"Transatlantic Tour" 出発直前の79年9月に、「テクノポリス」「ライディーン」というヒットを含むミリオン・セラー作『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』がリリースされる。サイドAは基本的にはファーストの流れを汲むノンストップ・ディスコ路線だが、その最後に武満徹の「弦楽のためのレクイエム」を意識したという坂本作品「キャスタリア」が初めてYMOの陰の部分を覗かせる。初期YMOのコンセプトはあくまでハリー細野がプロデュースする匿名の”楽団”だったのだが、ここで<天才的なポップス耳を持つ細野>と<現代音楽の理論でポップスを解体する坂本>というパワー・バランスが表層化し、その拮抗は散開まで続く。