有効治療濃度域は0.8~2.0ng/mLとされています。
一般的に治療域は高く設定されており、心不全治療時では0.5~0.8ng/mL、心房細動治療時では1.2ng/mL未満が推奨されています。
有効治療濃度が約0.8~2.0ng/mlと狭く,その吸収・排泄や心筋感受性は個人差も大きいので患者の至適投与量の決定に血中濃度の測定は重要である.
ジギトキシンは有効血中濃度範囲が狭く、臨床で用いる際には薬物治療モニタリング(The●●●●utic Drug Monitoring、TDM)が必要となる。
出典 https://ja.wikipedia.org/wiki/ジゴキシン
中毒域と有効域が接近している薬なので、適切に効いているかなどを血液中の薬の濃度を測定して観察していく必要がある。
ジゴキシン(経口)は吸収・分布が遅く、血中濃度が安定するまでに6時間を要する。
そのため、服用後3時間程度での採血は血中濃度が中毒域に達していても中毒症状が起きていないことが多い。
6時間以上経過していないと採血測定の結果は利用できない。
(引用:ジゴキシン錠「NP」添付文書)
ジゴキシンの問題点として、有効域と中毒域の間が狭いということがあります。
そのため、過量投与になりやすく、量が多過ぎるとジギタリス中毒として心室性期外収縮、房室接合部性頻拍、房室ブロックなどの不整脈が表れてしまいます。
ジゴキシンは主たる消失経路である腎臓の機能や薬物相互作用などにより血清中濃度が変動しやすい。さらに、治療有効濃度と毒性発現濃度が接近している
そのため、適切な用量設定により血清中ジゴキシン濃度を有効治療濃度域に維持することが重要である。
ジギタリスは、血中濃度の治療域が狭く、黄視症以外にも、徐脈性または頻脈性の催不整脈作用、食欲低下などの副作用があります。
ゴッホの絵に黄色が多いのは、てんかん治療に用いられたジギタリス製剤による黄視症のせいという説もある。
これまでジゴキシンの治療域は0.8~2.0ng/mLとされてきましたが、近年、治療域内での副作用発現や、治療域を下回る濃度での有効性などの報告から再評価が求められてきたため、新たに目標血清中濃度をこれまでより低く0.7ng/mLを維持しうる至適投与量を推定する投与ノモグラムを作成しました。
最近は0.8~2.0ng/mLより下で設定されることもあるみたい。
従来,ジギタリスの治療域は0.8~2.0ng/mLとされてきたが,1.5ng/mL以上であれば中毒の可能性に注意を払うべきである。
実際にはジギタリス血中濃度がもっと低値であっても心筋内の局所濃度上昇により中毒症状を呈する例が存在する。
【高齢者への投与】
高齢者に投与する場合にはジギタリス中毒があらわれやすいので、少量から投与を開始し、血中濃度等を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
腎疾患のある患者[本剤の排泄が遅延し、中毒を起こすおそれがある。]
腎排泄型の薬物であり、P-糖蛋白質(P-glycoprotein)により血中から尿細管へと分泌・排泄される。そのため腎障害の患者に対する投与は不適である。
高齢者では、ジゴシン(0.25mg)1錠では多すぎることが少なくないので、少な目の量を維持量として使うようにする。維持量の決定の指標は、血中濃度よりも心拍数である。
ジゴシン血中濃度が治療目安濃度範囲以下でも、心拍数が良好に維持できていれば増量する必要はない。除脈とともに食欲不振などのジギタリス過剰や中毒が疑われるときには血中濃度を調べる。
高齢者では潜在的に腎機能が低下しているため、腎排泄のジゴキシンは0.125mg/日を超える投与を避けることが必要です(Beers criteria:American Geriatrics Society 2012)。
また、他薬剤との相互作用により、血中濃度が上昇し中毒となる例が報告されています。
投与初期に急速飽和療法を行うことがあります。しかし、急速飽和療法は過量になりやすいので、緊急を要さない場合は、ほとんど治療開始初期から維持療法が行われています。
また、急速飽和療法を必用とする場合は、注射によって行われることがほとんどなので、薬局では急速飽和療法の処方を受けることはほとんどない
急速飽和療法は一度に大量のジゴシンを投与することで、素早く治療効果を引き出す方法です。有効性を優先する場面で使用する方法といえます。
急速飽和療法では急激に血液の中のジゴシン量が増えるため、中毒になる危険性が高いです。そのため、救急処置が必要な心不全など命の危険がある人に用いられる場合がほとんどです。
急速飽和療法(飽和量:1.0~4.0mg)
初回0.5~1.0mg、以後0.5mgを6~8時間ごとに経口投与し、十分効果のあらわれるまで続ける。
飽和療法は過量になりやすいので、緊急を要さない患者には治療開始初期から維持療法による投与も考慮すること。
急速飽和療法(飽和量:1.0~2.0mg)
1回0.25~0.5mgを2~4時間ごとに静脈内注射し、十分効果のあらわれるまで続ける。
静注で急速飽和させる場合は、1回で有効領域内に入れるよりも、4回に分けた方が安全とされる。(6時間おきに1/4ずつ投与)
ジギタリスには予後改善効果が認められないため、現在では心不全治療薬の第一選択は予後改善効果のあるβ遮断薬やACE阻害薬となっています。
最近、超短時間作用型のβ1遮断薬であるlandiololがジゴキシンの静脈内投与よりも有効であったとする試験(J-Land)が日本で発表され、保険適応の追加がありました。
一般的に心不全を伴う頻脈性心房細動にはジゴキシンとβ遮断薬の併用投与が推奨されている
このように併用や、β遮断薬が使えない場合(喘息・COPD・心不全悪化など)の第二選択となることが多い。
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