企業には従業員の行為に対して責任を負う使用者責任があります。使用者責任とは、業務またはそれに付随することで、第三者に危害を加えた場合、被害者に対して事業主が賠償責任を取ることです。
使用者責任とは?使用者責任に関する基礎知識
使用者責任という言葉を知っていますか?企業は従業員の行動に対して責任を負う必要があり、これを使用者責任といいます。これによって企業側に多額の賠償が生じる可能性もあります。今回は使用者責任について基礎的な知識を解説していきます。
従業員同士のセクハラ・マタハラや、交通事故や障害事件で外部の人にケガを負わたり、職権を乱用して詐欺や不正行為を働いたりして第三者に損害を与えると、被害者は企業に対して損害賠償を請求することができます。
マイカーを社用で使用していることを会社が容認していた場合は、その自動車を利用して会社としての業務を行っていたといえるので、それは会社の自動車を使用していたのとほとんど変わりありません。したがって、原則的には、使用者責任、運行供用者責任が認められると考えられます。
したがって、マイカーが日常的に会社の外勤等の業務に利用されていて、会社がガソリン代を支給したり、駐車場を提供したりするなど、会社もこれを容認しているような場合は、やはり会社がマイカーを業務のために利用していると評価できるので、使用者責任や運行供用者責任が認められることになります。
マタニティハラスメントとは、妊産婦に対するいじめや嫌がらせ、不当な扱いをする行為です。「妊産婦」という理由だけで嫌味を言ったり、退職を勧めてきたり、圧力をかけられたりなどがあります。
ハラスメントをした加害者は,民法上の不法行為責任を負い,被害者に対して損害賠償義務を負います(民法709条)。もちろん,ハラスメントにあたって暴行や強制わいせつなどを行えば,刑法上の暴行罪や強制わいせつ罪等に問われます。
この加害者の被害者に対する責任については,企業は加害者の使用者として,加害者と同じ損害賠償義務を負うことがあります。これが使用者責任と呼ばれるものです(民法715条)。
対策として絶対に欠かしてはならないのが、賠償責任保険への加入です。訴訟の際に必要な費用を補償してくれる保険であるため、大きな損害を被ることを未然に防ぐことができます。
基本的なイメージとして、争訟を行って敗訴となった場合に保険にて補償されるというのがあると思いますが、実は勝訴の場合でも争訟費用として補償が出ます。
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