離婚問題~親権について~

離婚問題は夫婦だけの問題ではありません。子どもがいる家庭では子供のことも考えなくてはいけないのです

オサコ☆ さん

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成年(20歳)に達しない子どもは、父母の親権に服することとなります(民法第818条第1項)。たとえ、子どもが独立の生計を営んでいたとしても、原則として父母の親権に服することになります。

親権って何?

親権の内容は大きく「身上監護」と「財産管理」の二つに分けられます。
この親権は、原則として、父母が共同して行うこととなっています。

子どもが結婚し、成年に達したとみなされる場合は親権から離脱することになります。

親権を行う者は、子どもの監護及び教育をする権利を有し、義務を負います(民法第820条)。
平たく言えば、親権者は、子どもを心身ともに健全な社会人として育成する権利・義務を負っていることになります。
具体的には、子どもを指定した居所に住まわせることや、必要な範囲で子どもを懲戒したりすることが内容とされています。

身上監護って何?

親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表することとなります(民法第824条)。
つまり、親権者は、子の財産について、子の代理人として、保存・利用・改良・処分などの行為を行うことができることとなります。

財産管理って何?

離婚協議の上で親権については大変難航する問題だと思います。
とりあえず、親権者を決めずに離婚をすることは可能なのでしょうか?

親権者を決めずに離婚できる?
民法は、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」と規定し、また、「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。」と規定しています(民法第819条第1項、第2項)。
このことからもわかるとおり、父母が離婚をする際には、子の親権者を決めなければならないこととなっています。

親権者を決めずに離婚できる?

親権者を一方に決めずに協議離婚をしようとしても、離婚届に、夫婦のどちらが親権者になるのかを明記しなければ、その離婚届は受理されないこととなっています(戸籍法第77条)。

離婚後も共同親権にできる?

現在の日本の法律では共同親権も不可能となっているようです。
話し合いで決める親権者ですがもし話し合いで決まらない場合はどうしたらいいのでしょうか?

協議離婚をする場合における親権者が、父母の話し合いで決まらないときや、そもそも協議することができないようなときには、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができます(民法第819条第5項)。とはいえ、そもそも親権者が決められないと離婚自体もできないことから、このようなケースでは、離婚の裁判を提起して、裁判手続の中で裁判所に親権者を判断してもらうことが多いでしょう。

裁判の中で明らかとなった夫婦双方の事情、子の事情等を考慮して、父母のどちらが親権者となることが「子の福祉にかなうか」の観点から、親権者が定められることとなります。

兄弟姉妹だった場合は?

夫婦に子どもが一人の場合ではなく複数いる場合はどうなのでしょうか?

兄弟姉妹で別々の親権者を定められるの?
結論から言えば、協議離婚などの際に、父母の合意によって、兄弟姉妹についてそれぞれ別々の親権者を定めることは可能です。
ただし、過去の裁判例・審判例においては、兄弟姉妹を一緒に育てることを原則とする判断をしたものがあるように(京都地裁昭和30年9月12日判決、仙台家裁昭和45年12月25日審判等)、裁判所が親権者を定める場合には、兄弟姉妹について同一の親を親権者と定められることが多いといえます。

兄弟姉妹で別々の親権者を定められるの?

母親と父親、どっちが有利?

親権問題について、父親が親権を主張してもなかなか勝ち取ることは難しい現状があり、過去の親権争いの裁判ではほとんどのケースで母親側が勝っています。

裁判所が親権者を定める場合についてですが、過去の裁判例において、乳幼児については、特別の事情がない限り母親に監護させることが子の福祉にかなう、と判断したもの(札幌高裁昭和40年11月27日判決、東京高裁昭和56年5月26日判決等)があるように、子の年齢が低い場合においては、かつては母親であるということだけで親権者として定められやすい傾向がありました。

母親が親権者になりやすいの?

一般的には「同居している方が有利」や、「幼い子供の場合は母親が有利」と言われており、このような理由を挙げて親権者を決めたとされる判例が幾つもあります。

しかし、子供の幸せを判断するための1つの要素にすぎないので、この点だけで親権が決まるわけではありません。

例えば、「離婚の原因が妻の浮気のせいなのに妻に親権をとられてしまう」ということがしばしばあります。これは夫婦関係を破綻させた責任や原因は親権と関係がなく、親権の決まる判断基準はあくまでも「子どもの幸せ」です。

しかし、相手側の悪さと子どもの幸せが関連している場合があり、夫婦それぞれでみると、

■夫
・子供の目の前で妻を暴行
・子供のいないところで妻を暴行

■妻
・子供が小学校等、学校にかよっている間に不倫
・子供を独り家に置いて不倫

上記それぞれ2つの事例だと、下の事例の方が子供に与える害悪は大きく、場合によっては夫、妻、それぞれが親権者を勝ち取れる可能性もあります。

子どもの意思は尊重される?

まだ幼児であれば自分で判断ということは難しいかもしれません。
ですが、ある程度成長した子供だった場合はどうでしょうか?

子どもの意思は尊重されるの?
裁判所が、子の親権者を定める場合においては、父母のいずれが親権者となることが「子の福祉にかなうか」、ということを考慮します。
特に、15歳以上の子など、その子自身がある程度しっかりと自分の意思を表明できる場合には、その子の意思を十分に考慮した判断がなされることとなるでしょう。
一方で、乳幼児や未だ自分の意思をしっかりと表明できないくらいの年齢の子の場合には、そもそも意思を確認することが困難であったり、あるいは、その時点で同居している親の言いなりになったりしている可能性もあることから、裁判所は、子の意思のみならず、子の生活環境や親の経済状況などといった周辺事情を考慮して、慎重に判断することとなるでしょう。

子どもの意思は尊重されるの?

一度決まった親権者。変更できる?

親権者は変更できるの?
父母のいずれか一方のみが親権を行使している場合において、「子の福祉のため」に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権行使者を他の一方に変更することができます(民法第819条第6項)。
ですので、親権行使者の変更を求める場合には、家庭裁判所に親権者変更の調停や審判を申し立て、現在の親権者が親権を行使し続けることが子の福祉にかなわないものであることを主張していくこととなります。

親権者は変更できるの?

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