坂本龍一の名曲 "CASTALIA"(キャスタリア)あれこれ

テクノポップブームを巻き起こした YMO のアルバム 「SOLID STATE SURVIVOR」の中でひときわ異彩を放つ一曲。RYDEEN や TECHNOPOLIS を聴くために購入したのに、CASTALIA の虜になってしまった・・・という人も。魔的な魅力を持ったこの曲についてあれこれと。(※NAVERまとめサービス終了に伴いFC2に移転)

FC2USER674688UKM さん

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YMO の大ヒット作「SOLID STATE SURVIVOR」に収録

1979年9月25日発売。1980年の第22回日本レコード大賞において優秀アルバム賞を受賞。CDの発売が開始された1982年以前にミリオンセラーを達成したアルバムは本作品を含め4作品のみ(残り3作は、井上陽水『氷の世界』、松山千春『起承転結』、寺尾聰『Reflections』)。

01. TECHNOPOLIS
02. ABSOLUTE EGO DANCE
03. RYDEEN
04. CASTALIA
05. BEHIND THE MASK
06. DAY TRIPPER
07. INSOMNIA
08. SOLID STATE SURVIVOR

"Transatlantic Tour" 出発直前の79年9月に、「テクノポリス」「ライディーン」というヒットを含むミリオン・セラー作『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』がリリースされる。サイドAは基本的にはファーストの流れを汲むノンストップ・ディスコ路線だが、その最後に武満徹の「弦楽のためのレクイエム」を意識したという坂本作品「キャスタリア」が初めてYMOの陰の部分を覗かせる。初期YMOのコンセプトはあくまでハリー細野がプロデュースする匿名の”楽団”だったのだが、ここで<天才的なポップス耳を持つ細野>と<現代音楽の理論でポップスを解体する坂本>というパワー・バランスが表層化し、その拮抗は散開まで続く。

2003年のソニー・ミュージック版リマスター発売を記念した特集号。YMO誕生前夜から散開、再生に至るまでの情報を、YMOを取り巻くミュージック・シーンの変化なども含めて考察した、レコード・コレクターズならではの濃厚な内容。この時点での全てのスタジオアルバム、ライブアルバム、映像作品、リミックス、レア音源までを網羅したディスコグラフィー。世界各国版のレコードコレクションなども。

A面
4. CASTALIA (キャスタリア)
速いテンポの曲が続いた後に静かに流れる、坂本のピアノを主体とした曲である。重く、暗い印象のこの曲はアルバムの中でも異色の存在感を放つ。

彼女(誰?)のために作曲した

坂本『・・・「うん、彼女のために曲を書こう」なんて思うことは、あるけど。・・・それがきっかけで作った曲は・・・・・・・確実なのは「キャスタリア」って曲。』

彼女って誰のことでしょうね?
時期的には矢野顕子さんかな・・・などと思うのですが、どうなんでしょう?

惑星ソラリスにインスパイアされた?

- 当時、惑星ソラリスにインスパイアされたと言われていて。・・・
坂本「そうだっけ(笑)。『ソラリス』は好きだったですけどね。・・・」

この曲のイメージは当初『惑星ソラリス』だったものが『サスペリア』になり、結局ギリシア神話を素材にして『キャスタリア』になりました。(細野)

独特の浮遊感を持った唯一無二の描写で、世界中の映画ファンを魅了する映画作家、アンドレイ・タルコフスキー。「巨匠」の代表作にふさわしい作品がこの『惑星ソラリス』である。原作はSF愛好家の間ではその名を知らぬ者はいない、ポーランドの作家スタニスワフ・レムの代表的な長編小説「ソラリスの陽のもとに」。人間の潜在意識を探り出して実体化する“海”が 存在する惑星「ソラリス」。極限状況に置かれた人間の姿を描いた作品。公開当時、スタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』へのロシアからの回答ともいわれたSF映画の傑作中の傑作!

音楽的な影響は武満徹から

坂本「・・・キャスタリアは、直接的な影響は、武満(徹)さんなんだよね。弦楽のためのレクイエムとか、・・・具体的にどれってことじゃないけど、下敷きになっているのは、武満さんの音楽なんですね。」

小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラ演奏による、第2回ヨーロッパ公演と初のアメリカ・ツアー/カーネギー・ホール101年目のシーズン・ガラ・コンサートのオープニングからの録音盤。弦楽のためのレクイエム、ノヴェンバー・ステップス、など収録。

2003年のソニー・ミュージックによるアルバムリマスター時の購入者特典。全10タイトルのライナーノーツに記載された3人のインタビューを一冊にまとめたもの。

非売品だったが、後に再編集され、「イエロー・マジック・オーケストラ(第2版)」として発売。

https://snakefinger.hatenablog.com/entry/20060720/p4

   ↓↓↓↓↓

出版社:アスペクト 
2008年1月16日 発行

いまだ伝説のグループとして愛され続けているYMO。メンバーである細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏が、それぞれの視点で、YMOの結成から「散開」までに一体何があったのか、何を考えていたのかが語られた史上最長のインタビュー集。02年にソニーより復刻されたCDに同封された冊子「OMOYDE」のインタビューを再録・再構成し、脚注、楽曲解説、年表も加えた「YMO」を徹底解説する愛蔵版。

キャスタリアの魅力は何と言っても、ポップスやロックでは聴き慣れない妖しいコードの響きと、めまぐるしく転調を繰り返す複雑なコード進行・・・

・・・なのですが、この複雑な和声は、ちょっと音楽をかじった程度の者には聴き取ることが難しい。また、バンドスコア等に掲載される頻度は少なく、掲載されても採譜がイマイチ不正確であったり、全然ダメだったり、実際に弾いてみると「何か違うぞ!?」と・・・コピーやカヴァーしようとする人泣かせの曲。

ちなみに、以下の楽譜に CASTALIA が掲載されてますが、現在は一部を除き入手困難。知ってる限りで紹介しますが、これらは教授本人が作成したものではないため、採譜の正確さは保証できません。悪しからず。

出版社:音楽春秋

アルバム
「Yellow Magic Orchestra」
「Solid State Survivor」
「Public Pressure」
から20曲をセレクト

http://www6.big.or.jp/~kenchi/score/ymoscore/01.html

出版社:音楽春秋

※上記 "PUBLIC PRESSURE" に、シングルから「過激な淑女」と 「See-Through」を追加して再販されたもの。

http://www6.big.or.jp/~kenchi/score/ymoscore/02.html

出版社:国際楽譜出版社

アルバム
「Solid State Survivor」
「Public Pressure」
「増殖✕∞ Multiplies」
から13曲をセレクト

出版社:音楽春秋
1981年 発行

アルバム
「Yellow Magic Orchestra」
「Solid State Survivor」
「増殖 ✕∞ Multiplies」
「BGM」
から28曲をセレクト

出版社:立東社

※楽譜コーナー
YMO「CASTALIA」from TECHNODON LIVE

出版社:ケイ・エム・ピー
1999年5月26日 発行

※ピアノソロ用アレンジです。
※後述する、坂本龍一氏がライブで演奏するピアノソロ・バージョンとは異なります。

出版社:リットー・ミュージック

※楽譜コーナー
「CASTALIA」YMO

https://www.rittor-music.co.jp/magazine/detail/2000202007/

出版社:ケイ・エム・ピー
2017年6月22日 発行

紹介文より:「Merry Christmas Mr.Lawrence」「Energy Flow」など、名曲を生み出し続けている坂本龍一の作品を、ピアノ・ソロにして集めました。最新アルバム「async」からも3曲掲載しています。原曲の雰囲気を大切にした上級者向けのアレンジになっています。

Castalia - "Playing the Piano 2013 in Yokohama"

でもやっぱり正確な楽譜が欲しい

・・・と思っていたら!!!
作曲技法の分析本である『坂本龍一・全仕事』および『坂本龍一の音楽』に、キャスタリアの本人直筆楽譜スケッチが掲載されており、本人の意図する正確なコード進行をそこで知ることができます(手書きなので見づらいのが難点)。メロディーとコード進行のみとはいえ、大きな手掛かりに。この2冊は、著者(山下邦彦氏)の独自理論による解説に賛否あるものの、坂本龍一氏自筆の膨大な楽譜スケッチや本人へのインタビューが掲載されており、研究資料としても貴重。

編・著:山下邦彦
出版社:太田出版
1991年12月24日 発行

FILES 2 イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)
p.78 SKETCH 39 「 Castalia 」メロディー+コード・プログレッション
※本人自筆の楽譜スケッチ(楽曲全体のメロディーとコード進行のみ)。
解説などは特になし。

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