国内で99.7%ともいわれる中堅&中小企業
なぜSHARPや吉本興業が中小企業に?減資を行うメリットデメリット
最近減資をす大企業が話題となっています。なぜ多くの資産を持っている大企業が減資をするのでしょうか?
気になったので、減資のメリットとデメリットについてまとめてみました。同じような疑問を持っている方はご覧ください。
Twila31 さん
シャープは1200億円以上ある資本金を1億円に減らす計画を断念する。資本金1億円以下は「中小企業」とみなされるため、税制上の優遇措置を受けて収益回復などにつなげる考えだった。
大企業による異例の大幅減資への批判を考慮し、資本金は5億円にする。
芸能プロダクション大手の吉本興業が、事業の元手となる資本金を約125億円から1億円に減資する。
吉本興業は「1億円減資」について、「取り崩した資本金を、中長期的な投資に回すのが目的です」と説明している。
減資とは、会社が資本金の額を減少させることです。減資の主な目的は、過去の損失を補填し、決算書の内容を良く見せたり、経営の再構築を図ったりする場合等に行います。上場している会社の場合、減資することで1株あたりの利益が増えますので、株の魅力が増し、新たな資金調達に繋がる場合もあります。
経営が悪化した企業は剰余金や法定準備金で損失を埋めるが、それでも足りないときは資本金を取り崩して損失を穴埋めすることになる。資本項目を変更するだけの形式的なものと、資本金の減少と同時に資産も減る実質的なものがある。前者が損失の穴埋めなどに利用される。
累積赤字の補てんとは、貸借対照表の資本金と繰越欠損金を相殺することです。累積赤字を補てんする理由は主に2つあり、将来の配当原資を確保しやすくすることと、単に自社の貸借対照表の見た目を整えることです。
基本的には営業利益を拡大して売上を増やし、経費を減らして経常利益を高めていく、というのが赤字を減らす一番正しい道です。しかし、この方法ではもう手がつけられない状態の企業(シャープなど)もあります。 その一つの方法が「減資」による累積赤字の補填です。
節税メリット
☑ 1.法人税の計算の際に、軽減税率を利用できる。
☑ 2.交際費800万円まで全額を損金にすることができる。
☑ 3.30万円未満の減価償却資産は全額損金算入できる(上限年間300万円まで)。
☑ 4.特定同族会社の留保金課税が免除になる。
☑ 5.欠損金の繰越還付を受けることができる。
☑ 6.法人事業税の外型標準課税が免除になる。
☑ 7.法人住民税の均等割税金が安くなる。
減資を行う会社のほとんどは、財務状況が良くありません。資本金の減少は、会社の責任財産の減少となるため、会社の債権者利益に大きな影響を及ぼし、対外的に信用力の低下をもたらします。
減資は多くの減税効果をもたらしますが、株主・債権者・取引先・金融機関といった第三者への影響も大きいため、総合的な判断と、税務の影響についての効果の試算が必要でしょう。
会社ホームページや会社案内等で、資本金と資本準備金の合計金額を開示している資本金1億円超の会社の場合は、資本金を1億円以下まで無償減資して資本準備金に振り替えることにより、信用力の低下リスクを低くおさえつつ、税務メリットを享受できます。
原則として、減資をするには株主総会の特別決議が必要です。なお、増資と減資を同時に行う場合において、減資の効力発生日後の資本金の額が効力発生日前の資本金の額を下回らないときは、取締役の決定(取締役会の決議)でもよいとされています(会社法第447条3項)。
原則は上記のとおりですが、株主の利益が損なわれることがない場合には一定の例外が認められています。
例外が認められているのは以下の二つのケースです。
①欠損填補の場合→定時株主総会の普通決議で可能
②増減資を同時に行う場合→取締役(会)の決議で可能
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