血液中で増加している細胞を顕微鏡で詳しく調べます。急性骨髄性白血病の特徴として、白血球の数は増加から減少までさまざまですが、白血球の一種である好中球は減少しています。幼若な白血病細胞と残存する成熟細胞のみが見られ、中間の成熟細胞が見られない白血病裂孔(れっこう)という現象があらわれます。
骨髄穿刺(こつずいせんし)や骨髄生検は、診断と病型分類のために重要な検査です。採取した骨髄液や骨髄組織から染色体や遺伝子、血液細胞の表面に発現している抗原(細胞表面マーカー)などを解析します。これらの解析は、治療効果を判定する上でも重要なため、治療中もたびたび検査が実施されます。
染色体検査や遺伝子検査は染色体の構造や数の異常を調べることで、診断や病型分類、治療方針や治療効果の判定、予後の判定などが可能で、重要な検査です。急性骨髄性白血病の場合は、病型に関連する特異的な染色体異常があり、その異常に伴う遺伝子異常もみられます。
「HTLV-I」というウイルスにより成人T細胞白血病を発症すると言われています。ただし、HTLV-1ウイルスに感染したからといって、必ず成人T細胞白血病にかかるわけではありません。HTLV-I以外にも白血病との関係が疑われているウイルスは数多くありますが、いずれも詳しいことが分かっておらず、今後のさらなる研究が期待されています。
細胞が生まれて、分化し、死んでいく、というターンオーバーが起こるたびに、遺伝子異常というのはある一定の頻度で起こります。そのため、年齢を経るほど遺伝子に傷があるものも多く生まれ、それが白血病化するのだと考えられます。
若い方でも、造血幹細胞は他の組織に比べて常に激しくターンオーバーが起こっているため、白血病化の可能性があります。
急性骨髄性白血病の治療では、骨髄中の白血病細胞を死滅させることで速やかに患者さんの骨髄機能を回復させることを目標に、多剤併用化学療法を行っています。
若年者の急性骨髄性白血病の場合、第一に行うのが寛解導入療法です。寛解導入療法ではアントラサイクリン系の抗生物質とシタラビン(代謝拮抗薬に分類される抗腫瘍薬で、DNAを複製する際に必要となる物質と拮抗した機能をすることで抗腫瘍効果を示します)を組み合わせた治療法です。
急性前骨髄球性白血病では(これに限らず急性白血病すべてに当てはまりますが)、造血幹細胞からの分化ができなくなることで未熟な白血病細胞が大量に増殖する病態を呈していました。
分化ができなくなる理由は、PML-RARαという分化を導く酵素の働きを阻害する物質が急性前骨髄球性白血病では発現しているからであり、この物質をさらに阻害してやることでPML-RARαの機能を正常にし、前骨髄球以降に分化を進め、病状を回復させます。
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