立体異性体のうち脂質代謝に利用されるのは L-カルニチンのみであり、エナンチオマーのD-カルニチンは活性がないとされている。
カルニチン(carnitine)は、生体の脂質代謝に関与するビタミン様物質で、アミノ酸から生合成(メチオニン+リジン)される誘導体である。
アミノ酸のD/L異性体の表記法は、"CORN"ルールに基づいて行う。これは、キラル中心である炭素の周りに、 COOH, R, NH2およびH(R:各種の炭化水素基)がどのように配置しているかで判断する方法である。水素原子が奥側(向こう側)になるように見たとき、上記の官能基が炭素の周囲に時計回りに配置していればD-体で、反時計回りに配置していれば、L-体である。
RS表示法が広く用いられるが、糖やアミノ酸については光学異性体の表示法であるd-,l-(それぞれ dextro-rotatory=右旋性(+)、levo-rotatory=左旋性(−))表記のほうが立体をイメージしやすいという場合もある。
カルニチンは、脂肪酸を燃焼してエネルギーにかえる必要不可欠な体内物質です。カルニチンが不足すると、筋肉で十分なエネルギーが産生されず、筋力低下、筋肉痛、つっぱり(こむら返り)などの筋肉症状がでやすくなります。
肝硬変の治療で食事制限をしている人、慢性腎不全で透析をおこなっている人はカルニチンが不足しがちです。さらに、抗てんかん薬のバルプロ酸(デパケン)やある種の抗菌薬(ピボキシル基をもつ抗生物質)による薬剤性のカルニチン欠乏症も知られています。
カルニチンは長鎖脂肪酸をミトコンドリア内に運搬し、酸化(燃焼)することでエネルギーを産生している。さらにカルニチンは、生成された有毒な物質をミトコンドリアの外に運びだし、蓄積するのを防いでいる。
レボカルニチンは、食事(肉類、乳製品など)による摂取と、生体内(肝臓、腎臓、脳)での生合成により供給される生体内物質であり、細胞膜に存在する有機カチオン/カルニチントランスポーター(OCTN2)を介して主として骨格筋、心臓、肝臓などの組織に取り込まれ存在します。
細胞内のカルニチンが何らかの原因により欠乏すると、カルニチンの機能が不十分となり肝臓、脳、骨格筋、心筋など種々の臓器で異常が生じます。重篤な欠乏症では、低血糖発作による昏睡や高アンモニア血症による脳症、心筋症や筋肉症状などが発症し、重篤で不可逆的な臓器障害を来します。
対象疾患は一言で言えば、カルニチン欠乏症ですが、保険診療ではもっと細かく決められていて、腎臓病におけるカルニチン欠乏症も使用可能疾患にあげられていますが、血中のカルニチン濃度を測定して欠乏を証明しないといけません。
血中のカルニチン濃度の測定は健康保険では認められていないので、実際には腎臓関係で保険診療の対象になるのは透析患者さんだけになります。
カルニチン欠乏症は、先天性代謝異常症によるものや、肝硬変など後天的医学的条件によるもの、さらには長期間の透析や薬剤の投与などの医療行為によるものがあります。
発症原因により異なる多くの因子が関与しており、そのためカルニチン欠乏による臨床症状も多岐にわたります。
1.組織内における“慢性的なカルニチン欠乏”状態を是正する。
2.組織内で過剰に蓄積した有害な“プロピオニル基”をプロピオニルカルニチンとして体外(尿中)へ排泄する。
3.有害な“プロピオニル基”からミトコンドリア機能を保護し、その代謝を賦活する。
カルニチン欠乏症は、先天性代謝異常症の患者さんや血液透析患者さんなどにみられ、筋肉の痛み、疲労感や高アンモニア血症、重症になると低血糖発作による昏睡などの症状が現れる。
もしもこむら返りが生じるのが、透析の日の夜だけではないとすると、 除水によって引き起こされる「つり」ではない可能性が大きくなります。
透析(除水)と関係のない「つり」であっても、 芍薬甘草湯やカルニチンが有効なことが、よくあります。まずはドライウェイトと水分制限について検討してみてください。
腎不全では血液透析治療が必要です。しかし、透析を行うと体内のカルニチンが体外に流れ出てしまうためカルニチンが欠乏し、貧血や低栄養を引き起こします。
このため、透析患者にはL-カルニチンの補給が必要な処置とされています。
末期腎不全患者で、特に血液透析を受けている患者では、カルニチンが不足する。血中のカルニチン濃度と筋肉中のカルニチン量が低いことが、貧血や筋肉低下、疲労、血中脂質濃度の変化、心疾患などの一因となる可能性がある。
維持血液透析を受けている患者に高用量のカルニチン補給(大半が注射により)をすることにより、上記症状のいくつか、もしくはすべてのそういった症状が改善される可能性があることが示唆される
非常に高い吸湿性・潮解性を有していて、25℃湿度63%以上の環境下で吸湿・潮解し、その吸湿速度は非常に高い。
エルカルチン錠はもともと潮解性があり、包装から出した場合1日で錠剤内部に水分が蓄積します。また、錠剤を粉砕することにより、直ちに水分を吸って液状化をはじめます。粉砕調剤は不可と考えたほうが良いでしょう。
投与直前であれば55℃で懸濁が可能です。錠剤のままでは懸濁が難しく、直前に錠剤を軽く砕いてから懸濁します。8Frチューブを通過します。
無包装状態をシャーレ開放化にて8時間放置したところ、 膨張し質量増加が見られた。分包すると潮解するため不可。 粉砕は服用直前であれば問題なし。
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