30歳前後の女性がかかりやすい「多発性硬化症」―有酸素運動が症状改善に効果的
脳や脊髄(せきずい)の神経系の疾患で、再発を繰り返す難病、「多発性神経症」(MS)。日本人はかかかりにくいとはいえ、30歳前後の女性が最も罹患(りかん)しやすいと言われます。病気の概要と、有酸素運動によって脳の萎縮(いしゅく)を防げるという研究結果をご紹介します。
「多発性神経症」(MS)という病気をご存じですか?脳や脊髄(せきずい)の神経に異常が現れる病気で、自己免疫疾患の1つではないかと考えられていますが、はっきりした原因や治療法はまだ分かっていません。治ったように見えても再発するケースが多く、男性よりも女性、それも30歳前後で発症する人が多いそうです。
MSには視覚の異常、麻痺、運動機能の異常などさまざまな症状が現れますが、記憶障害もその1つ。脳の中で記憶を司る「海馬体」の萎縮(いしゅく)はMSの患者の50%にみられ、記憶力の低下などがみられます。これまで、この症状に有効な治療法はみつかっていませんでした。
研究チームは、MSの患者で記憶障害を持つ人を2つのグループに分け、週に3回、1日30分間のサイクリングまたはストレッチを3か月続けてもらいました。前後にMRIで脳のスキャンを観察したところ、サイクリング(有酸素運動)をした人は海馬体が16.5%大きくなり、記憶力自体も57.6%向上したそうです。
これに対し、ストレッチをした人は海馬体の大きさ。機能ともにほとんど変化はなかったそうです。
有酸素運動はダイエットや健康に効果的と言われていますが、脳の病気の改善にも有効だなんて驚きです。MSは治療が難しい難病ですが、このように有効な治療法が続々見つかるといいですね。
参考:Aerobic Exercise Benefits Memory in Persons With MS
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/11/131101125506.htm