<為替> ユーロなど他の主要通貨が値を下げたことを受けて、ドルが上昇した。ユーロは欧州中央銀行(ECB)が来週6月5日の政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの観測から一時1.36ドルを下回る水準まで売られた。

ユーロの下落を反映する形で、主要通貨に対するドル指数<.DXY>は一時、8週間ぶりの高さとなる80.537をつけた。ニューヨーク取引時間のドル指数は0.21%高の80.522。

ユーロ/ドル<EUR=>はニューヨーク取引時間の序盤に2月中旬以来の安値となる1.3596ドルをつけた後、1.3602ドルまで戻した。

インフレ率を目標に向けて戻す手段があると言明したドラギECB総裁の今週の発言は、ECBによる大胆な追加緩和導入を意味すると受け止められた。来週の理事会でECBが複数の主要政策金利を引き下げるとともに、信用拡大に向けた手段を講じるとみる投資家が多い。

ドル/ポンドは0.55高の1.6720ドルで取引された。このところ英経済指標がやや弱いことや、現政権への対抗勢力が勢いを増す兆しが見えることが懸念され、ポンドはここ数日売られている。

円/ドル<JPY=>は0.24%安で取引された。

<株式> ロンドン株式市場は、FT100種総合株価指数<.FTSE>が6.28ポイント(0.09%)高の6851.22とほぼ横ばいで取引を終えた。製薬大手のグラクソスミスクライン<GSK.L>の下落が全体の重しとなった。

グラクソスミスクラインは、英重大不正捜査局(SFO)が同社の商慣行について刑事捜査に着手したことが嫌気されて1.6%下落した。同社に対しては既に中国など5カ国で賄賂の疑いがもたれている。

医療機器大手スミス・アンド・ネフュー(S&N)<SN.L>は、米同業のストライカー<SYK.N>による買収のうわさを手掛かりに一時17.5%上昇し、過去最高値となる1120ペンスをつけた。ストライカーがうわさを否定したことから、最終的には4.3%高で取引を終えた。

エンジニアリング大手のウィアー・グループ<WEIR.L>も早い時間の株価上昇が打ち消された銘柄のひとつ。額が高過ぎると懸念されていたフィンランドの同業大手メッツォ<MEO1V.HE>の買収を断念したことが好感されて買われたが、他の買収を模索するかもしれないとの観測が出たことで、最終的には0.8%下落して取引を終えた。

欧州株式市場は主要な株価指数がほぼ横ばいで取引を終えた。こうした中で、ポルトガルのPSI-20指数<.PSI20>は同国の銀行部門の前向きなニュースを追い風に上昇した。

FTSEユーロファースト300種指数<.FTEU3>は0.99ポイント(0.07%)安の1377.83で引けた。DJユーロSTOXX50種指数<.STOXX50E>は1.96ポイント(0.06%)高の3246.24。PSI─20指数は76.42ポイント(1.08%)高の7134.65だった。

ポルトガルの金融大手ミレニアムBCP<BCP.LS>は、偶発転換社債の償還を無事終えたと発表したことで株価が4.0%上昇した。欧州中央銀行(ECB)による域内銀行の資産査定(AQR)を控えて、投資家はBCPの健全性に自信を持った。

同国最大の銀行であるバンコ・エスピリト・サント<BES.LS>も、増資の一環として新株引受権を発行したことを支援材料に株価が3.9%上昇した。

欧州全体では、株価は高水準を保ちながらも上値が重かった。

オランダのスーパーマーケット大手アホールド<AHLN.AS>は3.3%の下落。主要市場である米国とオランダで利益が下がったことが嫌気された。FTSEユーロファースト300種の中で大幅に下落した銘柄の一つだった。