涼宮ハルヒの憂鬱「エンドレスエイト」における最大の謎

ループ発覚後、何故キョンたちは何もしなかったのか?!未だ誰も考察しないこの謎を、紐解いていきます。

えぃりす姉さん さん

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次に主人公?キョンの言動を考えてみます。

ループを解消したのは「夏休みの最終日(8月31日)に宿題を(全部)やる」もしくは「みんなで宿題をする(分担的ヘルプ?)」と言う答えです。実際にはその時ハルヒ本人はキョンの妹と遊んでいた訳ですが……。

まさかと思うけど、「キョンの妹と遊ぶ」が答えじゃないよね。

ハルヒ本人が思いつかない回答ベースであった為、その案件は事件中、気付かれずかすりもしないまま見送られ続け、延べ15532回ものループを彼らは経験する事になります。(長門以外覚えていませんが。)
19話(15532回目)でその答えに辿り着いたのも、言ってみれば殆ど偶然であり、現行するキョンからすれば完全に”運”の判定です。(詳しくは後述。)

劇中キョンのセリフに「だがヒントは貰った。(中略)今の俺があるのは、先に二週間を過ごしていた、その俺達のお陰だろう」とあり、デジャブに関し、そういった願望込みの解釈をしています。
 ※原作でも同じ。漫画版はもっと突っ込んだヒントであると感じている。

出典:谷川 流 (著), ツガノ ガク (イラスト)『涼宮ハルヒの憂鬱 5』角川書店〈角川コミックス・エース〉、53頁

つまり、「19話目のキョン」がその二週間中に色々と試行錯誤した結果として、答えを閃いた訳ではないのです。

そして上記のセリフの意味は「1枚なら色の薄いフィルムでも15531枚重ねれば色濃くなる」であり、それぞれが色濃い事(1~15531回目それぞれの俺達が超頑張った)を指す物では恐らくありません。
これについて「勿論それでハルヒが満足してる筈がないと思ってはいたが、だからと言って何か手を打つ訳でもなく」というセリフが答えに該当し得る部分です。

いや、何かせぇよ!w

更には「もしまた繰り返すんなら、宿題なんてやった所で意味は無いしなぁ」「明日が来ようが来まいが、まあ、それはそん時の俺に任せりゃいいか」と言うセリフもあります。

人類はこれで滅びると思う。

どの角度から見ても「ループを脱出する為に何やかんや試して必死こいて頑張ってる」ようには思えません。
ただ毎回漠然とハルヒノルマを消化し日数を浪費するだけを繰り返しています。
強いて挙げれば、天体観測時のキョンと古泉のやり取りが、唯一、ループ解消に向けた行動だったかも知れないくらいです。

古泉はマジだった可能性がある。

あの普段と変わらぬじゃれあいが態々エピソードの一つとして描写される程なのだから、本当に彼らは事態の解決に向けて何の出発もしていないと解釈出来てしまいます。
 ※原作でも同じくハルヒの予定表以上の行動はしていない。
 ※漫画版では、何らかの節目で感じるデジャブを「それはもう試したがダメだった」サインとしてキョンは感じており、様々なアクションを講じてきた事が示唆されている。
  長門セーブポイントも試している可能性すらある。

■解決したのはキョンの強運

以上のように、彼らが解決に向けて何も行動していない事は明白・前提である為、他の成分がループ解消の解答を引きずり出した訳です。
それは「ハルヒ=神(厳密には違う)」と言う位置付けから、総体的解釈では自然にループが解消したと言えますが、ここは物語の締めとしても印象強い、キョンの強運(もしくは悪運)こそ、それに該当する答えだとしておきたいです。

エンドレスエイト最終回におけるキョンの持ち札。
交換無し。
ちなみに、ルールにもよりますがスペードが一番強いです。
確率は259万8960分の1。

何故なら答えにほぼ属する「宿題」と言う概念そのものが、基本「夏休み中にやるべき課題」としてハルヒからある種欠落しており、またそれを言及するシーンも劇中たったの1回しかありません。
 ※原作は花火時とバッティングセンターに行く前の2回。(40頁、70頁。)一応「課題」と「宿題」を繋げるヒントでもある。
 ※漫画版は思いっきりそれへの布石が描かれている。(合わせて5頁。)

出典:谷川 流 (著), ツガノ ガク (イラスト)『涼宮ハルヒの憂鬱 5』角川書店〈角川コミックス・エース〉、17頁

ハルヒ本人が「やり残しているものは宿題」だと自力で辿り着く事は確定的に不可能(既に済ましている)であり、またアニメではキョンたちがそれに気付く為のヒントが極端に少な過ぎる訳です。

あえて無理矢理ヒントとして挙げられるとすれば、上記した花火時でのやり取りで、キョンが「三日?!」とハッキリ驚く箇所があります。(原作には無い。)
このキョンの驚愕をハルヒが見逃していない限り、夏休みの宿題に関する引っかかりは双方に少なからず残っただろうと推定可能です。

そしてもう一つ、ハルヒが「あたしたちの」と断定した予定表が、やはりヒントになると言えなくも無いです。
例えば原作では26頁に以下の文章があります。

するとだ、あと以下これだけのメニューを二週間足らずでこなさないといけないわけか。しかも「その他」って何だ。まだ何かするというのか。

出典 谷川流『涼宮ハルヒの暴走』角川書店〈角川スニーカー文庫〉、26頁

メニューには書かれていないその他の成分に、さり気無くフォローを入れている。ような気がします。
ただ、これは原作のみの描写であり、アニメと漫画版にはありません。

その上アニメでは「その他」自体が書かれていない話があり、しかも書かれているのはエンドレスエイト1回目の12話を除き13~16話の前半4つです。

第16話「エンドレスエイトⅤ」より
”その他”の最期の姿である。

第19話「エンドレスエイトⅧ」より

第12話「エンドレスエイトⅠ」より

12話はデジャブの描写も無い為、ループする前日か限りなくループ前半と捉えるとして、徐々にカオスの矯正が蓄積されている筈の後半で重要な「その他」が”とりあえずメニューに出ない”のは、やや違和感があります。
と言ってもハルヒにその蓄積は適用されず皆無であるし、メニューは時間経過と共に増えていくので、その他と言う記述自体、ハルヒの気分で書かれた可能性が高いですが。
 ※漫画版には「その他」は書かれて無い。or見えない。

出典:谷川 流 (著), ツガノ ガク (イラスト)『涼宮ハルヒの憂鬱 5』角川書店〈角川コミックス・エース〉、17頁

■そもそも何故ループを解消しなくてはならないのか。

少なくとも19話(15532回目)の時点では、長門と古泉にとって、特にループされ続けて困る状況では無いです。
 ※この時点で長門メンタルへの累積ダメージは結構なものとは思われる。
古泉曰くループ上のハルヒは「常識的な範疇で楽しむ事を覚え始めた」また「そんな感じで楽しんでれば世界を揺るがす事はしないだろう」であり、平和だとしています。

しかしこのループの原因は”ハルヒの心残り”であり、このループは基本的にそれを解決する為のものでしかありません。