不動産投資にシェアハウスを選ぶメリットとデメリットを解説

若者を中心に人気を集めているシェアハウス。少ない投資で優れた収益が期待できるため、不動産投資家の間でも注目されています。その一方で、比較的新しい形態のためトラブルも多く、投資に失敗する投資家が多いのも事実です。ここでは、シェアハウス投資のメリットやデメリット、物件選びの注意点について紹介します。

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シェアハウスとは?

一般的に、自分の部屋以外に共用スペースがある賃貸住宅を「シェアハウス」と呼びます。
初期費用や家賃が安いので、若者を中心に需要が高いのが特徴です。

共用スペースにはキッチン、シャワー、ラウンジや、トイレなどが含まれます。物件によっては、大型のスクリーンが設置されたシアタールームや、楽器が演奏できる防音室なども完備されています。

居住性だけでなく、インテリアやデザイン、設備などが個性的なシェアハウスは人気が高く、通常のワンルームマンションにはない雰囲気を楽しむために入居する若者も増えてきています。

また入居者同士の関わりがあるのも、シェアハウスの特徴です。サイクリングやガーデニング、スポーツなど、特定の趣味を持っている入居者に向けたシェアハウスも登場しています。このほか、起業家の支援などを行うビジネスパーソンを集めたシェアハウス、保育設備を併せ持った、シングルマザー向けのシェアハウスなどの「コンセプトシェアハウス」も増えています。出会いを求める男女が集まるシェアハウスも人気です。

以前は東京などの首都圏に集中していたシェアハウスですが、近年では全国的に増加傾向にあります。国土交通省の「共同居住型賃貸住宅(シェアハウス)の運営管理ガイドブック」によれば、利用者は女性が多く、主に20代から30代の学生や社会人が大半を占めています。事業者数も増加の一途を辿っており、大半は新規参入業者です。シェアハウス経営を新たなビジネスチャンスと捉えている企業が多いことが分かります。

シェアハウスのメリット

不動産投資の観点から見た場合、シェアハウスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

○収益性の高さ
1つの物件に多くの入居者が集まるため、個々の家賃は低くても、賃料収入の総額は大きくなります。シェアハウスは、費用対効果に優れた投資対象といえるでしょう。
例えば、1Kの家賃相場が月額6万円のエリアで、3LDKの物件を貸し出すことにした際、3倍の価格である18万円に設定するのは難しいかもしれません。 ところが、3LDKをシェアハウスにした場合、そのシェアハウスならではの特徴や、付加価値をつけることによって、1部屋あたり6万円の家賃を取ることも可能になります。


○空室率を低くできる
部屋の分割によって家賃収入が成り立っているので、その中の1つが空室になっても家賃収入がゼロにはなりません。全室が空室にならない限り、その「家」に対する賃料は途切れないため、戸建てとして賃貸に出すよりも安定した賃貸経営が期待できます。

○入居者が決まりやすい
シェアハウスの入居者はさまざまな目的で入居しますが、「とにかく安く済ませたい」「国際交流がしたい」「寝るスペースがあればいい」などニーズが分かりやすいため、一般的な賃貸物件に比べると入居者がスムーズに決まります。

○柔軟性が高い
シェアハウスはアパート経営と違って、キッチンなどを「共用部分」として使えるため、条件に合う戸建てがあれば、そのままシェアハウスとして活用することができます。様々な物件が活用対象になるので、柔軟性が高いのもシェアハウスの魅力といえます。

○付加価値をつけられる
「ペット可」「楽器演奏OK」「女性専用」など、特定の付加価値をつけることで、入居者がシェアハウスを選びやすくなります。また、同じような価値観を持つ入居者が集まるため、入居者同士の親交も深まり、トラブルの発生率が下がります。

□シェアハウスのデメリット
メリットの多いシェアハウスですが、投資をするうえで考慮しなければいけないデメリットもいくつか存在します。

○地域が偏っている
シェアハウス利用者が全国的に増加傾向にあるとはいえ、地方での経営はまだまだ難易度が高いのが特徴です。シェアハウスの認知度が低いのもありますが、何よりも利用者層が薄く、経営が成り立たない可能性が高いです。
シェアハウスは、東京をはじめとした都市部での経営がベターと言えます。

○入居者同士のトラブル
自分の部屋以外は全て共有スペースなので、ライフスタイルの違いやマナーの問題から、入居者同士がトラブルに発展するケースも珍しくありません。ゴミ捨ての場所や時間を決める、共有スペースの利用時間を定めるなどで、ある程度はトラブル防止に役立ちます。

期間限定で賃貸契約を結ぶ「定期借家契約」で、契約を都度見直すのもトラブルの防止には有効です。契約期間を短めに設定して、トラブルの元凶になるような人物と再契約をしないなどの対策をしてください。たったひとりの問題ある入居者が原因で、空室率が上がってしまう事態は絶対に避けなければいけません。

○設備費や管理費がかかる
運営コストの安さがシェアハウスの魅力ですが、普通の賃貸物件と違い、共用部分の設備や家具のほか、掃除機や洗濯機などの共用家電製品も運営側が用意する必要があります。

さらに、専門業者に管理を委託すると、管理費として家賃の5%~20%程度を取られるなど管理費がかかるのもデメリットです。管理費を節約するために、オーナーが自ら管理をしているシェアハウスも多く見られます。その場合、オーナーが入居者同士の人間関係にまで気を配らなければいけません。

○退去率の高さ
気軽に入退去できるため、短期間で退去する利用者が多いのもシェアハウスのデメリットです。ちょっとした入居者間のトラブルで退去してしまう住民もいます。

シェアハウス投資のリスク

シェアハウス投資をするうえで、気をつけるべきリスクについて紹介します。

○入居者選びによるリスク
気軽に入退去できるシェアハウスだからこそ、入居者は慎重に選ばなければいけません。共有スペースで一日中他人と接する機会があるため、些細なことでもトラブルの元になります。入居審査時に直接本人と会って話をするなどの対策は必要です。

○出口戦略がない
銀行では、シェアハウスは寄宿舎として扱われ、融資されにくい問題があります。現金一括で対応すれば問題はありませんが、そうすると今度は、売却しづらくなってしまいます。

売却時に購入希望者がいたとしても、銀行からの融資がつかないため、最終的には購入を断念してしまう可能性があります。次第に購入希望者がいなくなり、結局売却できなかったということもあります。このように、出口戦略が少なくなるのも、シェアハウス特有のリスクといえるでしょう。売却以外では、二世帯住宅として自宅に利用するなどの方法が考えられます。

○その他のリスク
寄宿舎として扱われるシェアハウスは、一般住宅と建築基準や消防の基準が異なります。それぞれの基準を満たすために工事をすれば、追加費用が発生してしまいます。なお、基準を満たさずシェアハウスの経営を続けた場合、非合法シェアハウスとみなされ行政指導が入ります。これを避けるには、古くても現行の耐震基準に適合している物件を探す必要があります。

コンセプト付きのシェアハウスにもリスクは伴います。「女性限定」や「年齢制限付き」などの物件は特定の利用者層に対する訴求力が強くはなりますが、客層を限定することにもつながります。付加価値を付ける場合には、周囲のシェアハウスや、地域の特性などを考慮してください。

シェアハウスの物件選び

シェアハウスの利用者は大半が若年層です。駅チカで利便性の高い立地が求められますが、駅から徒歩数分のエリアに、シェアハウスとして活用できるような大型の戸建てはなかなかありません。
だからといってシェアハウス用に新築物件を建てれば、収益バランスが崩れ、シェアハウス経営の利点が失われてしまいます。たとえ時間がかかっても、慎重な物件選びを続けることが、シェアハウス投資成功への第一歩です。

シェアハウス用物件の間取りは、部屋数が重要です。理想は4DKや5DKの物件です。なお、部屋数の多さと管理の煩雑さは共有設備が多い為、それほど比例しません。

○経営前に用意する物
シェアハウスオープン前に用意しておくべきものをご紹介します。

・電子レンジ
・冷蔵庫(家庭用最大サイズ推奨)
・炊飯器
・トースター
・ドライヤー
・テレビ
・カーテン

キッチン周りの小物も用意しておきましょう。

・鍋
・フライパン
・各種皿
・スプーン
・フォーク
・まな板
・包丁
・マグカップ

シェアハウスの入居者は若年層で、低所得者が多い傾向にあります。中には、ほとんど着の身着のままで入居してくる人もいますので、手ぶら状態での入居でも、すぐに日常生活が送れるような設備や小物の準備は欠かせません。

続いて、各部屋に必要な設備です。

・ベッド
・カーテン
・机
・イス

このほか、玄関に各部屋用のポストを設置する必要があります。

普通の一軒家を購入した場合には、シェアハウス用にするためのリフォームが必要です。
各部屋に設置する設備では、以下のようなものが考えられます。

・テレビ線
・鍵付きのドア
・和室を洋室にする
・スイッチ増設

リビングのデザイン性や居住性は後回しで構いません、シェアハウスで出会いを探している層は一定数いますが、実際には、コストと利便性を重視している入居者がほとんどです。彼らの大半は、居住性よりも、利便性と家賃の安さでシェアハウスを選びます。
例えば、デザイン性はあるが立地が悪い物件だと入居者が全く集まらずに投資失敗となる可能性もあるので要注意です。

賃貸経営である以上、空室期間はできるだけ短くしなければいけませんので、シェアハウス投資に焦りは禁物です。「都心部に近い」「駅からさほど離れていない」など、絶対譲れない条件を設定して、妥協することなく物件探しを続けてください。

シェアハウス投資は、通常の不動産投資とは異なるリスクやデメリットがあります。シェアハウス固有のリスクや対処法が事前に分かっていれば、経営を始めた後でトラブルに悩まされるケースを減らすことができます。メリットデメリットをしっかりと理解して、利用者ニーズを掴み、付加価値を高めていけるかが、シェアハウス経営成功のカギです。

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