1973年に日本で青カビから最初のスタチンが発見
最近登場した天然物由来の医薬の多くは、細菌など微生物が生産したものです。理由はやはり細菌が極めて多様性に富んだ化合物群を作り出すこと、そして培養によって増やし、量産化することが容易だからです。
以来、8種類のスタチンが日本や世界から販売され、脂質異常症治療を大きく変えました。
コレステロールが体内に蓄積するのを抑制するメバスタチンがアオカビから発見され、その誘導体メバロチンは国内だけで年間売上1000億円を突破するヒット薬につながった。
メルクは膨大な動物実験でロバスタチンに発ガン性がないことを証明し、87年にFDAの認可を得て、商業化"スタチン"第1号として発売(コンパクチン同族体を"スタチン"と総称する)。
全てのスタチンはコンパクチンと同じメバロン酸類似の基本骨格を有している。
三共の研究陣は、当初からコレステロール合成阻害物質の捜索に的を絞った。そして青カビの一種から強力なコレステロール合成阻害作用を持つ「ML-236B」を発見(73年)。
ML-236Bの実験をマウスに絞って行っていたが成果はなく、ニワトリでもだめだった。しかし、たまたまイヌに行ったところ、劇的な効果があり、初めて「メバロチン」という物質の発見につながった。これを大量生産するためにまた一苦労はあったのだが、オーストラリアの土壌から発見された放線菌との組み合わせによって何とか可能になった。
三共は、更に研究を進め、臓器毒性の少ないメバロチンを発見した。メバロチンは水溶性の物質で、脂溶性のメバスタチンより副作用が少なく、尚且つ強力な作用を有していました。
同時期には、三共からデータ等を提供してもらっていた米メルク社がメビリン(後のロバスタチン)を発見しました。この両物質は同じものでした。その後、メルク社は開発のスピードアップとその副作用を克服し、1987年秋には「世界初のスタチン製剤」ロバスタチンがFDAの認可を得て発売されました。(日本国内では、類似化合物シンバスタチン:リポバスを発売した)
プラバスタチンはコンパクチンのデカリン骨格のC6β位に水酸基が導入された化合物であり、コンパクチンに比べ試験管内実験で10倍の阻害活性があることが明らかになった。
出典 http://koueki.jiii.or.jp/innovation100/innovation_detail.php?eid=00084&age=stable-growth&page=keii
コンパクチンをイヌに投与し尿中活性代謝物を調べる実験を行ったところ、コンパクチンより活性及び標的臓器への選択性が優れた新たなスタチンを見いだした。
最も古いスタチン系のお薬はメバロチンですが、メバロチンは他のお薬が肝臓で代謝されるのに対して、唯一腎臓で代謝されるお薬です。
プラバスタチンは、主に腎臓から消失します。ですので、薬物相互作用を考えるとき、肝臓での代謝酵素関係の相互作用はほとんどないと考えられます。
本剤の代謝は、CYP3A4を阻害する薬剤(イトラコナゾール、ジルチアゼム)との併用により、有意な影響を受けなかったとの報告がある。
プラバスタチンナトリウムは主として肝臓で酸化、異性化、抱合(主としてグルタチオン抱合)を受けて代謝されると推定されている。
プラバスタチンが水溶性を有すること、また肝細胞選択的であることは、安全性に貢献すると考えられた
出典 http://koueki.jiii.or.jp/innovation100/innovation_detail.php?eid=00084&age=stable-growth&page=keii
服用後1時間程度で最大血中濃度に達する。作用は12時間程度持続する。
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