小腸上部で消化吸収されなかった食物の残渣(カス)は、小腸の下部や大腸で腸内細菌の作用によって分解されるときに、ガス(腸内ガス)を発生させる。このガスのほとんどは腸管から吸収されるが、吸収しきれないものが肛門から排出される。
まずおならは以下の2つのタイプに分けられる。
1つめは「発酵型」。このタイプのおならは、大腸の入り口付近で善玉菌が炭水化物を分解し、二酸化炭素や水蒸気を出すため、ニオイがない。そのうえ、腸管を刺激して腸の機能を高めてくれる健康的な「よいおなら」だ。
しかし2つめの「腐敗型」は、大腸の出口付近で消化されなかったタンパク質を悪玉菌が腐敗させてできる悪臭ガスのことで、「悪いおなら」。
おならの成分は、約70%が窒素、炭酸ガス、水素、メタン、酸素で構成された空気。これは主に食事をする時にいっしょに口から入ったものだ。残りのうち20%ほどは、体内を流れる血液中のガスが、腸壁を通じて腸に出てきたもの。最後の10%程度を占めるのは、大腸~結腸で食べ物カスが細菌によって分解されて発生するガスである。おならの強い臭いの元はここに含まれる、硫化水素やインドール、スカトールといった成分だ。
腸内の悪玉菌の割合を減らし、善玉菌を増やす、これにつきるだろう。善玉菌にはビフィズス菌、乳酸菌が必須である。これらの菌が豊富なヨーグルトや乳酸飲料のほか、キムチや浅漬け、味噌・しょうゆなどを積極的に摂りいれ、善玉菌を活性化させよう。
近年注目されているのがオリーブオイル。主成分であるオレイン酸が、便自体を柔らかく、大腸の内壁を滑らかにして、一日大さじ2杯程度で「スルッ」といくようになるらしい。
おならが頻繁に出るという人は、姿勢を見直してほしい。姿勢が悪いと血液中の二酸化炭素の分圧が上がり、腸の中にガスがたまりやすくなるのだ。背筋をピンと伸ばすだけで、おならが少なくなるならこんな簡単なことはない。
ヨガなどで取り入れられている腹式呼吸は、ストレスと腸内環境に同時に効いてくれる。
1) 仰向けになって、鼻から息を吸いながら両膝を腕で胸の方に引き寄せる。膝を抱えた手はすねの辺りで組む。そのまま、5~10秒息を止める。
2) 口から息をゆっくり吐きながら両膝を顔の方に引きつける。頭も持ち上げ、体はできるだけ小さく丸めるようにする。
両膝を抱えることで胃腸が程よく圧迫され、ぜん動運動が促されるとともに、たまったガスが無理なく抜けていく。便秘解消や腰痛にも効果アリ。
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