イタリア10年債<IT10YT=TWEB>とスペイン10年債<ES10YT=TWEB>の利回りは一時低下していたものの、その後反転し、終盤の取引では10ベーシスポイント(bp)以上上昇、それぞれ3.06%、3.20%付近で推移している。
市場関係者によると、24─25日の欧州議会選挙で緊縮財政措置に反対する議員やユーロ懐疑派の得票率が伸びれば、改革に向けた取り組みが損なわれる可能性があるとの懸念が出ている。
ICAPのストラテジスト、フィリップ・タイソン氏は、「欧州議会選挙を控えた政治リスクが意識され、利食い売りが見られた」としている。
市場は特にギリシャでの展開に注目。野党が得票を伸ばせば、すでに足元が揺らいでいる連立与党が打撃を受け、総選挙に発展する可能性も指摘されている。
欧州中央銀行(ECB)が何らかの景気支援策を打ち出すとの観測が出ていたことで、欧州議会選を前にした市場の動揺はこれまでなかなか表面化してこなかった。
ダンスケ銀行のシニア・アナリスト、オーウェン・カラン氏は、「ECBが6月に何らかの新たな景気刺激策を打ち出すとの観測から、今月初めからロングポジションが大幅に積み上がっている」としている。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスが16日、アイルランドの格付けを「Baa3」から「Baa1」に2段階引き上げたことを受け、同国の10年債<IE10YT=TWEB>は一時低下したものの、取引終盤では3bp上昇の2.72%。利回り低下は長続きしなかった。
国際支援から脱却したポルトガルの国債利回りも上昇。10年債<PT10YT=TWEB>利回りは8bp上昇の3.86%となった。
ギリシャ10年債<GR10YT=TWEB>利回りは前週末につけた2カ月ぶりの高水準を若干下回る水準で推移。海外のギリシャ国債保有者が2012─13年に得たキャピタル・ゲインに関する納税義務を撤廃する方針が表明されたが、懸念の払拭には至っていない。