26日の米国株式市場は反落して引けた。米国と欧州連合(EU)はこの日、ブリュッセルで行った首脳会議で、エネルギー分野も含め対ロシア経済制裁の強化に向けて協力することで合意した。これを受けて地政学リスクへの懸念が再燃し、特に素材関連株とハイテク株に売りが出た。

この日の相場も不安定な展開が続いた。経済状況の改善を示す指標の発表を受けて午前はほぼ終始プラス圏で推移したが、午後にハイテク株が急落すると主要株価指数は下げに転じた。

ダウ工業株30種<.DJI>は98.89ドル(0.60%)安の1万6268.99ドル。

ナスダック総合指数<.IXIC>は60.69ポイント(1.43%)安の4173.58。

S&P総合500種<.SPX>は13.06ポイント(0.70%)安の1852.56。

ハイテク銘柄の中では、前日にバーチャルリアリティー(仮想現実)技術を手掛けるオキュラスVRを20億ドルで買収すると発表した米交流サイト(SNS)大手のフェイスブック<FB.O>が6.9%の大幅安となった。

この日ニューヨーク証券取引所に上場したキング・デジタル・エンターテインメント<KING.N>が15.6%安と急落したことも投資家心理を冷やした。モバイル用ゲーム「キャンディー・クラッシュ・サガ」などを開発・提供する同社はこの日、ニューヨーク証取で最も商いが活発だった。

ロシアのウクライナ編入を受け、米国と欧州連合(EU)はエネルギー分野も含む一段と厳しい対ロシア経済制裁の発動を視野に協力することで合意した。

オバマ米大統領はEU首脳と会談後、ロシアのプーチン大統領が西側諸国を分断できると考えているなら大きな誤算だと発言、「ロシアが態度を改めなければ同国の孤立は一層深まり、より厳しい制裁措置が発動される。これによりロシア経済にも影響が及ぶ」と述べた。

ロックウェル・グローバル・キャピタル(ニューヨーク)のチーフ市場エコノミスト、ピーター・カーディロ氏は「市場が現在の水準になかったら、大した出来事ではなかっただろう。株価が依然として史上最高値近辺にあるため、この種の地政学的ニュースは投資家を神経質にさせることがある」と話した。

投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>は6.5%高い14.93。同指数は通常、S&P総合500種に逆行することが多い。

業種別では、このところ売り込まれていたバイオテクノロジー株が一段安。ナスダックのバイオテクノロジー株指数<.NBI>は1.9%下落した。

素材株は1.4%安となり、S&P500種産業別10指数で最大の下げとなった。唯一の値上がり業種となったヘルスケア株<.SPXHC>は0.1%高。

全体相場の流れに逆行したのは米衛星放送大手ディレクTV<DTV.O>で5.7%高。同業のディッシュ・ネットワーク<DISH.O>も6.3%上昇した。ブルームバーグが関係者の話として、ディッシュのチャーリー・アーゲン最高経営責任者(CEO)が最近ディレクTVのマイク・ホワイトCEOに接触し、提携の可能性について協議したと報じたことが手掛かりとなった。

米連邦準備理事会(FRB)は取引終了後、シティグループ<C.N>など5つの銀行の資本計画を承認しなかったと発表した。FRBが大手行を対象に実施したストレステスト(健全性審査)で問題が発覚したとしている。シティ株は0.3%安で引けた後の時間外で5%以上売られた。

米商務省が発表した2月の耐久財新規受注は市場予想を上回り、3カ月ぶりにプラスに転じた。マークイットが発表した3月の米総合購買担当者景気指数は、サービス部門が上向いたことを受けて前月比で上昇した。

ニューヨーク証券取引所の騰落比率は下げ2に対して上げが1、ナスダックは下げ約4に対して上げが1だった。

(カッコ内は前営業日比)

ダウ工業株30種(ドル)<.DJI>

終値(非公式)    16268.99(‐98.89)

前営業日終値    16367.88(+91.19)

ナスダック総合<.IXIC>

終値(非公式)    4173.58(‐60.69)

前営業日終値    4234.27(+7.88)

S&P総合500種<.SPX>

終値(非公式)    1852.56(‐13.06)

前営業日終値    1865.62(+ 8.18)