「そんな時に限って具合が悪くてね、
 村の中でケガをするのが4件続いたんだよ。
 どうってこともない、ねんざまで数に数えられてね。

 どう見てもあれは、皆おかしくなってた。
 さらに噂に尾ひれがついて、
 『天狗に生贄を出さなくては皆殺される』とまで酷い話になっていた。

 そしてついに、本当に生贄を出そうという話をするようになったんだ。

 友達が死んだのは、木から足を滑らせて落ちたからなのに、
 完全に天狗のせいになってた。
 村の中の皆も、人が入ってはいけないところに踏み入ろうとしていた。
 
 それはね、人の命だよ。誰にもそれを奪う権利なんてないだろうに。
 じぃちゃんはね、天狗よりも、村の中の皆がすごく怖かったんだよ。
 だからね、じぃちゃんは、その村から逃げてきたんだ…」