1984年には、日本で初めての全身用経皮吸収型虚血性心疾患治療薬「フランドルテープ」を発売。
フランドルテープは、1984年に日本で初めての全身用経皮吸収剤として発売
以来、皮膚刺激の軽減や取り扱い性の改善を図るため、製剤の小型化や粘着剤の改良など4回の改良を行い、現在のフランドルテープに至っています。
日本初の貼る心臓病薬として定評の「フランドルテープ」は、皮膚に貼ることによって薬効成分・硝酸イソソルビド(ISDN)が吸収され、24~48時間の長時間にわたり効果を発揮します。
現行のフランドルテープは、支持体のPETフィルムが薄くなり、それにソフトな不織布を組み合わせることで、貼付時のフィット感と取り扱い性を向上させ、さらに皮膚からの水分蒸発量も多くしています。
通常、1回1枚を胸部、上腹部または背部のどちらかに貼付して下さい。心臓病に対する効果には影響ありません。
フランドルテープ40mg患者さま用貼り方説明書より
インタビューフォームには大腿部に貼付しても血中濃度推移に優位な差がないことが記載されている。
マークが気になり、目立たない場所への貼付を希望する場合は大腿部に貼付しても問題ない。ただし、このマークは救急治療時に目立つためでもある。
健康成人男子4名における胸部,背部,大腿部の貼付試験,および虚血性心疾患等の入院患者13名における胸部,腹部,背部,大腿部の貼付試験では,硝酸イソソルビドの血中濃度推移に有意差は認められなかった。
どうしても気になる場合には、胸や背中に貼る代わりに、太ももの部分に貼っても構いません。
ワイシャツの上からは透けて見えにくいような配色になっているので、鏡でどのくらい透けて見えるか確認するとよい。それでも気になる場合は太ももでも問題ない。
初回貼付時と再貼付時で、硝酸イソソルビドの経皮吸収速度(血中薬物濃度)および粘着力(剥離力)を比較したところ、有意な差は認められなかった。
この特徴は、同剤に使用されている粘着剤の物性によるところが大きい。皮膚への粘着力が弱いため、剥離時に皮膚角質層が付着しにくく、再貼付時に粘着力が低下しない。他の貼付剤と比べて、剥がれやすさはほとんど差がないという報告も。
粘着力は弱いものの、他の貼付剤と比較しても、貼付中の剥がれやすさにはほとんど差がないという報告もある。
これは、同剤の粘着剤層が柔軟なゲルで構成されているため皮膚への密着度が高く、皮膚の動きに貼付剤が追随しやすいためだと考えられている。
フランドルテープを健康成人男子6名の胸部に貼付した場合のテープ剥離後の硝酸イソソルビド血中濃度消失半減期は、24時間貼付の場合2.3時間、48時間貼付の場合2.4時間でした。
田中修ほか:臨床薬理1982;13(3):463-475
健康成人男子の胸部に本剤1枚(硝酸イソソルビドとして40mg)を貼付したとき、血漿中硝酸イソソルビド濃度は、貼付6時間後に2.29±0.23ng/mLに達し、12時間後に2.60±0.20ng/mLに達した後、24時間後でも2.28±0.19ng/mL、48時間後でも1.65±0.12ng/mLと安定した濃度を維持した。
剥がれなければ24~48時間は効果が継続することがわかる。
本剤は、角質保護システムを採用したことで粘着剤表面の粘着力が保たれるため、貼り直すことができる。
いったんテープをはがして、汗で濡れた肌を清潔なタオル等で拭き取り、テープのシワを伸ばしてから、部位を変えて貼付ける。 貼り直した後も安定した血中濃度推移が認められている。
硝酸薬によりレニン・アンジオテンシン系が活性化されることで、血管の収縮や体液量の増加が起こることが一因ではないかとも考えられており、これを回避するために、ACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などが使用されることがある。
硝酸薬は長期に渡って使用していると、耐性が生じる事が多く、一般的には間歇投与が推奨されています。
硝酸耐性の回避方法としては、ACE阻害薬やARBの併用よりもむしろ間歇投与療法が確実である。
耐性には2種類あると考えられている。1つは、「偽耐性」と呼ばれるもので、硝酸薬によってレニン・アンジオテンシン系やバソプレシンなどの神経体液性因子が活性化され、そのために血管の収縮や体液量の増加が起こり、耐性が生じるというもの。もう一つは血管平滑筋におけるcGMPの産生が障害されて硝酸薬の効果が減弱する「血管耐性」である。
ACE阻害薬は、亢進したレニン・アンジオテンシン系を阻害して耐性を回避する。むしろ、確実な耐性回避の方法として知られているのは硝酸薬の間歇投与療法である。
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