木本ファミリー
▸木本ぷんた
ボス。娘のふくえを溺愛しておりよく暴走する。いつもはにこにこしてるけど仕事(裏)となると冷酷残忍血も涙もない。
▸ふくえ
ボスの娘。最近元お世話役の野崎さんが気になる。暴力的なことは好きではなく、父や野崎の裏の仕事のことは知らない。
▸野崎さん
元ふくえのお世話役。現在はボスの右腕として多忙な生活を送っている。今でもお嬢様にはでろでろに甘い(無自覚)。
▸フォーゲル
野崎の部下。お嬢様のなだめ役。
▸ノックソ
野崎の部下。お嬢様の慰め役。
▸ぜあらる。
現ふくえのお世話役。野崎とふくえの関係を気にかけている。
▸とみちゃす
現ふくえのお世話役。お嬢様の服などは全て彼が選んでいる模様。
▸あおいくん
ふくえの兄。若様。妹と部下想いなおにいたま。
▸二番煎じ
あおいの部下。ふくえとよく遊んであげたりしているご様子。
▸にーちゃん
木本家の屋敷に雇われている料理人。食いしん坊。
▸夜徒
裏の世界の情報屋。とみたけとは以前から親交があるらしい。
▸あすぱら
飄々としたスパイ(木本直轄)。笑顔の裏はドロドロ。
▸先生
あおいの師(裏の仕事関連)。普段は気のいいあんちゃん。
▸蘭千代さん
野崎の姉。ふくえのピアノの先生兼家庭教師。
ボスの木本に恩があり、木本ファミリーの一員となった野崎さん(当時10代)
彼の当初の仕事はまだ幼かったボスの自慢の娘であるふくえのお世話役。
忙しいボスに代わり毎日遊んでいるうちに初めは怖がっていたふくえも優しい彼に懐くように。
屋敷のお庭の花畑で「ふくえ、のざきさんのおよめさんになるの」「身に余る光栄です」こんな日々を過ごしていたがなんやかんやあって野崎さんはボスの右腕に昇格しお嬢様のお世話役は卒業することになる。
ふ「ふくえとずっと一緒にいてくれるって言ったじゃない!」
お嬢様と気まずくなった野崎さんは彼女を避けるようにして仕事に没頭するように。
そんなある日パーティー会場に強制的に連れて行かれてぼーっと会場内を眺めていると、綺麗に成長したお嬢様を垣間見てグラスを落とす野崎さん。
あんなに箱の中で可愛く可愛く育ててきたお嬢様が今目の前で煌びやかに着飾ってそして自分の知らないお世話役に隣を固められ来賓客にあいさつしていくその声にじわりと心の端が痛み、そして自分が逃げていたものが何か気づく。
そしてその思いの痛々しさに耐えきれなくなって夜風にあたりにバルコニーに出る。
ああ本当は離れたくなんてなかったのだと自分だけのお嬢様が今やあんな自分の知らないもので周りを固めていてショックを受けている自分にショックを受けていてそしてそこにふくえお嬢様がやって来て鉢合わせすることに。
お嬢様はお嬢様で少し自覚気味だから久しぶりの会話で野崎さんの変わらない声とか目線とかに泣きそうになる。
野「本当に綺麗になられた」
この言葉には葛藤とか賞賛とか後悔とか自制とか本音とかいろんな思いが混じってる
そして野崎さんは久しぶりにお嬢様に近づいて無意識のうち白手袋に包まれた手を伸ばしてお嬢様の頬に触れるんだけどお嬢様も手袋ごしだからひんやりとしててああこれがこの数年でできた私たちの溝なのねって自覚するようになる。
ふ「あなたに触れたい」
野崎さんの後任はぜ。氏ととみちゃす。
お嬢様は新しいお世話役に最初は戸惑っていたけど一生懸命な2人と仲良くなる。
野崎さんは、そばにいれないことからその後に知り合った後任のぜ。氏に逐一様子を聞くように。
ぜ「そんな気になるんやったら会いに行かれたらどうです」
野「いや、しかし、仕事がある」
と「お嬢様ずっと野崎さんのお話ばっかり~もうおこぷんなんだけどぉ」
フ「そういえばこの前お嬢様が野崎さんさがしてましたよ」
野「!!!???」
ノ「お仕事行きはったゆーたら落ち込んでたで」
ぜ。氏ととみちゃすは、顔には出さないがそんなお嬢様を見て、今のお世話役は自分たちなのになんでお嬢様は出世に走った男を追いかけるのかってむむむってなってる。
お嬢様と離れてから時が経ち、いつからか彼女に触れることができなくなった野崎さんは対面するとき絶対に手を後ろに回すようになる(自覚してるかは謎)
それを知っているボスは「野崎さんそんなかたくならんでも」と言うけど、その理由をほんのりと察知していてあーあって顔するフォーゲルとノックソ
ふ「野崎さん、手をつないでも...?」
野「......申し訳ありません。私のようなものと手をつなぐことはなさいませんよう」
ふ「そうですか...」
と「じゃあ俺がお嬢様とおててつなぐ~」
ノ「じゃあ俺こっちな~」
両側を顎兄弟に固められてワッショーイされるお嬢様とそれをむむって顔で見てる野崎さんとフォーゲル。
野崎さんはお嬢様に対してはお世話役だった時の延長で自分が彼女を気にかけているのであって、それが恋愛感情だとは自覚していない。
(ぜ。氏、フォーゲル、ノックソは薄々気づいている)
一方、ふくえが野崎さんに想いを寄せていることは彼自身も前から気づいており、それに応えたいけど自分のしている裏の仕事をお嬢様に知られてしまってはいけないとボスとの約束がある。
でも、このままでは彼女が遠い存在になっていくような気がして悩んでいる様子の野崎さんに今のお世話役のぜ。氏が気にかける。
ぜ「貴方にその気がないなら僕がお嬢様をもらいますよ」
野「それ冗談で言ってるんだったらただじゃおかないぞ」
ぜ「冗談でこないなこと言いますかい。もっと言うとうちのアホとみちゃすも狙っとりますわ」
野「(ザワリ)」
ぜ「嫌やわ、そんな顔するくらいやったらはっきり決めてあげたらどうなんです」
ぜ。氏の言葉が気になるけどだからと言って彼女のそばにいることはできないしでさらに悩む野崎さん
しかしある日、野崎さんはいつもの裏の仕事を任される。
木本ファミリーの裏の仕事のことなど知らないふくえはたまたま1人で外出していたところ彼を見つけ、いつもと違う雰囲気に違和感を覚え不安になりながら後を追うことに。
なんとか追いついた先で見たものは、銀色の拳銃を足元にうずくまる男に向け発砲する野崎さんの姿だった。
いつもの優しい彼ではない姿を見てしまいふくえは恐れるように...。
それからふくえは野崎さんを避けるようになり突然ぎこちない関係に。
野「お嬢様!どうしたんですか、扉を開けてください!」
ふ「いや!こないで!野崎さんなんて嫌いです!」
野「(嫌いって...)しかしお嬢様!」
フ「野崎さん、ここは俺たちに任せて」
ノ「お嬢自身も何にパニクってるのかわからんみたいやし」
野「ゲル...ノックソ......頼んだ」
その後見られていたのだと悟る野崎さんが自分に惹かれているお嬢様の怯えた表情で自分を拒絶する姿を思い出し、深い絶望を味わう。
ふくえはフォーゲル、ノックソと話しているうちに落ち着いたがまた後日、お屋敷で野崎さんの姿を見かけ、前なら毎日会うことができない彼に会えることが嬉しかったけど、やっぱりあの時の野崎さんの姿が忘れられず思わず避けるように彼と逆方向に走り出す。
あ、と後ろから声が聞こえお嬢様はばれたと思って自室に逃げ込むけど野崎さんが素早く入ってきて無意識に後ろ手に鍵をかける。
ガチャリと音がして、お嬢様は今まで見たことない野崎さんの虚ろな目に怯えるけど、自分に手を伸ばしつつも震えているのを見てやっぱり自分が好きだった野崎さんなんだと覚悟を決めて自ら彼のもとに飛び込んでいく。
あんなに小さかったボスの宝に手を出す自分に罪悪感を覚えるも、緊張が切れて大泣きするお嬢様を抱きしめる。
野「怖くないのですか」
ふ「ううん、怖い」
野「じゃあ...」
ふ「いや」
ふくえは野崎さんの背中に腕を回して彼を見上げ「離れないもの」と呟く。
目が合うとお嬢様は微笑んでいて彼は思わず涙する。
なんやかんやと丸く収まった後、野崎さんはお嬢様に裏の仕事を知られてしまうという失態を犯したということで一年間日本の支社に行くことになる。
それを聞きなんとか説得しようとするふくえを気の毒に思った木本は彼女の日本留学をお世話役二人と部下二人をお付きにすることで許可した。
日本へ渡る前にふくえは「海に行きたい」と野崎さんに言い、アドリア海の浜辺で二人で過ごす。
二人はそのままはしゃいで海の中に入ってびしょ濡れで夕日を背景に笑いあう。
野崎さんは海の中に座り込んだままのお嬢様を抱き抱えた。
ふ「もう離れちゃだめですよ」
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