「ロバスタチン(モナコリンK)」。ベニコウジ中に発見されたこの成分には、体の中でコレステロールが作られるときに働く酵素(HMG‐CoA還元酵素)の働きを抑える作用があることが明らかになりました。
ロバスタチンは治療薬として使用されていませんが、プラバスタチン、シンバスタチンなどロバスタチンと同じ作用を持つ薬が高脂血症治療薬として使用されています。
Monacolin Kをlead化合物にしてコレステロール合成阻害の医薬品(simvastatin)が開発された。
モナコリン類はmevalonic acidの合成酵素であるHMG-CoA reductase(還元酵素)を阻害する作用があり、コレステロール合成を減少させる。
メルクは膨大な動物実験でロバスタチンに発ガン性がないことを証明し、87年にFDAの認可を得て、商業化"スタチン"第1号として発売(コンパクチン同族体を"スタチン"と総称する)。
89年にはメルクがモナコリンKから合成したシンバスタチンを、三共はコンパクチンの構造を少し変えたプラバスタチンをそれぞれ発売。
スタチンは冠動脈疾患と脳卒中の予防と治療の特効薬として、毎日世界で4000万人近い患者に投与され、同じ青カビから発見されたペニシリンと並ぶ奇跡の薬と呼ばれている。
プラバスタチン同様に微生物から単離された物質です。構造もプラバスタチンに類似しています。
全てのスタチンはコンパクチンと同じメバロン酸類似の基本骨格を有している。
モナコリンKの特許は三共に譲渡しました.この結果,メビノリンの開発はアメリカとごく一部の国でしかできなくなりました.そこで,メルクはメビノリンの構造を少し変えた新化合物を合成して,世界中で開発したわけです.それがシンバスタチンです.
ロバスタチン(モナコリンKまたはメビノリン)
http://www.mabs.jp/archives/jba/pdf/220126_8.pdfより
プロドラッグ型のスタチンは、シンバスタチンのみである。
プロドラッグであり、肝臓で加水分解を受けて活性体となる。(ラクトンが加水分解によりオープンアシッド体となる。)
薬としての作用を表すシンバスタチンの活性体は、そのままの状態では腸からの吸収が悪い。そこで、この活性体の一部分を環状にする。これによって、腸からの吸収を改善した化合物がシンバスタチンである。
腸から吸収されたシンバスタチンは肝臓で代謝を受けることで、環の部分が切断される。これによって、薬としての作用を表す活性体へと変化する。
コレステロール合成の主要臓器である肝臓に分布、加水分解を受け活性体(ラクトン開環体)へと変化し、これがHMG-CoA還元酵素を阻害することでコレステロール合成を抑えます。
ラクトン開環体は脂溶性が低いために消化管からの吸収が悪い一方、ラクトン体のまま投与することで吸収性が改善されるとともに、肝臓でのみ薬理作用を及ぼせるというターゲッティングの効果もあります。
【併用禁忌】
イトラコナゾール、ミコナゾール、アタザナビル、サキナビルメシル酸塩、テラプレビル、コビシスタットを含有する製剤、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル
イトラコナゾール(イトリゾール)ミコナゾール(フロリード)
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。
これらの薬剤はCYP3A4を阻害し、本剤の代謝が抑制される。脂溶性スタチンは横紋筋融解症の発生率が高いとも言われる。
リトナビルのCYP3A4阻害作用及びパリタプレビルのOATP阻害作用により、本剤の代謝及び肝への取り込みが抑制されるおそれがある。
横紋筋融解症を含むミオパチー等の重篤な副作用が起きるおそれがある。
スタチン製剤の中でグレープフルーツと影響がでるのが、リピトール(一般名:アトルバスタチン)、リポバス(一般名:シンバスタチン)です。
グレープフルーツに含まれるフラノクマリンが小腸のCYP3A4を阻害するため、アトルバスタチンやシンバスタチンの代謝を阻害し、AUCやCmaxが上昇してしまいます。
本剤は、主に肝代謝酵素チトクロームP4503A4(CYP3A4)により代謝される。本剤の活性代謝物であるオープンアシド体はOATP1B1の基質である。
シンバスタチンとアトルバスタチンはCYP3A4によって代謝され、同時に同酵素に対する弱い阻害作用も有している。これに対してプラバスタチンとピタバスタチンは、CYPではほとんど代謝されず、阻害・誘導作用もない。
台大病院の研究チームは、世界で初めて、天然物から抽出した薬品「シンバスタチン」に敗血症の死亡率を低下する効果があるということを証明した。
敗血症予防の面では天然由来の薬品の方が効果が高いという。それは、天然由来のものは、天然のカビから抽出したもので、もともと細菌を抑制する効果があるためだ。
simvastatinは敗血症心筋のアポトーシスを減弱することが示唆されている。
敗血症関連ARDSに対するロスバスタチンの有用性を検討したSAILS試験でも、臨床転帰の改善は得られなかったことから、病因にかかわらずARDSに対するスタチンのルーチン投与にはほとんど意義はないと考えられる
シンバスタチン群、プラセボ群の両群間に差を認めなかったという報告も。。。
抗T細胞抗体等の抗体医薬品を投与した際に起こり得る即時反応であり、アナフィラキシーとは異なる概念である。血中に炎症性サイトカイン等が放出され、悪寒、悪心、倦怠感、頭痛、発熱、頻脈、血圧変動等の種々の症状が起こる。重症の病態をサイトカインストームと呼ぶ。
シンバスタチンはOX40ならびにOX40リガンドおよび同mRNAの量を抑制する。さらに、脳梗塞後の再発治療(6ヶ月間)における血清中の可溶性OX40L濃度およびメタロプロテイナーゼ9濃度は、従来治療(n=30)に比べてシンバスタチンを追加した場合(n=46)に有意に低下した。
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