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フルローンで不動産投資を始めるメリットとデメリット
日本の現状は、不動産を購入する方には大変有利です。また、2019年9月に予定されている消費税増税を前に、不動産投資に踏み切ろう、その際には融資を利用しようとお考えの方もいらっしゃるものと思います。ここでは融資戦略のひとつであるフルローンについて、そのメリットやデメリットを交えて説明します。
住宅用にしても、投資用にしても不動産を購入する際は、頭金が必要となるケースが多いですが、フルローンの場合は、金融機関が頭金を必要とせずに不動産価格の100%を融資してくれます。
このフルローンを組む場合には、購入する物件の担保価値や借主の信用性などが審査に大きく関わってきます。
不動産ローンは10年や20年(住宅ローンは最長35年)という長い期間で返済するものなので、その間に融資を受けた人に何らかの事情が生じて、返済ができなくなる可能性もあります。
もし返済ができなくなれば、融資した銀行などは損をしますので、担保が必要です。不動産ローンの場合、その担保は購入する不動産そのものです。
融資査定の際に金融機関は、担保となる不動産の価値を算出し、ローン残債を回収できるだけの売却金額が確保できるかどうかを調べます。つまり、どれだけ融資を受けられるかは、購入する不動産の担保価値によって決まるのです。
さらに、肝心の購入者に返済能力がなければ、融資をするわけにはいきません。購入者のローン返済における信用性も調査されます。
これらの審査基準をクリアすれば、頭金を用意することなくフルローンを利用して不動産を購入することができます。
フルローンのメリットは、単に頭金を支払う現金が不要であることだけではありません。ほかにどんなメリットがあるのかをご紹介します。
・低金利での借入ができる
まずフルローンを利用することで得られるメリットは、現在の低金利を利用してローンを最大限に組めることです。不動産投資による物件購入となれば、その金額は相当に大きなものとなります。借入金利がわずかに違うだけで、返済金額は大きく変わります。
ローンで不動産を購入するとなれば、当然その金利も支払うことになります。しかしそれ以上の利回りが期待できる物件を購入すれば、借入金額が大きくなるほど利益も増えるでしょう。
つまりフルローンを利用するのは、利回りが高い投資価値のある物件を購入することが前提となります。この条件であれば、今の低金利時代にフルローンを組むメリットが生まれます。
・資金を別の投資に回すことができる
フルローンを組むためには、利回りが高く、投資価値のある物件を購入することが必要であると説明しました。
そしてもうひとつ、大事なことは、ある程度の自己資金を持っているということです。つまり本来は頭金を支払うことができる程度のお金を持っていることが重要です。
ある程度の資金をお持ちの方は、あえてフルローンを利用することで頭金が不要となり、そのぶんを他の投資に回すことが可能です。つまりフルローンの利用により、計画的な分散投資が可能となります。
・いざという時のために現金を確保できる
不動産投資におけるリスク回避として、現金を確保できるのもフルローンのメリットです。たとえば、購入した投資用不動産の利回りが何らかの理由で低下した場合、早急に売却する必要があります。
そのような時、売却代金でローンを完済できなければ、残債を支払うための現金が必要になります。そのようなリスクに備えて現金を確保できます。
あるいは、他に利回りの高い物件に買い替える場合にも、手元に現金があれば支払いもスムーズです。しかし、手元に現金を残さずに不動産投資をすると、いざという時に身動きが取れず、最悪の場合には不動産を失い借金のみが残ることにもなりかねません。
つまり、フルローンを利用することで、手元に現金を確保することができます。そして順調に収益を生み出せば、手元にはさらにキャッシュが積み上がることになります。
次にフルローンで不動産投資をすることで生じるデメリットについて考えてみます。
・フルローンは金利が高めに設定される
不動産投資ローンは、もともと金利が住宅ローンより高めに設定されていますが、頭金を入れないフルローンの場合、融資をする金融機関にとってはリスクも高まることから、金利をさらに高く設定します。
ローンの金利が増えれば、それだけ収益性は低下します。そのために利回りが少しでも高い物件を探さなければなりません。低金利が続いている2018年現在、不動産相場は上昇しています。それに対して家賃の利回りは、中国やシンガポール、ニューヨークなどと同様に低く推移しています。
特に賃貸需要が多い東京の物件は価格が高く、収益性の確保は難しくなっています。そのため、フルローンを使って購入するに値する物件を探すことが難しいことも、デメリットといえるでしょう。
・ローン返済額が多く、キャッシュフローは小さくなる
頭金を用意した場合よりも、当然ながらフルローンのほうが毎月の返済額は多くなります。「自己資金を用意しなくても良い」「頭金0円」というと聞こえは良いですが、裏を返せば100%借金をして物件を購入しているということになります。
そのため、しっかりシミュレーションを行わないと、返済できずに破綻するおそれもあります。満室収入に対する返済額の割合は、最低限50%以下にする必要があります。
さらに、フルローンの場合はキャッシュフローが小さくなると言われています。
キャッシュフローとは、最終的に手元に残るお金のことで、投資家にとっては一番大切なお金です。
不動産投資におけるキャッシュフローは簡単に言うと、得られた家賃収入から諸経費(修繕費や建物の損害保険料、固定資産税など)やローンの返済額などを引いたものになります。
・売却が難しくなる
不動産投資は収益性が重要です。たとえば保有する物件の近くに大型マンションが建設されて、その購入者が賃貸に出すとなれば入居者はそちらに流れてしまいます。そうなると自分が保有する物件の入居率は低下し、家賃を下げざるを得なくなるでしょう。そのまま保有を続けても収益性は低下しますし、投資価値も低下するので、早めに売却することが必要です。
フルローンを利用して、多額のローン残債がある場合、売却時に一括返済ができるかどうかという問題が生じます。ある程度の現金を残していれば、ローン残債の返済に充てることができますが、手持ち資金もなくフルローンを利用すると、売却のタイミングを逃す可能性があります。
フルローンのメリットとデメリットを考えると、利用する際には何が大事なのかが見えてきます。
・必ず現金は用意しておくこと
フルローンで投資用不動産が購入できるからと、資金的な余裕がないのに不動産投資をすることはおすすめできません。投資活動には少なからずリスクがありますし、万が一の時に備えて現金を用意しておくことが大事です。
もちろんフルローンで不動産を購入できるからといって、ある程度の現金による支払いは必要です。中古物件であれば仲介手数料を支払いますし、登記費用などの諸費用は現金で用意する必要があります。それらを支払ったうえで、現金を残すだけの余裕は必要です。
・購入者としての信用力を高めておく
フルローンを利用するための条件として、不動産の担保価値ともうひとつ、購入者の信用力が必要です。いわゆる属性とよばれるものですが、具体的には勤務先への勤続年数や年収、過去の借入と返済履歴などをチェックされます。これらの属性を上げておくことで、フルローンを利用しやすくなります。
・金利の低い金融機関から借りる
フルローンを提供する金融機関はいろいろとありますが、それぞれ設定する金利が異なります。同じ融資を受けるのであれば、少しでも金利の低いほうが収益性も高まるので有利です。
中でも人気の高いのが、日本政策金融公庫です。民間の銀行などに比べて金利が低く、融資期間も長く設定できます。
日本政策金融公庫は一般的には、基準金利は1.25%から1.85%、借入期間は5年から15年です。ただし女性の場合には最低金利の0.55%で融資を受けることが可能です。日本政策金融公庫は、返済能力の高い人を優先に融資する機関ではありません。働き盛りの30代や40代の男性は、返済能力が高いにも関わらず融資がおりないこともあります。
ただし低金利での借入や、借入期間を長くするためには預貯金の残高やクレジットカードなどの借入残高、収入などが審査対象となります。借入をするには、やはり個人の属性を上げておくことが大事です。
フルローンは、担保価値の高い物件を安く購入する時に利用できるものですが、資金的な余裕がなければ、どれほど収益性の高い物件を購入できたとしても、投資に失敗するだけでなく、ローンも返済しきれずに破綻する可能性があります。
ご紹介したポイントをもとにフルローンの利用を検討し、かしこい資金繰りで不動産投資を行うことをおすすめします。
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