ビグアナイド系薬は筋肉での糖の取り込みを促進させます。血液中の糖が筋肉の中へ入るため、これによってもHbA1cなどの血糖値を下げることができます。
グアニジン2分子が窒素原子1個を共有して連なった構造をもつ。無色の固体で水に溶けて高塩基性を示す。
水溶液はゆっくりと加水分解してアンモニアと尿素を生成する。
抗糖尿病薬のほか、抗マラリア薬(プログアニル)や殺菌薬・消毒薬(クロルヘキシジン)が含まれる。
ビグアナイド類は、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化させることで糖・脂質代謝に多様な効果をもたらします。
肝臓からの糖放出抑制や末梢での糖取り込みの促進、消化管からの糖吸収抑制により血糖を降下させます。
ビグアナイド薬は、SU剤とは異なり、膵β細胞からのインスリン分泌を介することなく血糖降下作用を示す
大規模臨床試験(UKPDS34)において、メトホルミンが心筋梗塞など糖尿病に関連した死亡を大きく減少させること、糖尿病の発症自体が抑制されること等が報告され、ビグアナイド薬の臨床的意義が再認識されている。
(インスリンを効きやすくする薬 - ビグアナイド薬)
肝臓からの糖の放出を抑える、インスリンに対するからだの感受性を高めるなどの作用などで血糖値を下げます。
単独の使用では低血糖の可能性が少ない薬です。体重が増えにくい薬です。
肝臓で新しく糖が作られるのを抑えたり、インスリンの感受性を高めることで、血糖を下げる役割を果たします。
チアゾリジン薬と同様、インスリン抵抗性を改善する、すなわちインスリンの働きを良くする薬剤です。
「血糖値を下げる薬」ではなく、「死亡率や心筋梗塞・脳卒中を予防する薬」とみなすのが適切
動脈硬化の重要なリスクファクターである血糖値を適切にコントロールすることが大切になるのです。メトホルミンに関しては、「時代遅れ」どころか今でも一番よい薬といって差し支えないポジションを守り続けています。
糖尿病治療だけでなく,「抗動脈硬化作用」「抗腫瘍効果」など,多面的な効果があると言われています.
主に肝臓の糖新生を抑制し、さらに末梢組織でのインスリン感受性を改善、腸管からの糖吸収抑制により血糖降下作用を発現する。
半減期が2時間程度と短く使いやすく、脂質代謝を是正し大血管障害、最小血管障害にも寄与するとされる。
ヨーロッパに分布する多年草マメ科植物ガレガソウ(別名:フレンチライラックあるいはゴーツルー)は、多尿や口渇などの糖尿病症状を緩和する作用があることが知られていました。
1918年、エール大学病理化学の C. K. ワタナベによりガレガソウの抽出物である「グアニジン」に血糖降下作用があることが報告されました。
メトホルミンが属するビグアナイド薬というのは,もともとフレンチライラックという植物から抽出された物質です.
1961年より薬として世の中で用いられるようになりましたが,実は約40年もの間なぜ効くのかはっきりとわからない謎の薬でした.
ビグアナイド薬は、地中海に自生するガレガソウという植物にルーツをもちます。ヨーロッパでは、中世以前から民間療法の薬草として糖尿病の治療に使われてきました。
フレンチライラックの血糖降下作用の成分はグアニジンという物質です。1957年頃、グアジニン誘導体であるフェンホルミン、ブホルミン、メトホルミンのビグアナイド薬が登場しました。
フェンフォルミン、ブホルミンは側鎖が長く、脂溶性でミトコンドリア膜に結合しやすい。
ビグアナイド薬がミトコンドリア膜に結合すると電子伝達系を抑制するため好気性の反応が阻害されるため、乳酸を産生する反応に傾いてしまう。
フェンホルミンは構造的に側鎖の疎水性が強く,ミトコンドリア膜に親和性が強いため他のBG剤より乳酸アシドーシスの発生が20~100倍多いとされている.
側鎖の短いメトホルミンは水溶性が高く、ミトコンドリア膜に結合しにくいため、ビグアナイド薬の中でも乳酸アシドーシスが起こりにくい薬剤とされている。
そのためメトグルコでは、最高投与量が2250mgとなり、服用時点も「食直前または食後」に変更されている。
側鎖が長く、脂溶性が高いほど、ミトコンドリア膜に結合しやすいことが明らかになっており、ビグアナイド薬の中で乳酸アシドーシスの発症リスクが異なる理由の一つとして考えられています。
ビグアナイド系(BG薬)による乳酸アシドーシスは、現在販売中止となっているフェンホルミンなどの薬で多く見られていました。
メトホルミンによる乳酸アシドーシスはごく稀にしか起こりません。
様々な原因により血中に乳酸が蓄積し、血液が著しく酸性に傾く。そのまま進行を放置すれば昏睡状態に陥り、死に至る場合もあり、死亡率は約50%と高い。
メトグルコは、乳酸やアミノ酸からの糖新生を抑制して血糖降下作用を示すため、乳酸の蓄積を促進する。
メトグルコの特徴を生かすには「使ってはならない患者への投与」を回避することが重要である。
【警告】
重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されている。乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。
高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやす
BG剤は乳酸アシドーシスの危険性が高いため一般的には高齢者には禁忌とされている
メトホルミンは乳酸アシドーシスを起こしにくいため、これまで禁忌とされていた「高齢者」「軽度の腎機能障害」などが慎重投与となっている。
いくら安全性の高い薬とはいえ、全身酸素欠乏状態に容易になりうる患者にはビグアナイド薬を使用すべきでないのは当然です。
実際、日本で高用量認可後に報告された乳酸アシドーシス例は、超高齢者であり、注意が必要な症例でした。
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