糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。
血糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままで放置されると、血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、より重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながります。また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などをおこすことがあります(糖尿病の急性合併症)。
わたしたちが食事をした時には、栄養素の一部が糖となって腸から吸収されており、寝ている間など、食事をしていない時間が続く時には、肝臓が中心となり糖を作っています。糖はからだにとって大切であり、食事をした時も、食べていない時も、常に血液中に流れています。糖は血液の流れに乗って、からだのあらゆる臓器や組織へめぐります。
血液中をただよい、筋肉などの細胞の前にたどり着いた糖は、同じく血液中に流れていたインスリンの助けを借りて細胞に取り込まれます。取り込まれた糖は、私たちのからだが活動するためのエネルギーの源となります。
糖尿病ではない方の場合は、糖が細胞の前に到着すると、インスリンが細胞の入り口を開けてくれて、すみやかに細胞の中に入ることができます。インスリンは細胞のドアを開ける鍵のような役割を果たしています。(図1:糖とインスリンの働き)そのため、糖は血液の中にあふれることはなく、血液中の糖の濃度は一定の範囲におさまっています。
すい臓はインスリンを作り出しますが、2型糖尿病では、量が十分ではない(インスリン分泌不全)か、作られたインスリンが十分作用しません(インスリン抵抗性)。以前は「インスリン非依存型糖尿病」と呼ばれていました。
2型糖尿病は最も一般的な糖尿病で、10人に9人以上はこのタイプです。若い人でも発症する場合もありますが、40歳を過ぎてから発症する場合がほとんどです。
すい臓がインスリンをほとんど、またはまったく作ることができません。
よって、インスリンを注射しなければなりません。このため、以前は「インスリン依存型糖尿病」とも呼ばれていました。
糖尿病の患者さんのうち、1型糖尿病は10人に1人もいません。
若い方の糖尿病では1型糖尿病が多いですが、年齢に関係なく発症が見られます。
ネルギーのもととなる三大栄養素は、炭水化物・たんぱく質・脂質です。
炭水化物
炭水化物
ブドウ糖となり、私たちのからだのエネルギー源となります。
たんぱく質
たんぱく質
筋肉や臓器などからだを形作る重要な栄養素です。
脂質
脂質
からだのエネルギーとなり、ホルモン、細胞などを 作る材料となります
それぞれ、からだの中では欠かすことのできない栄養素です。
また、骨や歯の材料となるのは、カルシウムなどのミネラルです。身体の働きを正常に保つためにも、さまざまなミネラル(鉄・銅・亜鉛など)やビタミンなどが必要です。からだを作り、からだの調子を整えるには、さまざまな栄養素をバランスよく食べることが大切です。
食物繊維は野菜などに多く含まれている成分です。低エネルギーでとても太りにくく、血糖値の上昇も緩やかにするため、高血圧や肥満を予防する食材としても頻繁に登場します。
野菜などを肉や魚などよりも先に食べることで、お腹が膨らんで食べ過ぎを防ぐことができます。
最も良いとされている食べ方は「野菜→肉・魚→ごはん」の順番。この食べ方を行うだけで、血糖値の上昇を大幅に抑えることができます。
糖尿病にとって過剰な糖分は、もっとも摂り入れてはいけない成分です。
お菓子や果物、そしてお酒などは、多量の糖分が含まれているので控えることが重要です。
ですが、全く食べないと逆にストレスが高まることにもつながるので、その日の血糖値の状態を観察しながら、適度に少量食べることを心がけておくといいでしょう。
- 1
- 2