空き農地を有効活用!「農地バンク法案」が日本の農業を救う!?

アベノミクスの成長戦略の1つ、農業改革。その要となる政策「農地バンク」をご存じだろうか?使われていない農地を、これから農業を始めようとしている人に貸すというシステムだ。農地を有効活用することで、さらなる農業の発展に繋がること間違いなしである。

目の奥が笑ってない さん

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■アベノミクス成長戦略の1つ「農業改革」

農業は日本の基盤を支える大きな産業だ。

安倍総理の掲げた「アベノミクス」の”三本の矢”。
その1つである”成長戦略”のなかには日本古来の産業や文化の発展も含まれている。

今回取り上げるのは、日本の一次産業の基盤となる”農業改革”。
農業における課題の解決とこれからの発展に必要な法制度をまとめてみた。

■農業改革の要!「農地バンク法案」

余った土地を有効に使うことで地域の農業を効率化させ、食糧生産の安定化を図る。

2014年に全都道府県に設置された「農地バンク」。
使わない農地を貸したい人と農地を借りたい人を仲介する機関だ。
この制度は、土地を持て余すことなく活用できるといったメリットがある。

もちろん発展途上ではあるが、現時点でも数々の実績をあげており、今後の日本における農業改革の要になることは間違いない。

そんな「農地バンク」をより使いやすくするための改正案が、このたび衆議院を通過した。

衆院農林水産委員会は18日、政府提出の農地中間管理機構(農地集積バンク)見直し法案を採決し、自民、公明、維新各党の賛成多数で可決した。

・農地中間管理機構(農地バンク)とは?

農地バンク(農地中間管理機構)経由で農地の貸し借りを行うシステム。

所有者は土地を農地バンク(農地中間管理機構)に登録。
借りたい人は農地バンクに借受申込みをし、バンク内でマッチングが行われる。

◯ 農地中間管理機構とは、平成26年度に全都道府県に設置された「信頼できる農地の中間的受け皿」です。

◯ 農地中間管理機構はこのようなときに活用できます。
・ リタイアするので農地を貸したいとき
・ 利用権を交換して、分散した農地をまとめたいとき
・ 新規就農するので農地を借りたいとき

農地を集約して大規模農地として使えるようにすることも目的の1つだ。

・なぜ農地を”集約”させる必要があるのか

日本の農業は、基本的に小規模農家が支えている。これは第二次世界大戦後の農地改革により、小作人から自作農への転換が行われたことで、大地主が消滅し、農地が細分化したという経緯によるもの。

しかし、広大な農地を皆で分割したことで、農業は非効率になってしまった。しかも、ただでさえ分割された農地は、時間の経過と共に売買などで所有権がどんどん移転・分散し、日本の農地はさらに細切れになってしまった。

相続などによって所有権が分散されることで、誰がどの土地の所有者なのかわかりづらくなる。
さらに相続先が農地を放置したりすると、せっかくの土地が荒れ地になってしまい、非常にもったいない。

・リタイア層と新規参入層の需要がマッチしている

高齢のためリタイアする人もいれば、これから農業を始めようという人もいる。

土地を取り巻く需要と供給はマッチしているのだ。

人手不足や高齢化による「日本の農業の未来」が危惧される一方で、農業に新たに参加する人の数は近年増加傾向にあり、小売チェーンや私鉄、銀行などの他業界企業が農業ビジネスに参入しています。

個人の若者層だけでなく、法人への需要も高い。

農業従事者の「高齢化」も深刻な問題です。平成27年の農業就業者の平均年齢は67歳と、平成23年に比べ1.1歳高くなっています。一方で、農家世帯員である「新規自営農業就農者」と、土地や資金を独自に調達し新たに農業経営を開始した「新規参入者」のうち49歳以下の割合は、5年前と比べてそれぞれ+10.6%、+25.6%と増えており、全体的に若い新規就農者が増えている傾向にあります。

耕地面積については、平成23年に比べ縮小していますが、一経営体当たりの耕地面積は拡大していることから、農業の大規模化が進んでいることが分かります。

高齢化による農業人口低下と若者農業従事者の増加により、「土地が余った」「土地が欲しい」という声が目立つようになった。
また、法人利用においてはできる限り広い土地を求める傾向にあるため、農地の集約を制度化するのは急務であった。

・「農地バンク」利用によって得られる優遇

貸し手側にも借り手側にもメリットいっぱい!

また、さまざまな優遇措置が受けられるのも利点です。例えば貸し手側では、所有農地の全て(10アール未満の自作地は除外)に農地バンク制度のための賃借権を新たに10年以上設定した場合、最初の3年間は固定資産税と都市計画税の課税標準が半額となります。

一方借り手側でも、農地中間管理機構から農地を借り受けた場合、融資を利用して農業用機械等を導入する際に融資残に対し補助金が交付されたり、45歳未満の新規就農者などに年間最大150万円の資金が交付されるなど、さまざまな支援を受けることができます。

貸し手側にとっては税負担の軽減に役立つ。
借り手側にとっても新たに土地を買うよりずっとお得。

出典 YouTube

農林水産省制作のPR動画
サポートも充実しているみたい。

■農地バンクの課題と改正案

良いシステムではあるのだが、手続きに時間がかかったりマッチングが上手くいかなかったりと課題も多い。

そして何よりも周知が足りていない。

事業を開始した26年度以降、担い手への農地集積は増えて29年度は4.1万ha増加したが、そのうち農地バンク事業によるものは1.7万haにとどまっている。

担い手への集積率は26年度の50.3%から29年度には55.2%となったが、5年後(2023年)に全耕地面積に占める担い手への利用面積シェアを8割にするという目標達成には、そもそも農地バンク設立当初から年間14万haづつの新規集積が必要となっていた。

今後さらに集積を進めるにあたって農水省は「農地の集積・集約化の前提となる地域内での話し合いが低調」であることや農地バンク事業について現場から事務手続きの簡素を求める声が多いことや、農地バンクが地域とのつながりが弱いことなどを課題として挙げた。

・改正案では手続きと地域連携を”見直し”

同じ課題を抱えているのに提携しないなんてもったいない!

見直しにあたっての論点整理では、農地の集積・集約化のためにもっとも重要なことは、「地域の信頼を得て地域の特性に応じて市町村、農業委員会、JA、土地改良区など地域における話し合いのコーディネーター役と的確に連携した活動を行うこと」と強調し、農地バンクは「これらの点で未だ十分とは言えない」と総括した。

 そのうえで、見直し方向では農地バンクに一本化させるのではなく、市町村や、JAが行っている農地集積円滑化事業などと「一体化」させる見直しを行うこととした。

農地の集約化を行うために、農地バンクだけでなく自治体・農協など地域全体で取り組むことが大切。

その前提となるのが地域での話し合い。担い手への農地集積を加速化させるため、今後、数年で「人・農地プラン」を見直す。とくに地域内の農地について耕作者の年代情報や、後継者の確保状況などを、個人名の記載までは求めないが、地域の現況を地図に落とし込んで把握し、それに基づき中心的経営体への農地の集約化の将来方針をプランに記載することを必須化する方針だ。

地域で情報を共有しておけば、より需要に合った計画を立てることができる。

自治体と農協と農地バンクが一体となって事業を進めれば、いちいち「行政を通して…」といった手間も省ける。

そのためにコーディネーターを話し合いに積極的に参加させ、農業委員や農地利用最適化推進委員はその役割を法令で明確に定める。農地バンクの仕組みも簡素化し、農地の出し手から農地バンク、農地バンクから受け手への権利設定を一括して行うことができる仕組みを設ける。

自治体・農協・農地バンクそれぞれのやり方や考えをしっかりとまとめて制度化することが必要。
そこがきちんと成し遂げられれば、農地バンクの手続きも貸借情報の共有もスムーズになる。

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