次にフルローンで不動産投資をすることで生じるデメリットについて考えてみます。

・フルローンは金利が高めに設定される

不動産投資ローンは、もともと金利が住宅ローンより高めに設定されていますが、頭金を入れないフルローンの場合、融資をする金融機関にとってはリスクも高まることから、金利をさらに高く設定します。

ローンの金利が増えれば、それだけ収益性は低下します。そのために利回りが少しでも高い物件を探さなければなりません。低金利が続いている2018年現在、不動産相場は上昇しています。それに対して家賃の利回りは、中国やシンガポール、ニューヨークなどと同様に低く推移しています。

特に賃貸需要が多い東京の物件は価格が高く、収益性の確保は難しくなっています。そのため、フルローンを使って購入するに値する物件を探すことが難しいことも、デメリットといえるでしょう。


・ローン返済額が多く、キャッシュフローは小さくなる
頭金を用意した場合よりも、当然ながらフルローンのほうが毎月の返済額は多くなります。「自己資金を用意しなくても良い」「頭金0円」というと聞こえは良いですが、裏を返せば100%借金をして物件を購入しているということになります。

そのため、しっかりシミュレーションを行わないと、返済できずに破綻するおそれもあります。満室収入に対する返済額の割合は、最低限50%以下にする必要があります。

さらに、フルローンの場合はキャッシュフローが小さくなると言われています。
キャッシュフローとは、最終的に手元に残るお金のことで、投資家にとっては一番大切なお金です。

不動産投資におけるキャッシュフローは簡単に言うと、得られた家賃収入から諸経費(修繕費や建物の損害保険料、固定資産税など)やローンの返済額などを引いたものになります。

・売却が難しくなる
不動産投資は収益性が重要です。たとえば保有する物件の近くに大型マンションが建設されて、その購入者が賃貸に出すとなれば入居者はそちらに流れてしまいます。そうなると自分が保有する物件の入居率は低下し、家賃を下げざるを得なくなるでしょう。そのまま保有を続けても収益性は低下しますし、投資価値も低下するので、早めに売却することが必要です。

フルローンを利用して、多額のローン残債がある場合、売却時に一括返済ができるかどうかという問題が生じます。ある程度の現金を残していれば、ローン残債の返済に充てることができますが、手持ち資金もなくフルローンを利用すると、売却のタイミングを逃す可能性があります。