使用者責任の判例は?適切な賠償責任保険まとめ

使用者責任とは一体何を意味するものなのか、すぐにわかる人は珍しいのではないでしょうか。そこで、使用者責任がどのようなものなのかをチェックすると共に、保険に関してもいくつかピックアップしてみました。

FC2USER591226DPM さん

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■使用者責任とは

使用者責任とはどのようなものなのかをチェックしてみました。


ある事業のために他人を使用する者は,被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任があることをいう (民法 715) 。使用者責任は他人 (被用者) の不法行為についての責任である点に特色を有するが,その根拠として,使用者の報償責任あるいは危険責任という考え方があげられている。

交通事故の被害に遭った場合,被害者の方は,民事責任の追求として,加害者等に対して損害賠償を請求することができます。その根拠の基本となるのは,民法709条の不法行為責任です。

民法715条は、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定しています。

なんとなくですが、使用者責任がどのようなものなのか分かっていただけたのではないでしょうか。

■使用者責任にかかわる判例は?

使用者責任の判例についてもチェックしてみました。

従業員が通勤のためだけにマイカーを使用していたが、これを会社は黙認し、
かつ駐車場も使用させていた場合において、仕事帰りに事故を起こした事例で、
会社は従業員を監視・監督すべきだったとして会社の責任を肯定
(最高裁平成元年6月6日判決)。

使用者責任保険に加入する場合、支払われる保険金の限度額をきちんと確認しておかなければなりません。

代理監督者について、「客観的に観察して、実際上現実に使用者に代わって事業を監督する地位にある者」をいうと定義しています(最高裁昭和35年4月14日判決)。

このような判例が確認できます。

最高裁判例昭和44年11月27日『不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知つた時から三年間これを行なわなかつたときは、時効によつて消滅することは、民法七二四条の規定するところであるが、同法七一五条において規定する使用者の損害賠償責任は、使用者と被用関係にある者が、使用者の事業の執行につき第三者に損害を加えることによつて生ずるのであるから、この場合、加害者を知るとは、被害者らにおいて、使用者ならびに使用者と不法行為者との間に使用関係がある事実に加えて、一般人が当該不法行為が使用者の事業の執行につきなされたものであると判断するに足りる事実をも認識することをいうものと解するのが相当である。

広域暴力団Aの下部組織に属する組員が対立する広域暴力団Bの下部組織に属する組員と抗争を起こし,対立する暴力団の組員と間違ってCをけん銃で発砲して死亡させた事案で,A組の下部組織における対立抗争においてその構成員がした殺傷行為がA組の威力を利用しての資金獲得活動に係る事業の執行と密接に関連する行為であるとして,系列最上位の広域暴力団Aの組長に対する使用者責任が認められています(最判平成16年11月12日)。

最三小判昭39年2月4日民集18巻2号252頁

被用者が会社所有車を私用で運転中に起こした事故について外形理論により会社の使用者責任を認めた

このように、判例は多々あります。

■優良な使用者責任賠償責任保険

「いざ」に備えてといえば保険です。
そこで、使用者責任の保険もチェックしてみました。

法定外補償規定等または法定外補償条項の上乗せ保険として機能し、巨額の労働災害による損害賠償責任から企業経営を防衛します。

損害保険会社では、企業の労働災害に対して、損害賠償責任を補償する「使用者賠償責任保険」と、上乗せ給付を補償する「法定外補償保険」を組み合わせた、セット商品の「労働災害総合保険」として提供しています。

このように、徐々にではありますが保険も増えてきています。

■使用者責任の代表的な判例について把握しておこう

使用者責任を理解するためには、判例を把握しておくことが大切です。

最高裁昭和40年11月30日判決
(最高裁判所HP)
・最判昭43.4.12
被用者に手形振出の権限がないものの、当該被用者が手形の交付や注文等の仕事に携わる地位にあり、
手形の作成交付自体に無縁ではなかった場合における、被用者の手形偽造行為について使用者の責任が争われた事案です。

営業所に属する従業員の大半が単車等の自家用車を有し、これを通勤のため使用するほか、しばしば営業所から、上司の指示があるときは自宅から工事現場への往復にも利用し、そのさいには自家用車を持たない同僚を同乗させることも多く、会社はその利用を承認して走行距離に応じたガソリン手当て及び損料の趣旨で単車手当を支給していた場合に、従業員が上司に自宅から直接工事現場へ出勤するよう指示され、指示通り出勤し業務に従事して帰宅する際、営業所近くの会社寮に帰る同僚を同乗させ、営業所で同僚を降ろし、そこから自宅へ帰る途中に事故を起こした事案について、会社は従業員の単車の運行について運行支配と運行利益を有するとした

〔大阪宅配会社事件 平成10年12月21日 大阪地裁〕

B運送(株)(被告会社)大阪支所所属のドライバーX男は、同支社所属の男性ドライバー及びA女等オフィスコミュニケーター(注)との親睦会の二次会において、A女に対しセクハラ行為を行ったとし、不法行為に基づく損害賠償を命じられた。
また、被告会社は使用者責任に基づく損害賠償を命じられた。

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