正午のドル/円<JPY=EBS>は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、わずかにドル高/円安の102円前半。日経平均<.N225>が前日比200円を超える上げ幅となり、ドルの下値は支えられたものの、テクニカルな節目に上値を阻まれて、伸び悩んだ。
ドルは朝方の安値102.13円付近から102.24円まで小幅に上昇。商いは総じて低調で、シンガポール市場の休場で投機筋が動意薄だったほか、実需の売買も限定的だった。
この日の株高について、「株には欧州系のファンド勢の資金などが入っているようだ。ただ、ドル/円は、テクニカルな節目に阻まれて、株高に便乗できない」(外銀)という。一方、ドル/円は、「102.20―102.25円に、20日移動平均線、日足の転換線や基準線などのテクニカルな節目が多く存在する。目下、それらをトライ中で、上抜けできれば、日足の雲の下限にあたる102.45円を目指す展開になるだろう」とみずほ証券投資情報部のチーフFXストラテジスト、鈴木健吾氏は言う。
<米指標とテーパリング>
景気指標では、この日の4月小売売上高、14日に4月の米卸売物価指数、15日に5月の米消費者物価指数と重要指標の発表が相次ぐが、市場の一部では、高値圏にある米株式の先行きを警戒する声も出始めており、今夜発表の米小売売上高の行方が注目される。
「(米株は)過去最高値を更新し続けているだけに、いつ利食いで下落してもおかしくない」との見方も出ている。「株価で大きめの調整があれば、ドル円が102円台を割り込む展開もあり得る」という。
一方で、「FRBのテーパリングは、当初信じられていた『景気次第』ではなく、よほどの事態がない限り一定のペースで縮小が続くという『自動操縦モード』になっている」(野村証券・金融市場調査部、チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏)とされ、今週発表の指標が大幅に予想外の結果とならない限りは、テーパリングが淡々と進行する環境に変化はなさそうだ。
<ユーロ>
この日は夕刻から、4月の独卸売物価指数や5月の独景気期待指数(ZEW)などの発表予定を控え、ユーロの値動きは1.37ドル半ばから1.3766ドル付近までと極めて限定的なものに留まった。
ユーロは5月9日に1.3745ドルの安値を付け、下値のターゲットをブレイクした。「5月のECB(欧州中央銀行)理事会で緩和の採決には至らなかったものの、ドラギ総裁の会見と併せて考えれば、緩和したも同然の理事会となった」と三井住友銀行のチーフストラテジスト、宇野大介氏は話す。
今後の下値のメドについては、ユーロ圏のディスインフレ傾向の持続に合わせて買われる通貨という位置付けと金融緩和による売り圧力の綱引きとなるだろうが、対ドルにおける価格については双方がきっ抗するため、年間見通しの下限は1.35ドルと同氏は予想する。
ドル/円<JPY=> ユーロ/ドル<EUR=> ユーロ/円<EURJPY=>
正午現在 102.21/23 1.3753/57 140.58/62
午前9時現在 102.18/20 1.3754/58 140.55/59
NY午後5時 102.11/13 1.3756/58 140.48/52
前場の東京株式市場で日経平均は大幅反発した。前日の米国株市場でダウとS&P総合500が終値で最高値を更新。欧州株や中国株も軒並み上昇するなど世界的な株高の中、出遅れた日本株にも買い戻しや値ごろ感の買いが入った。
上げ幅は一時280円を超え、取引時間中では5月2日以来、5営業日ぶりに1万4400円台を回復したが、買い戻しが一巡すると上値を追う材料が乏しく、高値圏でもみあう展開となった。
世界的な株価上昇に取り残された日本株もようやく出遅れ修正の動きとなったが、自動車、不動産、金融などに海外勢の買いが入った程度で、全般に実需の買いは力不足だった。東証1部の前場売買代金は8109億円と引き続き低調。先物への買い戻しが中心で裁定買いが入り指数を支えた。
国内から株高を後押しする材料は乏しく、節目の1万4500円付近では戻り売り圧力も強いとの見方が多い。市場では「日本株は引き続き為替との連動性が強く、円安進行を誘う政策出動がなければ上値は限られる」(中銀証券本店営業部次長の中島肇氏)との声が出ていた。
個別銘柄では、日産自<7201.T>が反発。同社は12日、2015年3月期の連結純利益が前期比4.1%増になるとの見通しを発表した。年間配当は33円と前期から3円増配を計画する。利益予想はアナリスト予想を下回ったものの、増益、増配予想が好感された。
半面、日立<6501.T>は軟調。12日に発表した2015年3月期業績予想で、連結最終利益が前期比6.6%減と最終減益を見込んでいることが嫌気された。
東証1部の騰落数は、値上がり1357銘柄に対し、値下がりが358銘柄、変わらずが92銘柄だった。
日経平均<.N225>
前場終値 14384.61 +235.09
寄り付き 14367.94
安値/高値 14359.74─14433.74
東証出来高(万株) 91825
東証売買代金(億円) 8109.79
13日前場の日経平均株価は前日比235円09銭高の1万4384円61銭と大幅反発。12日のNYダウの連日最高値更新や円安を好感し、寄り付きから広範囲に買いが先行し、午前9時9分に1万4433円74銭(前日比284円22銭高)を付ける場面があった。その後は、戻り売りに上値を抑えられ、引けにかけて伸び悩み気味となった。日本時間午後2時30分発表予定の中国経済指標を控え、見極めたいとの空気も指摘された。
東証1部の出来高は9億1825万株、売買代金は8109億円。騰落銘柄数は値上がり1357銘柄、値下がり358銘柄、変わらず92銘柄。
市場からは「NYダウの歴史的な高値や円安をフォローに、日経平均は久々に25日移動平均線を回復してきたが、買い一巡後は勢いが止まった。決算を別にすれば、国内に材料はなく、海外情勢にらみの展開がしばらく続くのではないか」(中堅証券)との声が聞かれた。
業種別では、15年3月期に連結営業利益6.0%増見通しの三井不<8801、株価 - チャート>や、住友不<8830、株価 - チャート>などの不動産株が上昇し、値上がり率トップ。同セクターでは、14年3月期の連結業績予想を上方修正した日神不動産<8881、株価 - チャート>も値を上げた。15年3月期の連結営業利益で2ケタ増益見通しのフジクラ<5803、株価 - チャート>と三菱マテリアル<5711、株価 - チャート>など非鉄金属株も堅調に推移し、国際帝石<1605、株価 - チャート>、K&Oエナジ<1663、株価 - チャート>などの鉱業株も引き締まった。
日本取引所(JPX)<8697、株価 - チャート>、クレセゾン<8253、株価 - チャート>などのその他金融株や、大和証G<8601、株価 - チャート>、野村<8604、株価 - チャート>などの証券株、T&DHD<8795、株価 - チャート>、MS&AD<8725、株価 - チャート>などの保険株も高い。15年3月期に連結営業利益7.4%増見通しの日産自<7201、株価 - チャート>や、トヨタ<7203、株価 - チャート>などの自動車株も買われた。15年3月期連結業績予想で減収・営業減益ながら純利益2.05倍の日産車体<7222、株価 - チャート>も値を飛ばした。
個別では、15年3月期に連結営業利益56.5%増見通しの大紀アルミ<5702、株価 - チャート>が値上がり率トップ。三菱ケミHD<4188、株価 - チャート>による買収が報じられた大陽日酸<4091、株価 - チャート>や、15年3月期は連結営業利益19.5%増見通しのやまびこ<6250、株価 - チャート>も上伸。15年3月期は連結営業利益17.3%増見通しで10円増配予定のキトー<6409、株価 - チャート>や、15年3月期は連結営業利益34.1%増見通しで2円増配予定のペガサス<6262、株価 - チャート>などの上げも目立った。
半面、ブリヂス<5108、株価 - チャート>、洋ゴム<5105、株価 - チャート>などのタイヤ株が軟調。上組<9364、株価 - チャート>など一部倉庫運輸関連株も安い。個別では、15年3月期は連結営業利益34.7%減見通しに配当減額の東京計器<7721、株価 - チャート>が値下がり率トップ。15年3月期は連結営業利益43.8%減見通しで40円減配のダイコク電機<6430、株価 - チャート>や、15年3月期に連結営業利益3.9%減見通しのニッパツ<5991、株価 - チャート>も下落。15年3月期は連結営業利益61.7%減見通しで1円減配の不動テトラ<1813、株価 - チャート>や、14年3月期の連結利益予想を下方修正したクオール<3034、株価 - チャート>などの下げも目立った。なお、東証業種別株価指数は全33業種中、31業種が上昇した。
<3836> アバント 1360 +10連結経営・会計システムのアバント<3836>は9日、2014年6月期第3四半期(2013年7月-2014年3月)決算を発表。売上高は前年同期比29.0%増の62.32億円、営業利益が同116.9%増の8.29億円、経常利益が同123.8%増の8.22億円、四半期純利益が同115.6%増の4.09億円だった。
事業形態別の売上高の状況では、ライセンス販売の売上高が前年同期比68.8%増の6.26億円だった。新規大型案件の成約によるDivaSystem売上の増加に加え、Microsoft Dynamics AXの会計テンプレートを開発・販売開始したことなども寄与した。
コンサルティング・サービスの売上高は同32.0%増の36.87億円だった。DivaSystemを活用した経営管理案件のほか、ディーバ・ビジネス・イノベーションで展開している個別会計分野におけるMicrosoft Dynamics AX導入やジールが得意とするBI分野におけるシステムインテグレーションサービスも堅調。
サポート・サービスの売上高は同17.0%増の17.36億円。DivaSystem製品の保守売上は継続利用率の高さを背景に堅調に増加推移している。情報検索サービスの売上高は同1.2%減の1.81億円だった。検索機能の拡張等により顧客基盤の安定・強化に努めており、トライアルサービスの利用者は増加する傾向にあるが、スポット的に発生する案件が発生しなかった。
なお、14年6月通期については、売上高が前期比21.1%増の81.50億円、営業利益が同39.0%増の9.00億円、経常利益が同41.5%増の8.90億円、純利益が同21.3%増の4.40億円と、4月に上方修正した計画業績予想を据え置いている。通期予想計画に対する第3四半期営業利益の進捗率は92.1%である。
アバント<3836>は、グループ傘下の企業を通じて、連結経営・会計システムのソフト開発や導入コンサルティングの他、ビジネスインテリジェンス(BI)やERPのシステムインテグレーション(SI)サービス、および企業開示情報の検索や分析などを手掛ける。単一システムによる制度連結と管理連結の実現、及び複数会計基準での運用実績が豊富。
シャープ<6753、株価 - チャート>が急伸。前場は一時前日比20円高の279円まで買われ、前場は同14円高の273円で引けた。
12日引け後に14年3月期連結決算を発表し、15年3月期連結営業利益が1000億円(前期比7.9%減)、純利益は300億円(同2.6倍)になるとの見込みを示した。営業利益予想は市場予想の1009億円並みだが、純利益予想は市場予想の276億円を上回っており、好感されている。
14年3月期連結業績は3期ぶりに黒字となり、営業損益が1085億6000万円の黒字(前期は1462億6600万円の赤字)、最終損益は115億5900万円の黒字(前期は5453億4700万円の赤字)となった。消費税率引き上げ前の駆け込み需要があったデジタル情報家電と健康・環境部門に加え、国内メガソーラーや海外ディベロッパー案件が好調に推移した太陽電池部門の売上高が増加し、従来予想(営業損益は1000億円の黒字、最終損益は50億円の黒字)を上回った。
<3179> シュッピン 1390 +73シュッピン<3179>は、インターネットなどにおいて、主にカメラ関連の中古品の買取と販売、新品の販売を展開する。初心者から愛好家までの幅広い層を対象に、Eコマースにおける中古品取引No.1を目標としている。
12日に発表した14年3月期売上高は前期比25.2%増の156.0億円、営業利益は同80.0%増の7.0億円と大幅な増収増益で着地した。15年3月期は売上高が前期比14.3%増の178.3億円、営業利益が同14.1%増の8.0億円と2ケタの増収増益を狙う。今期についても、「価値ある財庫」を安心・安全に顧客へ提供するため、販売・買取における新サービスの導入、ネット媒体等を利用した積極的な認知度の向上とECサイト新規会員の獲得強化を推進する。
同時に17年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表し、売上高は246.2億円、営業利益は14.9億円を目指す方針。同社の強みを発揮することで、インターネット経由での買取及び販売の増加を図り、持続的な成長を目指す。
<7508> GセブンHD 767 +23G-7ホールディングス<7508>は12日、2014年3月期の決算を発表した。売上高は前期比6.7%増の881.78億円、営業利益は同10.6%増の29.00億円、経常利益は同7.0%増の31.39億円、純利益は同14.6%増の15.41億円となった。主力事業となる、オートバックス・車関連事業、業務スーパー・こだわり食品事業ともに、消費増税前の駆け込み需要、新規出店効果などにより、10%前後の営業増益を達成している。とりわけ、営業利益は1-3月期に前年同期比65.8%増と急拡大、これに伴い、通期実績は従来予想を上回る水準での着地となっている。なお、年間配当金は前期比5.00円増配となる39.00円を予定。
2015年3月期については、売上高が前期比5.5%増の930.00億円、営業利益が同3.4%増30.00億円、経常利益が同1.9%増の32.00億円、純利益が同3.8%増の16.00億円としている。引き続き、「経費削減、一人当たり生産性向上、適正在庫」の方針を実践、個店収益力の強化に徹底して取り組むと共に、国内外において事業基盤の構築に向けた経営体制の強化に努めていく方針だ。
G-7ホールディングス<7508>は、「オートバックス」「業務スーパー」のフランチャイジー国内最大手。主軸のオートバックス・車関連事業および業務スーパー・こだわり食品事業に加えて、新たな収益源としてアグリ事業、リユース事業にも注力している。
<6409> キトー 2103 +176キトー<6409>は12日、2014年3月期決算を発表。売上高は前期比17.9%増の418.55億円、営業利益が同59.6%増の40.06億円、経常利益が同67.7%増の40.94億円、純利益が同130.8%増の23.61億円だった。売上高は計画通りだったが、営業利益、経常利益、純利益はいずれも計画を大幅に上振れての着地だった。
セグメントでは国内市場の売上高が前期比6.0増の225.77億円、営業利益が同46.3%増の41.94億円。輸出向けの販売が堅調に推移したほか、円安が影響。米州市場の売上高は同28.8%増の130.60億円、営業利益が同21.9%増の9.03億円だった。製造業、エネルギー関連を中心に幅広い業界で堅調な需要が継続した。
中国の売上高は同22.3%増の87.42億円、営業利益が同32.1%増の9.54億円。景気回復の足取りは重いが、需要は安定的に継続。アジアの売上高は同37.1%増の66.49億円、営業利益が同76.0%増の4.59億円。タイおよびインドネシアを中心に、主に日系自動車関連産業を中心とするする投資活動に支えられた。欧州の売上高は同29.8%増の15.46億円、営業利益が0.45億円(前期は1.00億円の営業損失)だった。ドイツを中心に需要が堅調に推移した。
15年3月期については、売上高が前期比9.9%増の460.00億円、営業利益が同17.3%増の47.00億円、経常利益が同12.4%増の46.00億円、純利益が同22.8%増の29.00億円を計画している。
なお、2014年3月31日を基準日とする剰余金の配当を行うことについて決議。剰余金の配当は連結での配当性向20%以上を目処として、連結業績や財務状況を総合的に勘案の上決定しており、直近の配当予想の1株につき15円から25円に修正し、中間配当金(1株につき15円)と合わせ、年間では40円を予定している。
キトー<6409>は、建設現場や製造業の工場などで資材を持上げるために利用する「巻上機」(チェーンブロック、レバーブロックなど、マテリアルハンドリング(マテハン)機器)の国内トップメーカー。グローバル展開も進んでおり、海外売上高は70%に達し、世界市場でもトップ5に入る。
- 1
- 2