涼宮ハルヒの憂鬱「エンドレスエイト」における最大の謎

ループ発覚後、何故キョンたちは何もしなかったのか?!未だ誰も考察しないこの謎を、紐解いていきます。

えぃりす姉さん さん

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と言う訳で、色んな処で質問したものの結局解らなかったエンドレスエイトにおける個人的に最大の謎を、ここでまとめたいと思います。

予め書いておくと “なんであんな構成のアニメを製作したのか” 的な方の謎ではありません。
当方、原作、コミック(ツガノガク版)、アニメ、映画、ハルヒちゃん、らきすた、長門ちゃんまで完了済。

ちなみに「エンドレスエイト」がどのような物語であったかは、ここで詳しくは語りませんが(下記ソース群参照)、アニメは全8話、原作は第5巻の1話80ページ(序章2頁含む)、コミック版は第5巻の1~2話68ページになります。

「涼宮ハルヒの憂鬱」での他タイトル1話が大よそアニメも1話である事を考えると、エンドレスエイトは極めて異質な構成であった事が解ります。
待望のアニメ2期が披露された時、全28話の内、その半分が1期の再放送である事はまだ(分割2期だったとして)察するにしても、新作14話中の8話が全てエンドレスエイトである事実は、ファン含む視聴者が混乱をきたしても致し方無いと思われます。

以下、ベースはアニメから。補助として原作、漫画版を含む。

=第一疑問=

ループ発覚後、何故キョンたちは何もしなかったのか。

事態を深刻に捉えてはいたものの、さっぱり何もしません。
毎回約2週間を、ただ遊び呆けるだけ。

彼らを取り巻く世界が、8月17日から同月31日までの約2週間をループしていると言う事が、アニメでは遅くともループ15498回目の8月20日深夜に発覚します。

驚愕するキョン。泣きじゃくる朝比奈。にこやかな古泉。いつもどおりの長門。
しかし一同はその後、特に何もしないのです。(解決の為に動いた描写が無い。)

ループの内容が確認出来るのは、アニメで放送された12話から19話までの8回(いずれもキョン視点)に過ぎませんが、ループが(キョンにとって)発覚した15498回目から脱出成功した15532回目まで延べ34回、行動出来るチャンスはありました。
仮にアニメ13~19話の7日だけが全ループ中に「ループしていると気付いた2週間」だったとしても、7日……気付いた日は深夜だったので6日、ループ脱出に向けて何かしら行動するチャンスはあった訳です。
それにも関わらずキョン及びもっと状況を打破すべき朝比奈が何もしないのは何故なのでしょうか。
 ※原作だとループに気付いた回数は15498回中、8769回。ループに気付きつつも8769回何もしなかった(描写が皆無)のは異常である。勿論していた可能性はある。
 ※漫画版だと気付いたのは15498回中、8759回。後述するがこちらでは一応頑張ってた模様。
 ※アニメでは「気付いた回数」について全8話で言及無し。

「俺たちがこのことに気づいたのは何回目だ」
 俺の思いつきのような質問を、長門は予想していたかのように答える。
「八千七百六十九回目。最近になるほど、発覚の確率は高まっている」

出典 谷川流『涼宮ハルヒの暴走』角川書店〈角川スニーカー文庫〉、62頁

出典:谷川 流 (著), ツガノ ガク (イラスト)『涼宮ハルヒの憂鬱 5』角川書店〈角川コミックス・エース〉、44頁

この謎を考える前に、第一疑問に付属する次の謎から考えたいと思います。

■第二疑問とその解釈的解答

何故、長門そして古泉は何もしなかったのか。

超能力機関に属する彼にとって、このループはどんな意味を持つのか……。

彼女の正体こそ宇宙人のUIだが、その体は人間と同じ構造の生身である。(全く同じでは無い。)

キョンや朝比奈と違い、この二人(特に長門)は超常的なパワーを持っています。にも関わらず介入的アプローチ等、ループ脱出に奔走している描写は皆無です。なんでやねん。

これについては劇中の描写やキャラ設定などで説明は可能です。

先ず、長門は一貫して観測者(傍観まではいかない放任寄りの中立)の立場を取っており、それは劇中でもセリフされます。

長門側、情報総合思念体(以下宇宙人)にとってハルヒとその騒動は、目的の為の観測対象であり、宇宙人側が能動的にハルヒに介入する事は「自律的な進化」と相反しかねません。
この事から、宇宙人のインターフェースである長門が、その権限を超えて個人的に自由にあれこれするのは困難であったと推測出来ます。

強いて何か出来るとしたら、立場を超えない範囲でのキョンたちからの質問などに対するリアクションや、キョンへのジト目くらいが精一杯でしょう。

そしてこれはあくまで長門の自発的な言動の限界であり、受動的な言動とはまた別です。
更にいずれは長門もループ問題に関し動かなくてはならなくなる可能性があります。それらについては合わせて後述します。

古泉に関しても、長門と似た様な状況であると考えられます。
古泉が所属する”機関”の目的は、現状世界の破滅を防ぐ事であり、具体的には「ハルヒを退屈させない事(ストレス対策)」です。
ループ上の世界は客観視すれば歪ですが、内情ハルヒの精神は基本的に安定しており(アレが出現する等の極端な変異が世界に見られないetc)、古泉側にしてみれば態々ループを脱出する必要は特に無かったりする訳です。

ハルヒがアレな時に出現するアレ。

ハルヒがループに全く自覚していない事に対し「して貰っては困るというのもありますが」と言う彼の劇中のセリフ(原作5巻56頁)が、その裏付けに相当すると思われます。

しかし、元々ハルヒの心残りが転じてループ発生の起因となっているので、いずれ彼もまた率先して頑張らなくてはならなくなる可能性があり、それについても後述します。

■第一疑問での『朝比奈みくる』

エンドレスエイトⅧでの彼女。
声優さんたちのアドリブがクソ面白い。

次に考えるのは朝比奈です。
上記した二人と並び超常組ですが、彼女は特殊能力を殆ど持っていません。
ギリで使えるTPDDも許可制であり、異能的な部分は情報ですら彼女の権限的にほぼ「禁則事項」に値してしまう為、個人的な能力はキョンと等しく一般人と変わりないレベルです。

【TPDD】
正式名称「タイム・プレーン・デストロイド・デバイス (Time Plane Destroyed Device:時間平面破壊装置)」の略。平たく言えば、タイムマシン。「航時機」とも呼ばれ、未来人が時間移動の際に使用する。デバイスと言っても物理的な装置ではなく、使用者の脳内に無形で存在するという。

彼女は、基本的に真面目で努力家なキャラクター故、ループ期間中、本当に何もしていなかったとは思えませんが、それが物語に色を添える程の効果は無かった模様。

つまり彼女に関しては” 何もしなかった ”ではなく” 何も出来なかった ”が正しいと思われます。

■キョンは本当に何もしなかったのか。

マジで毎回こんな感じ。

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