003 100日移動平均 13999 サポート(1) 13929 サポート(2) 13834 先行スパンB 13752 先行スパンA 13726 標準偏差−2σ 13481 200日移動平均 12930
和井田製作所<6158、株価 - チャート>は金型関連研削盤と切削工具関連研削盤の2本柱で展開。ダイヤモンド砥粒を使って加工する特殊研削盤に強みを持つ。
業績の足を引っ張ってきた中国向けの需要低迷が下期に歯止めが掛かり、国内もアベノミクス効果による設備投資の回復期待が高まっている。
14年3月期の連結業績予想は、営業段階から2期ぶりの黒字転換予想。経常損益は1億200万円の黒字(前期実績は7100万円の赤字)を見込んでいる。足元の状況については「11月8日の中間期決算、11月25日のアナリスト向け説明会で明らかにしたい」(経理部)という。
前期6円を実施した中間期配当は見送ったが、期末配当は4円を予定している。
年間では2円の減配となるが、減配を嫌気した売りはすでに消化。テクニカル上では、上値抵抗ラインの75日移動平均線を9月に回復以降、押し目買いを順調に集めている。
4日の終値は、前日比15円安の410円。
アイ・ケイ・ケイ<2198、株価 - チャート>は婚礼事業が主力。出店候補地は人口15万人以上の都市をターゲットに、年間1-3店舗をめどに新規出店を進めている。
13年10月期予想の連結経常利益は前期比1.9%増の18億8000万円。11月の新規出店(長崎県佐世保市)に向けた準備費用が利益を抑制するが、「前期に増設した石川県金沢の施設がフル稼働し、営業データベースの活用による受注組数の向上、既存店のリニューアル効果などを見込む」(経営企画部)という。
14年10月期は、佐世保の施設が通年で寄与するほか、来春に予定している福岡拠点の増床効果も挙式組数の増加につながり、好業績を持続する公算が大きい。
テクニカル上では、直近高値(820円、9月27日)に対して7%前後の押しを入れているが、期末一括配当は5円増配の20円を予定。予想配当利回りは2.6%台と高く、今月28日の権利付き最終日に向けて、配当狙いの買いが期待され、下げも最終局面にあるようだ。
4日の終値は、前日比14円安の776円。
ショーワ<7274、株価 - チャート>はホンダ<7267、株価 - チャート>系の自動車部品。円安で輸出採算が改善し、9月17日には14年3月期の連結業績予想を増額。経常利益は前期比50.9%増の210億円を見込んでいる。想定為替レートは1ドル=94円。現状の為替水準で推移すれば増額の可能性を残す。会社側は「10月29日に13年9月中間期決算とアナリスト向け説明会を予定している」(IR担当者)という。
なお、海外への生産シフトを進めるなか、国内生産拠点の再編とコスト競争力の強化を目指すために名古屋事業所を閉鎖。埼玉工場への集約を計画している。今月14日までに特別早期退職支援制度で300人程度の希望退職を募るが、業績への影響は軽微としている。
期末配当の14円は継続、年間では2円増配の28円を予定している。予想配当利回りは年2.2%台。中・長期的には買い場が近づいているようだ。
4日の終値は、前日比10円安の1242円。
沢藤電機<6901、株価 - チャート>は発電機を軸にトラック向け中心の電装品ほか、発電機や車載用冷蔵庫なども手掛ける。
14年3月期予想の連結営業利益は前期比48.7%増の6億円、経常利益は同2.1%減の6億7000万円。「期初段階では、自社ブランドの発電機の拡販や原価低減効果を想定。足元の状況については、11月8日発表予定の中間期決算で明らかにする」(経理部)という。
営業利益の伸び率に対して、経常利益の伸び率が低いのは、前期に営業外で計上した為替差益がなくなるため。本業では、日野自動車<7205、株価 - チャート>やデンソー<6902、株価 - チャート>向けに電装品が堅調に推移。中国建機向けの持ち直しが確認できれば、収益の上積みも想定される。
期末一括配当は1円減配の5円を予定しているが、予想配当利回りは2.0%台と比較的高く、株価をサポート。PBRは0.6倍台と割安で自律反発の動きが期待される。
4日の株価は、前日比変わらず237円ザラバ引け。
日本写真印刷<7915、株価 - チャート>は4日、導電材料の銀ナノワイヤーインキの加工技術の開発促進を目的として台湾のタッチパネル製造会社TPK子会社のTPK Film Solutionsが発行する新規普通株式625万株(625万ドル、約6億2500万円)を取得すると発表。同社では、今回の資本参加により、導電材料のひとつである銀ナノワイヤーインキの量産化に向けた技術開発を進め、タッチパネル分野における事業範囲の拡大を目指すとしている。
4日の終値は、前日比82円高の1603円。
エーアイテイー<9381、株価 - チャート>が4日、10月31日を基準日、11月1日を効力発生日として、1対2の株式分割を行うと発表した。
同時に13年8月中間期(3-8月)連結決算を発表。通関受注の拡大効果や円安による為替換算効果などから、純利益は前年同期比44.1%増の4億7700万円となった。
14年2月期の連結業績予想は従来見通しを据え置いた。純利益予想は前期比15.6%増の8億9800万円。
4日の終値は、前日比300円高の1790円。
千代田化工建設<6366、株価 - チャート>は4日、三菱商事<8058、株価 - チャート>の子会社でガボン共和国で油田開発を手掛けるエムピーディーシー・ガボン(以下、MPDC社)の株式2475株(発行済み株式数の25%)を取得したと発表。
MPDC社は、同国海上の2鉱区(ボードロア・メロー鉱区、ロチェ・イースト鉱区)のいずれも50%の権益を保有。ロチェ・イースト鉱区では来年度以降に増産を行う計画もある。同社では、MPDC社に出資することで、オフショア・アップストリーム事業の業務プロセスおよびニーズの獲得を図る一方、資本提携した英Xodusグループの知見を相乗的に融合させ、顧客に対し調査、検討、計画、概念設計、基本設計、建造、施工まで一貫したサービスの提供を目指す。
4日の終値は、前日比17円高の1123円。
金融商品への課税制度が14年1月から変更されることに伴い、株の売却益に対する税率が10%から20%に上がる(詳しくはこちらの記事を参照「なぜ株で儲かった人は年内に売却したほうがいいのか?」。つまり単純にいえば、今年中に売却すれば、来年になって売却するより税金は半分で済むというワケだ。
金持ちほどぬかりナシ!
そこで、一般庶民以上に増税に敏感なのが富裕層。水面下で大株主たちは節税対策を粛々と進めている。
株式大量保有報告書によれば、楽天の三木谷会長は夫婦で保有する3600万株を年内に売却することを信託銀行に委託し、7月末時点で全株の売却を終了。これだけの保有数ともなれば、数十億円の節税効果になる。
下に挙げたように、他にもオーナー経営者たちが密かに節税売りを実行中で、年末にかけてさらに活発化する可能性大だ(下表は平均譲渡価格を1000円と推定した場合)。
*今発売中のダイヤモンド・ザイ11月号には、特別付録の小冊子「投信の税金ゼロ口座、NISAフル活用ガイド」が付いており、NISAの詳細から、投資経験や資産総額などから見たNISA口座を開くべき金融機関や投資すべき具体的商品について、わかりやすく紹介。また、年内限りの株や投信の税金を半減またはゼロにする裏ワザも紹介している!
アベノミクス相場で久々にオイシイ思いをしたという人は、せっかくだから税金面でもオイシイ思いを享受すべきだ。年内にいったん売っておけば、税負担が来年以降の半額で済む(後述のケース2)。数十万円のリターンにつき数万円の違いが生じることになるので、面倒でもいったん節税売りに踏み切るのが得策だろう。
含み益が多い人ほど年内の売却が有利に!
そして、そういったケース以上に油断大敵なのは、ケース1に該当する人たちだ。かなり昔に取得された銘柄の中には、膨大な含み益が発生しているものが少なくない。「いくらで入手した株なのか不明」という人はさらに要注意。税制上、取得価格がわからない場合はかなりのリターンが発生しているものとみなされてしまうので、それだけ税負担も重くのし掛かってくる。
また、ケース3のように株式投資で発生している含み益自体はさほど大きくなくても、売り方を工夫すれば税金をゼロにすることも可能だ。消費税をはじめとする他の税金が増えているご時世だけに、大きな節税効果が得られるチャンスは絶対に見逃さないようにしたい。
節税売りをしないほうが無難なケースもある!
ただし、その一方で節税売りの必要がない人も存在する。いや、むしろ売らないほうが有利に働くケースもあるので注意したいところだ。具体的には、下記の3つのいずれかに該当するケースだ。
(1)「利益×10%」が往復の売買手数料以下となる人 (2)「源泉ありの特定口座」を使っている人で、追加資金の余力がない人 (3)株式で得られる利益が確定申告している譲渡益の枠内に収まる人
まず、(1)については補足説明が不要だろう。(2)は、再び買い戻すことが不可能になることがその理由だ。したがって、買い戻しに固執していない人や、かなり安くなるのを待ってから買い戻すつもりの人なら、売却に踏み切るのもアリだ。残る(3)については、他の譲渡所得で発生しているマイナスと損益通算して税負担がゼロになるなら、わざわざ売り急ぐ必要はないということだ。
【ケース1】 相続した株を保有している人
◎数百万円もトク! 取得価格が不明なら迷わず年内に売却を!
親が長く保有し続けた株券を相続した人は、直ちに取引明細などを確認し、不明点は遠慮なく取引先の証券会社に問い合わせたほうがいい。パート3のランキング表でも紹介しているとおり、長い間に含み益がとてつもなく膨らんでいる銘柄が少なくないのだ。今年中に売り抜ければ、来年以降の処分と比べて数百万円もの節税を達成できるケースもある。
まず、取得価格がわかっている人の場合は、節税額を簡単に計算できる。下記の例では、仮に同じ株価で売却できたとしても、年内と来年では約450万円の違いが生じた。この先も保有し続ける意向だったとしても、いったん節税売りを行なったうえで買い直すのが賢明だろう。
さらにやっかいなのは、「いくらで取得したのか不明」というケースだ。その場合、税制上では「譲渡価額(売却価格)×5%」が取得価格とみなされる。現実にはもっと高値で取得したものでも、大幅な利益が出ているように税額が計算されるのだ。しかも来年以降は税率が倍増するのだから年内売りはマストだ。
米証券業金融市場協会(SIFMA)のマネジング・ディレクター、ロブ・トゥーミー氏は4日、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る公算は小さいとの見方が依然優勢であるものの、米金融機関がデフォルト発生に備えた用意を進めていることを明らかにした。
トゥーミー氏は、米国債がデフォルトに陥った場合でも、取引プラットフォームが取引を処理することができるような方策を策定したと語った。
SIFMAが想定する手順では、米財務省がデフォルトに陥る前日の夜に支払いが1日遅れる旨を発表し、金融機関はそれに基づきシステムの調整を行う。
財務省がデフォルトの発表を怠ると、世界の取引システムは米国債がデフォルトしていないものとみなし処理を続ける。そうなった場合、デフォルトした債券はシステムから消失し、売買、もしくは担保として使用できなくなる。
同氏は記者団との電話会議で「一連の手順が整いつつある」と語った。
アベノミクス相場で久々にオイシイ思いをしたという人は、せっかくだから税金面でもオイシイ思いを享受すべきだ。年内にいったん売っておけば、税負担が来年以降の半額で済む(後述のケース2)。数十万円のリターンにつき数万円の違いが生じることになるので、面倒でもいったん節税売りに踏み切るのが得策だろう。
含み益が多い人ほど年内の売却が有利に!
そして、そういったケース以上に油断大敵なのは、ケース1に該当する人たちだ。かなり昔に取得された銘柄の中には、膨大な含み益が発生しているものが少なくない。「いくらで入手した株なのか不明」という人はさらに要注意。税制上、取得価格がわからない場合はかなりのリターンが発生しているものとみなされてしまうので、それだけ税負担も重くのし掛かってくる。
また、ケース3のように株式投資で発生している含み益自体はさほど大きくなくても、売り方を工夫すれば税金をゼロにすることも可能だ。消費税をはじめとする他の税金が増えているご時世だけに、大きな節税効果が得られるチャンスは絶対に見逃さないようにしたい。
節税売りをしないほうが無難なケースもある!
ただし、その一方で節税売りの必要がない人も存在する。いや、むしろ売らないほうが有利に働くケースもあるので注意したいところだ。具体的には、下記の3つのいずれかに該当するケースだ。
(1)「利益×10%」が往復の売買手数料以下となる人 (2)「源泉ありの特定口座」を使っている人で、追加資金の余力がない人 (3)株式で得られる利益が確定申告している譲渡益の枠内に収まる人
まず、(1)については補足説明が不要だろう。(2)は、再び買い戻すことが不可能になることがその理由だ。したがって、買い戻しに固執していない人や、かなり安くなるのを待ってから買い戻すつもりの人なら、売却に踏み切るのもアリだ。残る(3)については、他の譲渡所得で発生しているマイナスと損益通算して税負担がゼロになるなら、わざわざ売り急ぐ必要はないということだ。
【ケース1】 相続した株を保有している人
◎数百万円もトク! 取得価格が不明なら迷わず年内に売却を!
親が長く保有し続けた株券を相続した人は、直ちに取引明細などを確認し、不明点は遠慮なく取引先の証券会社に問い合わせたほうがいい。パート3のランキング表でも紹介しているとおり、長い間に含み益がとてつもなく膨らんでいる銘柄が少なくないのだ。今年中に売り抜ければ、来年以降の処分と比べて数百万円もの節税を達成できるケースもある。
まず、取得価格がわかっている人の場合は、節税額を簡単に計算できる。下記の例では、仮に同じ株価で売却できたとしても、年内と来年では約450万円の違いが生じた。この先も保有し続ける意向だったとしても、いったん節税売りを行なったうえで買い直すのが賢明だろう。
さらにやっかいなのは、「いくらで取得したのか不明」というケースだ。その場合、税制上では「譲渡価額(売却価格)×5%」が取得価格とみなされる。現実にはもっと高値で取得したものでも、大幅な利益が出ているように税額が計算されるのだ。しかも来年以降は税率が倍増するのだから年内売りはマストだ。
(カッコ内は前営業日比)
FT100種総合株価指数(ロンドン)<.FTSE>
終値 6453.88(+4.84)
前営業日終値 6449.04(+11.54)
クセトラDAX指数(フランクフルト)<.DAX>
終値 8622.97(+25.06)
前営業日終値 8597.91(‐31.51)
CAC40種平均指数(パリ)<.FCHI>
終値 4164.25(+36.27)
前営業日終値 4127.98(‐30.18)
<ロンドン株式市場> 薄商いの中、ほぼ変わらずで終えた。米財政協議で合意に向けた進展の兆候が見られないことから、投資家の間で様子見姿勢が強まった。
FT100種総合株価指数<.FTSE>終値は4.84ポイント(0.08%)高の6453.88。
米国では、財政協議で事態打開の兆しが見られないまま、債務上限引き上げの期限とされる17日が目前に迫っている。ただこれまでのところ、市場で大きな混乱は見られない。
米国で稼ぐ企業がこの日も売られた。売上高の半分近くを米国に頼る建材販売大手ウルズリー<WOS.L>は1%安。一時は1.4%安まで売り込まれた。
上期決算を発表した製糖のテート・アンド・ライル<TATE.L>は0.8%高。同社株価は年初来3%下落しており、弱材料のほとんどが株価に織り込まれ済みとアナリストは指摘している。
生保のスタンダード・ライフ<SL.L>は2.5%高。JPモルガンは、成長は引き続き力強く配当利回りも高水準として、同社の投資判断を「オーバーウエート」で据え置いた。
<欧州株式市場> 反発。イタリアの政局安定化に向けた期待から同国の銘柄が買われた。欧州中央銀行(ECB)による金融セクターへの支援が継続するとの観測を手がかりに、銀行株も上昇した。
FTSEユーロファースト300種指数<.FTEU3>は1.56ポイント(0.13%)高の1243.74。
DJユーロSTOXX50種指数<.STOXX50E>は26.19ポイント(0.90%)高の2928.31。
イタリアのFTSE・MIB指数<.FTMIB>がアウトパフォームし、1.6%高で取引を終えた。
イタリア上院委員会は、脱税で有罪判決が確定しているベルルスコーニ元首相の議員資格剥奪を上院本会議に提言することを承認した。
ユーロ圏銀行株<.SX7E>は2.3%高。トレーダーの間では、ECBが追加長期資金供給オペ(LTRO)実施の用意を整えているとの見方が高まっている。
米予算交渉が決裂し、政府機関が一部閉鎖に追い込まれたことは欧州株価にも影響している。また、米債務上限問題をめぐる懸念も強まっている。
スイスReylのフランソワ・サバリ最高投資責任者(CIO)は「日に日に緊張が増している」としつつも、「合意にこぎ着けると想定している」と述べた。
4日の欧州株式市場は反発。イタリアの政局安定化に向けた期待から同国の銘柄が買われた。欧州中央銀行(ECB)による金融セクターへの支援が継続するとの観測を手がかりに、銀行株も上昇した。
FTSEユーロファースト300種指数<.FTEU3>は1.56ポイント(0.13%)高の1243.74。
DJユーロSTOXX50種指数<.STOXX50E>は26.19ポイント(0.90%)高の2928.31。
イタリアのFTSE・MIB指数<.FTMIB>がアウトパフォームし、1.6%高で取引を終えた。
イタリア上院委員会は、脱税で有罪判決が確定しているベルルスコーニ元首相の議員資格剥奪を上院本会議に提言することを承認した。
ユーロ圏銀行株<.SX7E>は2.3%高。トレーダーの間では、ECBが追加長期資金供給オペ(LTRO)実施の用意を整えているとの見方が高まっている。
米予算交渉が決裂し、政府機関が一部閉鎖に追い込まれたことは欧州株価にも影響している。また、米債務上限問題をめぐる懸念も強まっている。
スイスReylのフランソワ・サバリ最高投資責任者(CIO)は「日に日に緊張が増している」としつつも、「合意にこぎ着けると想定している」と述べた。
キプロスの銀行最大手、バンク・オブ・キプロス<BOC.CY>がギリシャ国債の保有状況について株主に情報提供を怠ったとして、キプロスの証券取引委員会(SEC)は、同行と元経営陣6人に罰金を科した。
同委によると、旧経営陣は2010年以降のギリシャ国債購入に関し、適時情報開示を行わなかったという。
2009年12月の当時の最高経営責任者(CEO)発言を受け、同行が保有する大半のギリシャ国債を処分したとの印象を投資家が持ったと同委は指摘する。
ところが、その後数カ月間に同行はギリシャ国債保有額を最大24億ユーロ相当と、同行株式資本の25億ユーロにほぼ匹敵する規模に増やした。
ギリシャの債務再編などで、同行は国債保有に伴い19億ユーロの損失を被った。
同委は同行に対して16万ユーロ、元CEOに14万ユーロなどの罰金を科した。
4日の米債券市場で、米1カ月物短期証券(Tビル)利回りが約10カ月ぶりの水準に上昇した。政府機関の一部閉鎖が4日目に突入する中、対立するオバマ大統領と共和党の双方に歩み寄りの兆しが見られず、デフォルト(債務不履行)懸念が高まっている。
債務水準が法定上限に達するとみられている10月17日に償還を迎えるTビル利回りは2ベーシスポイント(bp)上昇の0.13%となっている。
11月前半に償還を迎えるTビルの利回りは0.11%と、前日から5bp上昇している。
グッゲンハイム・パートナーズの米国債トレーディングのマネジングディレクター、ジェイソン・ローガン氏は「Tビルセクターで本格的にボラティリティが高まっている」とし、最初の緊張の兆候が出たとの認識を示した。
また米国債の保証コストも上昇、前回債務上限の引き上げ問題で揺れた2011年7月の水準に迫っている。
4日のロンドン株式市場は薄商いの中、ほぼ変わらずで終えた。米財政協議で合意に向けた進展の兆候が見られないことから、投資家の間で様子見姿勢が強まった。
FT100種総合株価指数<.FTSE>終値は4.84ポイント(0.08%)高の6453.88。
米国では、財政協議で事態打開の兆しが見られないまま、債務上限引き上げの期限とされる17日が目前に迫っている。ただこれまでのところ、市場で大きな混乱は見られない。
米国で稼ぐ企業がこの日も売られた。売上高の半分近くを米国に頼る建材販売大手ウルズリー<WOS.L>は1%安。一時は1.4%安まで売り込まれた。
上期決算を発表した製糖のテート・アンド・ライル<TATE.L>は0.8%高。同社株価は年初来3%下落しており、弱材料のほとんどが株価に織り込まれ済みとアナリストは指摘している。
生保のスタンダード・ライフ<SL.L>は2.5%高。JPモルガンは、成長は引き続き力強く配当利回りも高水準として、同社の投資判断を「オーバーウエート」で据え置いた。
前営業日比 売買代金/出来高概算
上海総合指数<.SSEC>
休場
前営業日終値 2174.665 14.638高 886.1億元(上海A株)
ハンセン指数<.HSI>
大引け 23138.54 75.86安 545.6億香港ドル
高値 23152.68
値 22983.47
前営業日終値 23214.40 229.92高 532.6億香港ドル
ST指数(シンガポール)<.FTSTI>
大引け 3138.08 6.71安 48.58億株
高値 3148.80
安値 3131.14
前営業日終値 3144.79 7.79安 34.12億株
KLSE総合指数(クアラルンプール)<.KLSE>
大引け 1776.56 5.19高 15.78億株
高値 1779.02
安値 1769.77
前営業日終値 1771.37 1.02高 18.43億株
SET指数(バンコク)<.SETI>
大引け 1427.72 1.46安 314億バーツ
高値 1430.80
安値 1418.51
前営業日終値 1429.18 20.19高 400億バーツ
総合株価指数(ソウル)<.KS11>
大引け 1996.98 2.49安 2.38億株
高値 2004.65
安値 1985.63
前営業日終値 1999.47 0.60高 2.34億株
加権指数(台湾)<.TWII>
大引け 8364.55 5.53高 912.7億台湾ドル
高値 8376.06
安値 8336.61
前営業日終値 8359.02 142.50高 1140.5億台湾ドル
総合株価指数(ジャカルタ)<.●●SE>
大引け 4389.347 29.296安 3.90兆ルピア
高値 4412.166
安値 4373.013
前営業日終値 4418.643 31.039高 3.77兆ルピア
総合株価指数(マニラ)<.PSI>
大引け 6390.48 2.83高 N/A
高値 6390.48
安値 6331.93
前営業日終値 6387.65 25.39高 N/A
SENSEX指数(ムンバイ)<.BSESN>
大引け 19915.95 13.88高 1.66億株
高値 20052.00
安値 19833.17
前営業日終値 19902.07 384.92高 1.63億株
ベトナム株価指数(ホーチミン)<.VNI>
大引け 497.50 5.20高 N/A
高値 497.73
安値 490.43
前営業日終値 492.30 2.09安 N/A
<中国・香港株式市場> 反落して終了した。アウトパフォームしてきたマカオのカジノ株に利益確定売りが出た。当局の方針をめぐる不透明感から、通信株も下落した。米財政協議の行き詰まりで米国債のデフォルト懸念が高まっており、香港の株式市場は薄商いだった。
<東南アジア株式> まちまち。マニラ市場の株価がほぼ横ばいとなる一方、ジャカルタ市場は3営業日続伸後に反落して引けた。米政府機関が一部閉鎖する事態に陥ったことで、リスク回避姿勢が高まる中、新興国市場で投資家らがポジションを減らす展開となった。
<ソウル株式市場> ソウル株式市場は小反落して取引を終えた。指数は週間ベースでも下落した。米財政問題に対する警戒感が強く、米経済に深刻な影響が出るのではないかとの懸念が強まった。ただ、外国人投資家の買いで下値は限られた。
<台湾株式市場> 小幅ながらも4営業日続伸、4カ月半ぶりの高値水準を維持した。米議会で2014会計年度(13年10月─14年9月)暫定予算が成立せず、与野党の対立が続いていることなどへの懸念が周辺地域市場を圧迫する中、台湾市場は海外投資家からの堅調な買いに支えられた。
4日発表のバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ・グローバル・リサーチの調査によると、2日終了週に世界の株式ファンドから13億ドルの資金が流出した。米政府機関の一部閉鎖に加え、米債務上限をめぐる懸念が強まっている。
流出は2週連続。前週の流出額は15億ドルだった。
米国株式ファンドからは6億ドルが流出。流出額は前週の74億ドルから大きく縮小した。
新興国株式ファンドからは21億ドルが流出。流出は4週間ぶり。
半面、欧州株式ファンドには9億ドルの資金が流入した。前週の流入額23億ドルから減速したものの、14週連続での流入となった。
世界の債券ファンドからは9億ドルが流出。前週は5カ月ぶりの高水準となる45億ドルの資金が流入していた。
ただ、高利回りのジャンク債には13億ドルが流入。4週連続での資金流入となる。
新興国債券ファンドからは2億ドルが流出。前週は6億ドルの資金が流入していた。
インフレ指数連動債(TIPS)を保有するファンドからも2億ドルが流出した。25週連続での資金流出となる。
株式、および債券ファンドから資金が流出しているものの、債務上限引き上げが前回問題となった2011年7月28日からの3週間で記録した600億ドルの流出額と比較すると、依然として小規模にとどまっている。
コモディティ(商品)ファンドからは6億ドルが流出した。
4日の東南アジア株式市場の株価はまちまちの内容だった。マニラ市場の株価がほぼ横ばいとなる一方、ジャカルタ市場は3営業日続伸後に反落して引けた。
米政府機関が一部閉鎖する事態に陥ったことで、リスク回避姿勢が高まる中、新興国市場で投資家らがポジションを減らす展開となった。
不安定な値動きの末、マニラ市場の主要株価指数PSEi<.PSI>は前日比小幅(0.04%)高の6390.48で終了した。週間ベースでは0.2%上伸した。
今週は、米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスが3日、フィリピンの格付けを1段階引き上げたほか、アジア開発銀行(ADB)が2日、2013年の同国経済成長見通しを上方修正したことで、市場のセンチメントは押し上げられた格好だ。
アヤラ・コープ<AC.PS>など最近上昇していた大型株が売られた。一方で、BDOユニバンク<BDO.PS>は、ムーディーズによる最近の格付け引き上げを背景に1.5%高となった。
ジャカルタ市場の総合株価指数<.●●SE>は0.66%安の4389.35。株価がアンダーパフォームした市場のうちの一つだった。週間ベースでは0.8%安となり、シンガポール市場(同2.3%安)に続き値下がり率2位だった。
同市場の出来高は、過去30営業日の1日平均の、約3分の2の水準だった。この日予定されていた外貨準備高の発表を前に、投資家らは様子見姿勢を維持した。
シンガポール市場のストレーツ・タイムズ指数(STI)<.FTSTI>(は0.21%安の3138.08、クアラルンプール市場のクアラルンプール総合株価指数(KLCI)<.KLSE>は0.29%高の1776.56、バンコク市場のSET指数<.SETI>は0.10%安の1427.72、ホーチミン市場のVN指数<.VNI>は1.06%高の497.50だった。
積み立て投資サービス「いつかはゆかし」の広告で知られるアブラハム・プライベートバンク(東京都港区)が金融商品取引法に違反していたとして、証券取引等監視委員会は2013年10月3日、同社を行政処分するように金融庁に勧告した。
同社が金融商品販売業者の登録をしないまま、ファンド業者から事実上の手数料を受け取っていた、というのが主な理由だ。
アブラハム社は勧告を受け入れるとみられるが、プレスリリースでは「法令遵守を徹底し、ビジネスモデル特許を申請していた」といった、事業内容を正当化するともとれる態度に終始している。
■「中立」うたいながら特定ファンドを勧める?
証券取引等監視委員会が指摘したポイントは大きく3つ。
1つ目が、上記の無登録の件だ。アブラハム社は投資顧問契約を結んでいた顧客に対して、中立的な立場でアドバイスを行っていると主張していたが、実際は特定の海外ファンドを推薦。アブラハム社の取締役が設立したバージン諸島の法人「STI」や親会社の「アブラハム・グループ・ホールディングス」を迂回して、海外ファンドの発行者から購入額に応じた報酬を受け取っていた。これが、事実上の販売手数料だと判断された。
2つ目が、事実と異なる内容の広告。例えばアブラハム社はウェブサイトの広告で「金融機関や運用会社から販売手数料はもらっていません」とうたっていたが、1つ目の問題点で指摘されているように、実際には事実上の販売手数料を受け取っていた。それ以外にも、広告では「手数料は業界最安値」と記載されていたが、証券取引等監視委員会は、アブラハム社が同社よりも安い手数料のサービスがあることを認識していたにもかかわらず「あえて当該他社サービスを比較対象に含めず、それ以外の事業者との間でのみ手数料を比較」したと指摘している。
■山本一郎氏や「ファクタ」が早くから問題を指摘していた
3つ目が、顧客に財産上の利益を提供していたことだ。アブラハム社は顧客から「過去実績から想定された投資実績に遠く及ばない」といった理由で助言報酬の免除を要求され、2年分の報酬約940万円を全額免除した。勧告では、この行為も違法だと指摘している。
1つ目と2つ目については、ブロガーの山本一郎氏が13年2月の段階で大筋では指摘していたし、1つ目については、経済誌「ファクタ」も13年4月号で「『いつかはゆかし』の化けの皮」と題する記事で指摘していた。
■ビジネスモデル特許申請を根拠に事業を正当化
2013年10月3日の勧告後にアブラハム社が発表した報道資料は、「皆様にはご心配をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます」と一応陳謝はしているものの、内容はよくわからず、投資家も理解に苦しむ内容だ。例えば、発表文では、
「投資助言会社という中立的な立場で、『個人投資家の海外ファンドへの直接投資をサポートする』という日本初の新しいビジネスモデルで業務を行っておりました」
と、自らの中立性を引き続き主張し、中立性を否定している勧告と噛み合っていない。また、勧告を受け入れるとも読み取れるが、その一方で自社の法令違反を認めないばかりか、「業務改善」をうたっておきながら、どの点を改善するかは不明だ。さらに、特許を申請すると何らかの正当性を主張できるとも考えているようで、独自のビジネスモデルを理解できない当局がおかしいと言わんばかりの内容だ。
「法令遵守を徹底し、ビジネスモデル特許を申請していたにも関わらず、誠に残念ながら、弊社のビジネスモデルに関して当局と見解が異なりましたので、この度の検査結果を厳粛に受け止め、改めて速やかに業務改善を行い、一層の内部管理体制の強化に努める所存でございます。またその他の指摘についても真摯に受け止め、業務改善して参ります」
また、太字で、
「弊社お客様の資産に関しては、AIJ事件やMRI事件とは異なり、海外金融機関にて健全に運用されております」
と、ファンドの実態があることを強調している。
金融庁はアブラハム社に対して業務停止命令を出す方針で、近く同社の主張を聞く「聴聞」を開いたうえで正式に処分内容を決定する。