対馬に外来種のスズメバチ

ツマアカスズメバチについての報道まとめ

Fortipecten さん

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対馬にいないはずのスズメバチの巣が見つかる

発見者による「ツシマヤマネコを守る会」掲示板より

中国などに分布し、日本では確認されていなかったツマアカスズメバチが作ったとみられる巣が対馬市で見つかった。

巣は7月、同市上県町の山林内で見つかった。高さ約15メートルのコナラの木の枝に長さ80センチほどの巣がぶら下がっており、同町の山村辰美さん(69)が8月27日と30日にカメラで写真撮影した。

写真を見たスズメバチ研究者の高橋純一・京都産業大准教授によると、巣の下部が筆先のように縦長になっており、ツマアカスズメバチの巣の特徴と一致していた。また、写真に写っていた働きバチも特徴が似ており、ツマアカスズメバチが営巣したとみられるという。

昨年10月に、すでに採取されていた

昨年10月には、同市の元小学校長境良朗さん(61)がツマアカスズメバチを昆虫採取中に捕虫網でとらえた。対馬に従来から生息しているスズメバチ類と比べ、頭胸部背面が黒っぽく、腹部から尾にかけて赤いなどの特徴があり、写真を見た高橋准教授もツマアカスズメバチと確認した。

専門家によって巣が採取された

スズメバチに詳しい京都産業大の高橋純一准教授(分子生態学)が18日、現地を訪れて巣を採取した。高橋准教授は防護服を着込んでクレーン車のゴンドラに乗り、高さ約15メートルのコナラの木から巣を慎重に採取した。

高橋准教授によると、巣は長さ約1メートル、幅約60センチで、ツマアカスズメバチのものとしては平均的な大きさ。中には1000~2000匹の働きバチがいるとみられる。今後、巣を解体し、さなぎや幼虫、働きバチの数を調べたり、遺伝子調査でハチの侵入経路の特定を目指したりする。

中国や韓国から入ってきた可能性が高い

高橋准教授は採取した巣への遺伝子調査で、ハチの侵入経路の特定を急いでいる。「せっかく駆除してもまた入ってくれば意味がない。官民学が連携して対策に取り組むことが重要」と指摘する。

高橋准教授によると、先月、対馬市で捕まえたツマアカスズメバチを調べた結果、中国や韓国で生息しているものと遺伝子の型がほぼ一致した。高橋准教授は「船に紛れ込むか、風に運ばれて中国や韓国から入ってきた可能性が高い」と話している。

対馬と韓国間は直線距離で約50キロ。高橋准教授や境さんは、人の往来が著しい韓国・釜山から何らかの物資に付随して侵入したか、気流に乗って飛来した可能性があるとみている。

調査結果は環境省に提供するほか、10月に福井県で開かれる日本衛生動物学会で発表する予定。

生態系への影響が心配

高橋准教授は「このハチは環境適応性が高く、一度定着すると完全に駆除するのが難しくなる。チョウやトンボ、ミツバチなどの昆虫を捕食し、対馬の生態系に与える影響も心配」と話している。

京都産業大学 高橋純一准教授
「雑食性なので(ミツバチを含めて)いろんな昆虫を補食するんですね」
「対馬の在来の昆虫が減少する可能性が高いと考えられます」

対馬では天敵がいないため、島の生態系のバランスが崩れ、食物連鎖の上位にいる国の天然記念物ツシマヤマネコにも影響を及ぼす可能性があるとみる。環境適応力も高く、高木だけでなく住宅の屋根裏などに営巣し、人に被害を及ぼす恐れもある。

対馬市が駆除に乗り出す

対馬市は島内で外来種の「ツマアカスズメバチ」の生息が国内で初めて確認され、生態系への影響が懸念されることから、環境省とともに実態調査に乗り出すことを決めた。10月初めにも生息状況などを調査し、駆除などの対応策を検討する。

同環境推進室では「住居の近くで巣を作っているという情報も寄せられている。人的被害も心配されるので、巣の除去作業は市単独で今月中に始めたい」と話している。

対馬市では、日本の固有種のニホンミツバチだけを使った養蜂が盛んだが、スズメバチがニホンミツバチを襲う被害が相次いでいることから、対馬市が巣の駆除に乗り出した。

中国などに分布するツマアカスズメバチが作った巣が対馬市で見つかっている問題で、市は4日、同市豊玉町の横浦、佐保両地区で巣2個を駆除した。

市には3日までに41件のツマアカスズメバチの巣の情報が寄せられ、うち職員が32件を確認。横浦地区の巣は、市道沿いの桜の木にあり、長さ約60センチ、幅40センチ。佐保地区は林道沿いの雑木にできており、長さ約2メートル、幅約80センチだった。それぞれ、委託業者が高所作業車を使い、取り除いた。

駆除作業を見守ったスズメバチの生態に詳しい高橋純一・京都産業大准教授(39)(分子生態学)によると、佐保地区の巣には2000~3000匹の働きバチと1000匹程度の女王バチのサナギがいるとみられるという。

ツマアカスズメバチとは

◆ツマアカスズメバチ=体長2~3センチ。全体的に黒く、黄色と茶色のしま模様がある。フランスやスペイン、ポルトガル、インド、中国、台湾、韓国などに分布。対馬市では昨年頃から上対馬町、上県町で見られるようになり、同10月、上県町佐護で個体が捕獲された。巣も今年6月、佐護地区で見つかった。チョウやトンボ、ミツバチなどの昆虫を大量に捕食し、タカの一種のハチクマやクマ、熱帯性のアリなどが天敵とされる。

ツマアカスズメバチは中国などに多く生息し、分布域がヨーロッパや韓国などにも広がっている。体長は2~3センチで全体的に黒っぽく、繁殖力が強いのが特徴。島内では養蜂で使われるニホンミツバチを襲うなど、影響が広がり始めている。

9月18日に佐護地区で地元住民とともに巣を採取したスズメバチの生態に詳しい高橋純一・京都産業大准教授(39)(分子生態学)によると、ツマアカスズメバチの繁殖は年1回だが、一つの巣から500匹ほどの女王バチが生まれ、毎年生息域を20キロ以上広げていくという。

ツマアカスズメバチの外見的特徴

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