【薬のまとめ】ゼローダ錠

成分名:カペシタビン

TAMA1982 さん

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乳癌などに適応を持つ5-FU・5'-DFURのプロドラッグ

日本で開発された抗がん剤で、代謝拮抗剤フルオロウラシルのプロドラッグです。

投与後に消化管から吸収され、主に肝臓と腫瘍組織に入ってからドキシフルリジン(5'-DFUR)に変わり、さらに腫瘍組織でフルオロウラシル(5-FU)に変化します。

肝臓に特異的に発現するカルボキシルエステラーゼという酵素によって5-デオキシー5-フルオロシチジンに代謝される。

次に、主に肝臓や腫瘍組織に存在するシチジンデアミナーゼという酵素によって5'-DFURに代謝される。

これが腫瘍内に多く存在するTPで5-FUに変換され、抗腫瘍効果を示す。

カペシタビンは、5’−DFURをさらにプロドラッグ化したともいえる薬剤

5’−DFURのフルオロウリジンの部分がシチジンに置き換わった5’−デオキシ−5フルオロシチジン(5’−DFCR)に、ペンタン酸(吉草酸)がエステル結合した構造となっている。

カペシタビンは、骨髄細胞や消化管では活性体になりにくく腫瘍組織内でより選択的に5-FUを生成する

フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の代表ともいえるフルオロウラシル(5-FU)は、これまで乳癌や消化器癌の治療に最も多く使われてきた抗がん剤の一つである。持続性を高めたテガフール(フトラフール)や、腫瘍組織のチミジンホスホリラーゼ(TP)により5-FUとなるドキシフルリジン(5'-DFUR:フルツロン)などが開発されている。

古くから使用されている抗がん剤に5-フルオロウラシル(5-FU)があります。ただ、5-フルオロウラシルは作用時間が短く、副作用も強いというデメリットがあります。

これを回避するため、体内で代謝されることによって徐々に5-フルオロウラシルへと変換される物質へと改良した薬がカペシタビン(商品名:ゼローダ)です。

腸から不活性な未変化体のまま吸収されたあと、まず肝臓や腫瘍組織でドキシフルリジン(フルツロン)に代謝され、さらに腫瘍組織で抗腫瘍作用をもつフルオロウラシル(5FU)に変化するのです。

ゼローダが代謝される途中でできる中間代謝産物にはゼローダと同様に5-FUのマスクドコンパウンドであるフルツロン(一般名ドキシフルリジン)があります。

がん組織中に多く含まれるサイミジンフォスフォリラーゼという酵素により 5-FUに変換されるため、腫瘍内で高い5-FU濃度を維持し、 これまで有効な薬剤がなかった進行がんの治療への応用が期待されています。

ドキシフルリジンは、フルオロウリジンのリボース5位のエタノール基がメチル基となった5’−デオキシ−5フルオロウリジン(5’−DFUR)で、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(PyNPase)により、5FUに分解される。

PynPaseは、特に腫瘍組織で高い活性を有するため、特異的に高い5FU濃度が腫瘍組織で維持できるとされている。

5FUは、投与後80〜85%が肝臓でジヒドロピリミジンデヒドロキナーゼ(DPD)によりフルオロβアラニン(FBAL)に速やかに異化・代謝

単回静注時の半減期は10〜20分と短く、急速静注よりも持続点滴の方が有効性、安全性が高いとされている。

腸管毒性は起こりにくいが、手足症候群が高頻度で発生

カペシタビン(商品名:ゼローダ)は多くの段階を経ることで変換されるため、骨髄組織や消化管などで活性体(薬の作用を示す本体)へと変換されにくいです。

ただ、カペシタビン(商品名:ゼローダ)が副作用を軽減したとは言っても、細胞毒性を示すことで抗がん作用を表す薬であるため、多くの副作用がみられます。

腸管障害軽減を目的とした5’-DFURのプロドラッグ。消化器癌・乳癌に有効。消化管障害・骨髄抑制軽く、皮膚障害(手足症候群)が問題。

手足症候群の好発部位は、手や足で反復した物理的刺激が起こる場所である。早期発見のポイントは、手足の感覚の異常、発赤の有無を頻繁に確認し初期症状を見過ごさないこと。

進行すると、疼痛を伴う浮腫や過角化による皮膚の肥厚、水疱、亀裂、潰瘍、落屑などが出現し休薬を余儀なくされる。疼痛は「熱傷のような痛み」と表現されることが多く、日常生活に支障を来すようになる。

もっとも多いのが手足のしびれやヒリヒリ感、発赤などの皮膚症状(手足症候群)です。ほかにも、吐き気や嘔吐、下痢、口内炎など、いろいろな副作用がでやすいです。

抗がん薬に特有な「骨髄抑制」は比較的軽いほうですが、それでも それにともなう血球減少や感染症に十分な注意が必要です。

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