15人に1人発症! 乳がんを予防する5つの生活習慣
いまや女性の15人に1人が乳がんを発症しています(国立がん研究センターの調査による)。30代後半から、40~50代の女性に多い病気ですが、中には20~30代前半でかかる女性も。そこで今回は、乳がんに関する基礎知識と、乳がんを予防するための生活習慣について、専門家の先生に教えていただきました!
今回のお悩み
乳がんが心配です!
体調不良で胸の調子が悪かったりすると乳腺が硬く、「乳がん……?」と不安になったりする。乳がんを予防するための食習慣が知りたい。
(30歳女性/不動産/事務系専門職)
乳腺が硬くなる理由は?
乳房には15~20の腺葉にわかれ、さらに多数の小葉に枝わかれした、乳腺といわれる組織があります。腺葉からは乳管が放射線状に出ていて、お乳を産生して運ぶ役目を果たしています。乳がんはこの乳腺から発生します。
この乳腺から発生する、乳がんと間違えやすい病気はいくつかあります。まず、女性ホルモンの働きで乳腺にむくみや腫れが起きて、正常な乳腺がしこりのように硬くなったり、痛みが出たりするのが特徴の乳腺症です。治療の必要はありませんが、触っただけでは乳がんとの判別が難しい場合もあるため、しこりや痛みを感じたら、必ず乳腺科を受診して確認することが大切です。
もうひとつは、主に授乳中の人に多い、乳頭から細菌が侵入して起こる乳腺炎です。授乳中でなくても、乳頭が陥没している人の場合、乳頭に老廃物がたまり、そこに感染が起きて膿がたまったり(乳輪下膿瘍)、乳腺炎に波及したりすることもあります。
一方、乳がんでもしこりができることがありますが、痛みがある場合とない場合とがあります。乳がんが乳腺の中で成長し、さらに乳腺の中だけでなく乳房の皮膚近くにまで達すると、見た目でわかるひきつれやくぼみができることがあります。また、しこりではなく、乳頭や乳輪の湿疹や分泌物、ただれが起きたり、乳がんの細胞が皮膚内のリンパ管などへ波及し炎症を起こす(炎症性乳癌)と、乳房の皮膚がオレンジの皮のように厚くなり、毛穴が目立ったり全体に乳房の皮膚が硬くなることもあります。
乳がんといってもさまざまな症状が起こるので、いつもとは異なる症状や変化に気づいたときには、自分で診断したり決めつけたりするのではなく、早めに乳腺科を受診して詳しく調べることが大切です。
ただし、乳がんが乳房の中に発生しても、初期段階ではしこりが小さかったり、痛みがなかったりするなど、自覚症状がないことも少なくありません。乳がんを確実に防ぐ方法はないため、心配な症状がなくても、1年に1度は検診に行き、乳房の健康を定期的に確認しておくことが、もっとも有効な予防策です。乳がんは早期発見することで、命を守ることができるだけではなく、女性にとって大切な乳房や将来の夢を守ることができるのです。