家族信託の基礎知識やデメリット

遺産相続に関する問題や悩みがある、老後の財産管理に悩んでいる、といった人も多いものです。そこで家族信託を考えてみるのも一つの方法です。家族信託とはどういったものか?家族信託の特徴やデメリットについて紹介しましょう。

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■家族信託の基礎知識

家族信託は遺産相続や老後の財産管理の方法の一つです。
どういったものか、基本的なことを知っておきましょう。

・家族信託とは?

「家族信託」は、不動産や預貯金などの財産を持つ人が、自分の老後や介護等、何か特定の目的の為に、その財産管理や資金の出し入れを、信頼できる家族に託すというものです。
従来の信託には、信託銀行などが行っている営利目的の商事信託と、信託報酬を得ないで行う民事信託がありました。
2007年に信託法が大きく改正され、民事信託の運用の仕方が明確になり、家族・親族が受託者となって財産管理を行うことがより簡単になりました。

・家族信託の仕組み

家族信託には登場人物が原則として3人出てきます。
委託者:財産を持ち、託す人です。この人が、「財産をどのようにしたいか」で家族信託の内容が決まります。
受託者:委託者の財産を託される人です。委託者の意向を反映させるために、実際に管理・処分を行っていくのが受託者です。
受益者:委託者の財産による利益を受け取る人です。

・信託ができる財産

信託は原則として「金銭的な価値があって」、「分離可能な特定できる財産」であれば、幅広い財産を信託することが可能です。
例えば、以下のような財産が代表的です。
1.金銭
2.有価証券(上場株式、非上場株式、国債など)
3.金銭債権(請求権、将来債権、貸付債権、リース・クレジット債権など)
4.動産(宝石・絵画・ペットなど)
5.土地、建物(不動産所有権など)
6.知的財産権(特許権、著作権など)

■家族信託のポイント

家族信託のポイントとして抑えておきたい点があります。

範囲の制限はありません。ただし信託法において「未成年者、成年被後見人、被保佐人は受託者になれない」と定められています。また業者が受託することも禁止されています。

・民法上所有権は受託者に移る

信託の設定によって、民法上の所有権(名義)は委託者から受託者へ移ります。従って、受託者に託された信託財産は、所有権限を持つ受託者の判断で管理・運用・処分することができるようになります。

具体的には、家族信託を事前に組んでおくことで、老親が入院・入所したために空き家となった実家(老親の自宅)を適切な時期に適正な価格で受託者が売却できる等のメリットがあります。

信託財産の所有権が受託者に移るとはいえ、これはあくまでも委託者から託された財産であって、受託者の固有財産とはいえず、受託者の固有財産とは法的に明確に区分(分別管理)されます。また、同様に委託者の固有財産とも分別管理されます。従って、信託開始後に委託者や受託者が自己破産したとしても、委託者や受託者の債権者に信託財産が差し押さえられることは基本的にありません。

・税務的に不利益が生じないかどうかは要検討

信託不動産に関する損失は、信託財産以外からの所得と損益通算して課税対象の所得を減らすことができません。また、その損失の翌年への繰越しもできませんので、税務的に不利益が生じないかどうかは、十分な検討・検証が必要です。

・遺言の機能も含まれる

家族信託には遺言の機能も含まれており、自分の死後に発生した相続にあたって受益者を誰にするかをあらかじめ指定することができます。

・高額な費用がかからない

一般的に知られる信託のように、銀行に受託者になってもらうと、高額の信託報酬を支払う必要があります。その点家族信託は、委託者と受託者の間で取り決めを行うことができるので、高額な費用がかからないというメリットがあります。

■家族信託のデメリット

家族信託にはデメリットもあります。
どのような点がデメリットとなるのか、注意したい点を知っておきましょう。

・不公平感があると揉める

相続トラブルが起きる最大の原因は、不公平感です。それが法律にのっとったものであったり、故人の遺言通りの相続であったとしても、思い通りの相続財産を受け取れなかった人の不満は不公平感となり、不協和音を生み出します。
家族信託では相続人もしくはそれ以外の人を受託者として財産の管理を任せることになるため、権限が集中することに不公平感を持つ人がいても不思議ではありません。

・二世代前の意向に拘束される

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