「ホウエ?」

俺は状況が飲み込めず間抜けな声を返しながら、
お辞儀でさらっと流れた黒髪に見惚れてしまった。

「我が主から、○○様がお堂にお泊りなので
 お世話をする様にと申し付けられ、
 ささやかでは有りますが、酒肴をご用意して参りました」

彼女が料理と酒の載った盆を俺の前に置く。

盆の上には大盛りの飯、山菜の味噌汁、大根や芋の煮物、
渓流魚の焼き物、たっぷりの漬物。

そして、徳利と杯が置いてある。