AIが描いた絵画が4,400万円で買取!絵画の価値とは一体何が決めるのか?美術作品を後世に残すために

人工知能が描いた作品が4,400万円で落札。果たしてこれは「芸術作品」と呼べるのだろうか?

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芸術作品に値段が付くとはどういうことか?

2018年10月アメリカで「Edmond de Belamy, from La Famille de Belamy(エドモン・ド・ベラミー)」という作品タイトルの付いた1枚の絵が競売にかけられ、43万2500ドルで落札されました。

金箔の額縁に収められたこの肖像画は、暗い色のフロックコートと簡素な白い襟からするとおそらくフランス人の紳士で、教会の人に見える。また、作品は未完成のようであり、顔の特徴はやや不明瞭で、キャンバスには空白部分も見られる。

奇妙なことに、全体の構成は北西に少し傾いている。壁に貼られたラベルには、モデルの人物はEdmond Belamyという名前の男だと書かれているが、作品の手がかりとなるのは、右下のアーティストの署名ならぬ、括弧がたくさんついた代数の数式が規定するアルゴリズムである。

予想価格7,000(約79万円)~10,000(約113万円)ドルに対し、432,500ドル(約4894万円)の落札価格をつけた

GAN(Generative adversarial network)と呼ばれる技術によって生成されたこの絵画は、14世紀から19世紀の間に描かれた15,000点の肖像画によってトレーニングされた人工知能が生成した作品です。

人工知能自体はアメリカの19歳の少年が制作・公開したオープンソースコードであったため、2次制作物で利益を得ることはどうなのか?と当時は物議を醸したのだと言います。

left: the "AI generated" portrait Christie's is auctioning off right now

right: outputs from a neural network I trained and put online *over a year ago*.

Does anyone else care about this? Am I crazy for thinking that they really just used my network and are selling the results?

(原文訳)

左:クリスティーが今競売にかけている「AIが生成した」肖像画

右: 私が1年以上前に訓練して公開した肖像画(冒頭に掲載した43万ドルで落札された肖像画)

そこで今回は、

芸術作品に値段が付いて販売されることとは、どういうことなのか?
機械が描いた作品は芸術だと言えるのか?
人が制作した価値のある作品を後世へ伝えるためにはどうするべきなのか?

などについて、芸術品を取り扱うメディア運営者の観点から説き、まとめていこうと思います。

絵画買取は定価というものが決まっていません。そのため、人気作家の絵画であるほど高額になります。古く希少価値の高い作品があれば、ぜひ一度鑑定に出してみてください。

芸術家・アーティストが制作した作品に「値段が付く」とは一体どういうことなのでしょうか?
実際のアーティストが作品に値段を付ける場合の価格設定方法を見てみましょう。

①絵画の大きさに応じて値段を付ける方法

最もベーシックな価格設定だと言われている方法は、絵画の大きさに応じて値段をつけていく方法です。
絵画には〇号と数えるサイズ単位があり、単位ごとに値段を設定することで絵画の値段をわかりやすく算出します。

この場合、0号、1号、 SM(サムホール)は大体一緒の大きさであると考えて、掛け算する方もいらっしゃるようです。

<例>1号あたり10,000円の価値があるアーティストが制作した絵画

3号の絵画の値段=30,000円(3×10,000)

②時給計算して値段を算出する方法

アーティストごとに時給単価を設定していて、1本の作品を制作するために投じた時間に応じて価格設定する場合もあります。

「たとえ時給10,000円でも、絵を買ってくれる人は買う」


一番最初に絵の依頼が来た時はB1(728×1080)サイズをたったの2万円で売ってしまったがこれは良い経験になった。描いた時間と手元に残らないと言う事を考えると2万円では割に合わないのだ。(中略)

どうしても絵が欲しいと頼まれたので、自分でも高いかもしれないと思うほどの金額を提示して断ろうとしたところ、相手は何の躊躇もなく承諾してくれた。

ここでは、

「(自分の作品を販売するのであれば)その良し悪しを決めるのは作者ではなくお客さんである。」という考え方が重要になります。

どれだけ作品の金額が相場から離れていようが、自分の作品を気に入った人がいれば購入されるし、いなければ購入されません。

どれだけ無名のアーティストの作品であっても、人に訴えかける「何か」があれば買い手が見つかります。

世界的な画家の作品だとしても、その画家を好まない人は作品にお金を払おうとは購入しようと思わないはずです。

したがってある一面では、「買い手さえつけばどんな値段であっても」「ある作品は "芸術" として認められる」という事が言えます。


また絵画の値段は、「アーティストの印象」や「いかに作品を大事にしているか」という姿勢なども影響するようです。

作品に価格をつける際の注意点として、絵画、イラストなどに関しては

一度つけるとそこから値下げするのは難しいということを忘れずに

こうした作品に関してはむやみにプライスダウンなんてことをしてしまうと作家のイメージダウンになってしまいます。つまり作家が作品を大事にしていない印象を与えちゃいますね。

ということは、43万ドルの買値が付いた人工知能による絵画は、「芸術作品」として十分足る存在なのでしょうか?


次章では同様の切り口で「機械が制作した作品」について考えてみます。

人工知能(AI)が制作した絵画を芸術作品と呼べるのか?

アーティスト軍団のObviousがAIに制作させた絵画について言うのであれば、43万ドルもの大金を支払ってまで購入したいと思った人物がそこにいる限り、それは立派な「芸術作品」であると表現できることでしょう。

人工知能が機械学習を通し、ある一定のアルゴリズム従って、無造作に出力した作品だったとしても、そこに心打たれる人物が存在するのであれば「芸術」として成り立つからです。

この論点については「人工知能(AI)が出力した作品には完全なオリジナリティがない」と反論している方も多い様です。

人間から作品の情報(=学習データ)が提供されなければ、AI(人工知能)は作品を創り出す能力を身につけることはできません。ただし、あくまで学習データを得て生み出されるのは「それっぽい作風」の作品であり、厳密に言えばオリジナル作品とは呼べないでしょう。

しかしながら、オリジナリティのないAI(人工知能)による芸術作品について、さらに反論する意見もあります。

人間が創り出す様々な作品も、過去の作品の影響なしに生まれないのもまた事実です。絵画や音楽、文学にしても、アーティストと呼ばれる人たちの大半は先人たちの創り出した多様なジャンルの作品に触れ、影響を受けながら自らの作品を生み出しています。

人間は外部からの影響が全くない「完全なオリジナル作品」など作れるはずがない。ある人間の思想や行動は、少なからずこれまでに関わってきた人間の影響を受けているから。

という哲学的な反論。(まとめ著者補足)

人による芸術作品を後世へ伝えるためには?

これから起こるだろうIT技術の革新に伴い、今回話題に挙げた「絵画を描く人工知能(AI)」のクオリティや応用度もどんどん進化していくことでしょう。

そのような状況下では「人間が描いた作品と機械が描いた作品の見分けがつかなくなってしまう」ことがいずれ起こるのではないかと危険視されています。

それでは、今日まで過去のアーティストが創り上げて来た芸術作品をどのようにして守り続けていくべきなのでしょうか?

同じ家族でも美術品に対しての好みや熱量は異なる事が多く、後々手放されてしまうというケースに遭遇します。最も悲しいのは、相続人が専門外の業者に処分依頼をしてしまうケースです。大切だからこそ先の事を見据えて丁寧に整理する必要があります。

美術品・芸術品とは文化です。しかるべき状態で後世へ残すべきだと考えております。
資本主義の世の中で文化である美術品・芸術品を作品として残すためには、常に市場で評価され価値を見出されなくてはなりません。

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