不動産投資の観点から見た場合、シェアハウスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

○収益性の高さ
1つの物件に多くの入居者が集まるため、個々の家賃は低くても、賃料収入の総額は大きくなります。シェアハウスは、費用対効果に優れた投資対象といえるでしょう。
例えば、1Kの家賃相場が月額6万円のエリアで、3LDKの物件を貸し出すことにした際、3倍の価格である18万円に設定するのは難しいかもしれません。 ところが、3LDKをシェアハウスにした場合、そのシェアハウスならではの特徴や、付加価値をつけることによって、1部屋あたり6万円の家賃を取ることも可能になります。


○空室率を低くできる
部屋の分割によって家賃収入が成り立っているので、その中の1つが空室になっても家賃収入がゼロにはなりません。全室が空室にならない限り、その「家」に対する賃料は途切れないため、戸建てとして賃貸に出すよりも安定した賃貸経営が期待できます。

○入居者が決まりやすい
シェアハウスの入居者はさまざまな目的で入居しますが、「とにかく安く済ませたい」「国際交流がしたい」「寝るスペースがあればいい」などニーズが分かりやすいため、一般的な賃貸物件に比べると入居者がスムーズに決まります。

○柔軟性が高い
シェアハウスはアパート経営と違って、キッチンなどを「共用部分」として使えるため、条件に合う戸建てがあれば、そのままシェアハウスとして活用することができます。様々な物件が活用対象になるので、柔軟性が高いのもシェアハウスの魅力といえます。

○付加価値をつけられる
「ペット可」「楽器演奏OK」「女性専用」など、特定の付加価値をつけることで、入居者がシェアハウスを選びやすくなります。また、同じような価値観を持つ入居者が集まるため、入居者同士の親交も深まり、トラブルの発生率が下がります。

□シェアハウスのデメリット
メリットの多いシェアハウスですが、投資をするうえで考慮しなければいけないデメリットもいくつか存在します。

○地域が偏っている
シェアハウス利用者が全国的に増加傾向にあるとはいえ、地方での経営はまだまだ難易度が高いのが特徴です。シェアハウスの認知度が低いのもありますが、何よりも利用者層が薄く、経営が成り立たない可能性が高いです。
シェアハウスは、東京をはじめとした都市部での経営がベターと言えます。

○入居者同士のトラブル
自分の部屋以外は全て共有スペースなので、ライフスタイルの違いやマナーの問題から、入居者同士がトラブルに発展するケースも珍しくありません。ゴミ捨ての場所や時間を決める、共有スペースの利用時間を定めるなどで、ある程度はトラブル防止に役立ちます。

期間限定で賃貸契約を結ぶ「定期借家契約」で、契約を都度見直すのもトラブルの防止には有効です。契約期間を短めに設定して、トラブルの元凶になるような人物と再契約をしないなどの対策をしてください。たったひとりの問題ある入居者が原因で、空室率が上がってしまう事態は絶対に避けなければいけません。

○設備費や管理費がかかる
運営コストの安さがシェアハウスの魅力ですが、普通の賃貸物件と違い、共用部分の設備や家具のほか、掃除機や洗濯機などの共用家電製品も運営側が用意する必要があります。

さらに、専門業者に管理を委託すると、管理費として家賃の5%~20%程度を取られるなど管理費がかかるのもデメリットです。管理費を節約するために、オーナーが自ら管理をしているシェアハウスも多く見られます。その場合、オーナーが入居者同士の人間関係にまで気を配らなければいけません。

○退去率の高さ
気軽に入退去できるため、短期間で退去する利用者が多いのもシェアハウスのデメリットです。ちょっとした入居者間のトラブルで退去してしまう住民もいます。