【薬のまとめ】アルダクトンA錠

成分名:スピロノラクトン

TAMA1982 さん

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カリウムを保持したままナトリウムを排出する利尿薬(抗アルドステロン薬)

遠位尿細管のアルドステロン依存性ナトリウム-カリウム交換部位にはたらき、アルドステロン拮抗作用により、ナトリウム及び水の排泄を促進し、カリウムの排泄を抑制する。

スピロ環(一原子結合の二環式有機化合物)とラクトン(環状エステル)を併せ持つ。

受容体とアルドステロンとの結合に拮抗することによりK+保持性の利尿作用を示す。

スピロノラクトン(アルダクトンA®)は,アルドステロンに拮抗しナトリウムチャネルを抑制することにより,ナトリウムの再吸収を抑制します。

ナトリウムイオンの再吸収により尿細管腔内が電気的陰性になり,細胞内から管腔内へのカリウムの分泌が促進されます。カリウム保持性利尿薬の使用によりナトリウム再吸収が抑制され,カリウムの分泌も減少し,カリウムが保持されます。

スピロノラクトンなどの抗アルドステロン薬はこのアルドステロンの作用を抑えることによって、ナトリウムや水分の再吸収を抑え結果的に尿としてナトリウムや水分を排泄させることで利尿作用(尿の量を増やす作用)をあらわします。

腎臓の中にある遠位尿細管という場所では、尿中のナトリウムや水分を血液中へ戻す作用(再吸収)が働いています。ここでの再吸収に関わっている主な物質がアルドステロンです。

低K血症予防にループやチアジドと併用されることが多い

主に心不全、肝硬変性腹水、高血圧治療薬としてフロセミドやクロロチアジドと併用される。

肝硬変になると門脈圧亢進症(肝臓に流れ込む門脈という血圧が上がる)の影響を受けたり身体の中からアルブミンという物質が減少したりするため、腹水(お腹の中のスペースに溜まる水)が増えます。

ループ利尿薬のみでは低カリウム血症が起きやすいため,カリウム保持性利尿薬やカリウム製剤の併用を行います。

ナトリウムのみ排泄しカリウムの排泄を抑えるので、サイアザイド系利尿剤やループ利尿剤などの使用によって生じる低カリウム血症を予防する併用剤として用いられたりもします。

カリウムの排泄を緩やかに抑える作用もあらわすため、カリウムが排泄されやすくなる傾向があるフロセミド(主な商品名:ラシックス®)などのループ利尿薬と一緒に使うことによって、低カリウム血症をおこりにくくするメリットなども考えられます。

肝硬変などによる腹水に対してはスピロノラクトンなどの抗アルドステロン薬を(利尿薬として)単独で使ったり、フロセミドなどの他の利尿薬と併用する治療などが行われています。

ニキビや脱毛症の治療にも利用されることがある

女性ホルモン作用を併せ持つため、高血圧治療薬としては歓迎されないものであるが、これを応用して男性型の脱毛症治療薬として利用する方法がしばしば散見される。

別の働きとして、男性ホルモン作用をブロックする作用があり、その作用を利用してニキビの原因となる男性ホルモンの働きを抑え、大人ニキビを改善します。

利尿効果とは別に、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑える作用が認められており、この作用により大人ニキビを改善していきます。

利尿作用を利用した高血圧治療薬ですが、別の働きとして、「男性ホルモン」の働きをブロックする作用があり、過剰な皮脂分泌を抑制して、女性の成人型ニキビを改善します。

中止後にリバウンドが起きにくいのが特徴です。

スピロノラクトンを服用する事で女性ホルモンを疑似的に体内に増やすことができるため、脱毛や薄毛に効果が出るのです。

DHTは女性ホルモンの活動によってその働きを阻害することができる。スピロノラクトンは女性ホルモン様作用がある。

スピロノラクトンは、黄体ホルモンのプロゲステロン(Progesterone)様作用を併せ持っているので、見た目に関する問題を改善するためにも利用されています。特に、注目されているのがAGA(男性型脱毛症)という症状に対しての有効性です。

この療法の元となった論文が「アンドロゲン依存性脱毛症の女性患者のスピロノラクトンによる治療効果の定量的評価」という1991年にアメリカで発表されたものです。

臓器保護作用、特に心筋保護作用が注目される

スピロノラクトンは左室収縮能不全に伴ううっ血性心不全には利尿効果のみならず心筋保護作用もあることから有用性が言われている。

HFpEFだと分かったら、スピロノラクトンをなるべく早い段階から投与することを考えるべき

明らかに心不全症状を呈するものの左室駆出率(LVEF)が保持された心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)に対する有効な治療法はいまだに確立されておらず、予後も決して良くはない。

スピロノラクトンが重症心不全患者の予後を有意に改善することが報告されました。慢性腎臓病(CKD)に対しても、ACE阻害薬あるいはARBにスピロノラクトンを併用することによって、アルブミン尿(蛋白尿)が著しく減少することが明らかにされています。

スピロノラクトンの臓器保護効果が注目されています。

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