<為替> ドルが円に対して約3カ月半ぶりの安値をつけた。米経済の先行き不透明感が根強いことから米国債の利回りが低下し、ドルが売られている。

ドル/円<JPY=>は101.11円と2月初旬以来の安値をつけた後、0.3%安の101.18円で取引された。ユーロ/ドル<EUR=>は0.2%高の1.3720ドルだった。主要通貨に対するドル指数<.DXY>は79.971とやや下落した。

まちまちな経済指標や米連邦準備理事会(FRB)のハト派的な姿勢が、米国債の利回りを押し下げており、結果として今年のドルは上がりにくい状態となっている。米長期金利の指標となる10年債利回り<US10YT=RR>は19日、2.51%に低下した。市場ではドル/円に最も大きなドルの買い持ちポジションが存在し、米国の利回りによって一番影響を受けやすい。

投資家はユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)や中国の5月製造業PMI、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨に注目している。

<株式> ロンドン株式市場は、FT100種総合株価指数<.FTSE>が11.26ポイント(0.16%)安の6844.55で取引を終えた。米医薬品大手ファイザー<PFE.N>による新たな買収案を拒否したアストラゼネカ<AZN.L>が大幅下落し、全体水準を押し下げた。

アストラゼネカは、買収額を1株当たり55ポンドに引き上げたファイザーの最終提案を拒否。株価は11.1%下落し、FT100種の中で最も大幅なマイナスとなった。

ファイザーが敵対的買収は行わないとしており、投資家はもう買収が成立することはないだろうとみている。ファイザーによる合併・買収(M&A)提案が報じられて以降、アストラゼネカの株価は27%上昇していた。

こうした中で、アイルランドの格安航空会社ライアンエア<RYA.I>の決算が市場予想を上回ったことを材料に、航空関連株が買われた。ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)を傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)<ICAG.L>は4.7%、格安航空のイージージェット<EZJ.L>は3.5%上昇した。

欧州株式市場は、下落して取引を終えた。米ファイザー<PFE.N>が提示した最終の買収提案を拒否した英医薬品大手アストラゼネカ<AZN.L>や、自己資本増強を発表したドイツ銀行<DBKGn.DE>が大きく値を下げ、全体水準を押し下げた。

FTSEユーロファースト300種指数<.FTEU3>は2.63ポイント(0.19%)安の1358.91で引けた。DJユーロSTOXX50種指数<.STOXX50E>は2.82ポイント(0.09%)安の3169.90。

アストラゼネカは、買収額を引き上げたファイザーの最終提案を拒否。これを受けてアストラゼネカの株価は11.1%下落し、FTSEユーロファーストの銘柄で最も大きなマイナスとなった。

ドイツ銀行は80億ユーロ(110億ドル)の資本増強計画を発表し、株価が1.7%下落した。ほかの銀行もバランスシート強化に向けて増資する可能性があるとの観測が出て、STOXX欧州600銀行株<.SX7P>は0.8%下げた。

ただ、FTSEユーロファーストとSTOXX欧州600銀行株は2013年の年初から20%近く上昇しており、投資家の間では欧州株の先行きについて楽観的な見方も存在する。

AXAインベストメント・マネージメントのシニア投資マネージャー、リチャード・マーウッド氏は、欧州中央銀行(ECB)が近く利下げに動くとの観測が株式を買い進める上で安心感を与えてくれていると指摘している。利下げは国債投資のリターンを損なうことにつながり、相対的に株式の魅力を増すことになるからだ。

<ユーロ圏債券> 今週末に欧州議会選挙を控え、このところ上昇していたイタリア国債やスペイン国債などの高リスク国債に利食い売りが出た。