護岸や斜面の保護に大切な日本の石技術の蛇籠(じゃかご)・ふとんカゴ

石工技術のひとつで日本古来より護岸や山の斜面を保護してきた蛇籠の解説。

燃えPaPa さん

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蛇籠(じゃかごとは)

蛇籠/蛇篭(じゃかご)とは、竹材や鉄線で編んだ長い籠に砕石を詰め込んだもので、河川の護岸や斜面の補強などに使用されてきた。石籠(せきろう)、じゃこ ともいう。英語では "gabion" がこれに近く、現代のものに限ればほぼ同義語ともいえる(英語のほうが広義)。
日本語の「蛇籠/蛇篭(じゃかご)」という名称は、設備としての完成形が蛇に似た形状で組み上げられる籠であることに由来するか、あるいは、昔から河川に蛇の伝説がつきものであったことに由来すると考えられている。なお、用字の「籠」と「篭」の違いは、前者が正字、後者が俗字で、どちらを用いてもかまわない。中国語では、「蛇籠(簡体字:蛇笼)」「石籠(石笼)」「箱籠(箱笼)」という。

英語やフランス語では "gabion" (中世フランス語 "gabion" 〈= two-handled basket、1570-1580年初出〉が直接語源)が、ドイツ語では "Gabione" が、日本語「蛇籠/蛇篭」に最も近い語であるが、これらは同じ意味のイタリア語 "gabbione" を語源とし、gabbione は「ケージ(籠)」などを意味するイタリア語 "gabbia" を語源とする。さらに、イタリア語 gabbia の語源はラテン語で「ケージ(籠)」などを意味する "cavea" であるとされる。 [ Eng: gabion, Ger: Gabione, Fra: gabion < Ita: gabbione < Ita: gabbia (=cage) < la: cavea (=cage) ]
蛇篭とは、災害復旧及び河川改修の現場で選択される各種工法のうちの一つで、めっき鉄線など使用した金網製のかご状構造物の内部に、自然石、砕石などを中詰めして、河川工事に使用する伝統的工法である。
河川・海岸・治山などの土木事業で、それぞれの形状や特性を生かし、護岸、根固め、水制、床止め、耐震、擁壁、排水といった様々な目的で用いられる。近年、防災性だけでなく、「多自然型川づくり」が要望されるようになり、多様な生物の生息空間(ビオトープ)作りに役立っている。

緑化を目的とした蛇籠もある。「二重ふとん籠」は、パネル式ふとん籠の内側に内張りネット、植生シートなどをあてがい、現地発生土を詰めて、自然の回復、保全を促進させる。また、“めっき籠枠”“籠枠”と呼ばれるふとん籠に比べて高強度・高耐久性のふとん籠が施工性とライフサイクルコストの向上を謳って工事品質の向上に一役買っている。
蛇籠は枠線と金網から構成され、金網はめっき鉄線で編む菱形金網とする。 円筒形蛇籠は、胴網、蓋、丸輪、閉じ線で構成されており、胴網を広げ、丸輪を押入し、両端に蓋網を取り付けて完成。角形蛇籠は、丸輪ではなく中枠・骨線を押入する。
蛇籠は、中詰め材の流出や目詰まり、ずれ落ち、金網の破損や変形、生態系や景観への悪影響などの問題が発生する可能性があるが、蛇籠本体や周辺環境の定期的な点検、技術の進展に伴う製品の改良によって、これらの問題に対処している。

蛇籠施工のプロで、全国で工事を請け負う石工の専門業者です。

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