スタジオメルファンが手がける『真おくのほそ道』。
スタジオメルファンが手がける『真おくのほそ道』。

 1980年代、カネボウフーズ(現・クラシエフーズ)から発売されたシール付き菓子『ガムラツイスト』&『ラーメンばあ』。そこで展開した「覆面レスラーシール」のデザインを担当したデザイン会社・スタジオメルファンが手掛ける新作おまけシール付き菓子が今春始動する! その名も『真おくのほそ道』だ!

「もともと自分が東北出身だったこともあって、何か東北のためにできないかなと思って企画しました」

 そう語るのは、本商品を企画・販売する株式会社ワイエスコーポレーションの代表・保坂朋章さん。彼はかねてより、地元東北地方にゆかりのある江戸時代の俳人・松尾芭蕉を題材に何か面白いことができないかと考えていたそうだ。その思いは、2011年に東北地方を中心に大きな被害をもたらした東日本大震災をきっかけに、より強くなったという。

「東北をからめた食品を何か発売できないか。そこに隠密説、忍者説、スパイ説など諸説ある松尾芭蕉を題材にしたおまけシールをつけてみたら面白いんじゃないかと思って企画をスタートさせました」

 なぜにシールかというと保坂さん自身ももともとおまけシールコレクターでもあり、徐々にシールコレクターが高齢化し、かつユーザー数が減りつつある現状に閉塞感を感じていたからだと語る。

「今のおまけシール業界を支えているファンの中心は、昔からシールを集めているコレクターやコアなファンですが、徐々に高齢化が進み、業界もじりじりと縮小しつつあります。そこでおまけシール業界に新しいユーザー、これからコレクションしてみようという若いユーザーを呼び込めるような新たなシールを出したいという思いがありました。昨年、『ガムラツイスト』『ラーメンばあ』の『覆面レスラーシール』をデザインされていたスタジオメルファンさんにコンタクトをとって、一緒に新たなおまけシールを世に送り出そうということになりました」

 先述した「覆面レスラーシール」は、レスラー軍と麺魔軍という2つのプロレス団体の抗争を描くストーリーが描かれており、2~3枚重ねのシールをめくると新たなストーリーが展開したり、キャラクターが変化するといった凝った仕掛けが施されていた。発売されていた当時、先行する『ビックリマン 悪魔VS天使シール』(ロッテ)と並んで高い人気を誇り、「コミックボンボン」(講談社)でのコミカライズやテレビアニメなどのメディアミックス展開を行っていたことを覚えている読者諸兄も多いのではないだろうか。

 そんな「覆面レスラーシール」のデザインを担当していたスタジオメルファンが手掛ける新シリーズ『真おくのほそ道』は、そのタイトル通り元禄年間に活動した江戸時代の俳人・松尾芭蕉が著した紀行文集『おくのほそ道』をベースに、その裏で繰り広げられる幕府と敵対勢力の闘争を描くそうだ。そのストーリーはというと、妖怪や悪霊を束ねるキル邪神を封印する月満宝珠剣を抜いてしまった松尾芭蕉。封印が解かれたキル邪神軍団は、芭蕉の持つ剣を奪い、剣の力で世界征服を目論む。しかし、正義のために世界の神々を束ねる天山えびす神も、キル邪神の陰謀を防ぐべく動き始めた! といった具合に、何だかわからないが、かなり壮大な内容である。

「今回発売される第0弾では、原作の『おくのほそ道』の世界をキャラクター化したものと、シール独自のストーリーに沿ったキャラクターのシールになっていますが、次の第1弾からは後者がメインになる予定です。『おくのほそ道』の世界を舞台に、時空を超えた戦いを描いていければと思います」

『真おくのほそ道』シールのもう一つの売りであるお菓子「しょうゆキャンデー」にも注目だ。一見、「本当においしいの!?」と思われるかもしれないが、これが意外にイケるのである。醤油の風味と上品な甘さが融合した逸品となっている。