おじいさんは帰宅後、これを家の人にはなしました。

すると、家に来ていた分家筋の人たちが一斉に厳しい顔になり、

「直ぐに出て行け」と言い出し、

彼は新妻諸共叩き出されたそうなのです。

彼はいたく憤慨しましたが、それから年経るにあたって、
なんとなく理由を理解しました。

奥さんは三度流産し、結局子供が出来ませんでした。

「たぶん、あれは山の神様への生け贄で、
 自分が勝手に逃がしてしまったのだろう」

と、おじいさんは言いました。