証券取引等監視委員会は、野村ホールディングス<8604.T>など大規模で複雑な業務を手がける大手証券グループに対し、毎年1回の立入検査を含む通年の監視体制を導入する。25日発表した2014年度の証券検査基本方針・基本計画で正式に打ち出した。

大手金融機関については、金融システムの安定のため国際的に監視強化の動きが広がっている。日本国内での対応も足並みをそろえ、市場の安定性確保を図る。

通年監視の対象とするのは、野村ホールディングスと傘下の野村証券、大和証券グループ本社<8601.T>と傘下の大和証券。従来3─4年に1回だった立入検査を年1回に頻度を高めるほか、聴き取りやデータ収集などモニタリングも通年実施に強化する。

これまで、法令などの最低基準を満たしているかどうかを重視してきた着眼点についても、優れた経営体制の構築に向けた課題の検証へと、軸足を移す。大手証券には法令順守など基本的な経営意識の面で国内証券界をリードする立場を期待する。

監視委は新しい方針のもとで、両証券グループの取り組みを検証した上でモデルケースと位置づけ、業界全体の底上げを図りたい考え。他の証券会社を同様の検査の対象に加えるかどうかも検討していく。

一方、ファンド販売などを手がける第二種金融商品取引業者(二種業者)は従来、必要に応じて検査してきたが、これを定期検査の対象に加える。登録業者数は2月末時点で1271社あり、個人向けに多くのファンド持ち分を販売しているかどうかなどを判断基準として対象を絞り込む。

二種業者をめぐっては、米MRIインターナショナルが日本で二種業者として資金を集め1000億円規模を消失した事案などがあった。二種業者は事業内容や投資先が多様で、ビジネスの実態が見えにくい面がある。検査強化を通じて業界の実態把握を進め、MRIのような問題の再発抑止を図る。