19日の米国株式市場は上昇して終了した。国債利回りの低下が追い風となったほか、インターネットやバイオテクノロジー関連株が買われナスダックを押し上げた。
S&P総合500種指数が1月以来となる2週連続の下落を記録し、最近の株式相場は圧力にさらされている。投資家が経済成長の見通しに関して懸念を持つようになったことが背景にある。
ジャニー・モンゴメリー・スコット(フィラデルフィア)の首席投資ストラテジスト、マーク・ラスチーニ氏は「相場におけるけん怠感は、投資家が現在直面している苦悩を物語っている。バリュエーションは十分に高いが、もう一段の伸びが見られない。経済の高成長が本格的に始まり、こうしたバリュエーションの高さを正当化できるだけの明白な証拠が見つからないためだ」と話した。
この日は成長期待の高い「モメンタム」株の上昇が目立ち、オンライン旅行サイトのトリップアドバイザー<TRIP.O>が5.2%上昇し、米オンライン動画配信大手のネットフリックス<NFLX.O>も4.2%値上がりした。医薬品の バーテックス・ファーマシューティカルズ<VRTX.O>も3.4%高となった。
インターネット関連とバイオ関連株はこの数週間に最も上下の振れ幅が大きかった業種の一つで、景気改善の兆候を材料に上昇する一方、バリュエーションが高すぎるとの懸念から売られるなどしていた。小型株のラッセル2000指数<.TOY>は1%上昇し、4営業日ぶりに反発した。同指数は度々調整圏内に接近し、直近の高値からは10%下落していた。
ダウ工業株30種<.DJI>は20.55ドル(0.12%)高の1万6511.86ドル。
ナスダック総合指数<.IXIC>は35.23ポイント(0.86%)高の4125.82。
S&P総合500種<.SPX>は7.22ポイント(0.38%)高の1885.08。
前日に米衛星放送大手ディレクTV<DTV.O>を485億ドルで買収することで合意した通信大手AT&T<T.N>は1%安となり、ダウ平均の上昇幅は限定的だった。ディレクTVも1.8%安となった。
英医薬品大手アストラゼネカ<AZN.N>の米国上場株は12%の大幅安。米医薬品大手のファイザー<PFE.N>による提示額引き上げ後の「最終的な」買収提案を拒否したことが材料視された。実現すれば世界最大の製薬会社の誕生となるはずだった。ファイザーは0.6%高をつけた。
米食品大手キャンベル・スープ<CPB.N>は2.4%安となり、S&P500種の下落銘柄上位の一角を占めた。四半期の売上高が市場予想を下回り、通年の売上高予想を下方修正したことが嫌気された。
引け後に第1・四半期決算を発表した米アパレル小売りのアーバン・アウトフィッターズ<URBN.O>は4.3%安となった。
序盤に米10年国債利回り<US10YT=PR>が2.5%近辺に低下したことが投資家の株式買いの理由となり、株式相場の上昇に寄与した。ただ、終盤に利回りは2.55%まで上昇した。
ニューヨーク証券取引所に上場する銘柄の約62%、ナスダックでは3分の2がプラス圏で取引を終えた。
BATSグローバル・マーケッツのデータによると、ニューヨーク証券取引所、ナスダック、NYSE MKTの3市場の出来高は約49億4000万株と、今月の平均である60億5000万株を下回った。
(カッコ内は前営業日比)
ダウ工業株30種(ドル)<.DJI>
終値(非公式) 16511.86(+20.55)
前営業日終値 16491.31(+44.50)
ナスダック総合<.IXIC>
終値(非公式) 4125.82(+35.23)
前営業日終値 4090.59(+21.30)
S&P総合500種<.SPX>
終値(非公式) 1885.08(+7.22)
前営業日終値 1877.86(+7.01)