1817年に初めて、ジェームズ・パーキンソンが「振戦麻痺に関するエッセイ」で、後に彼の名を冠することになる病気について初めて述べました。19世紀後半、フランスの神経内科医シャルコーは、以前は「振戦麻痺」と呼ばれていたこの病気を「パーキンソン病」と呼ぶことにより、ジェームズ・パーキンソンを賞賛しました。シャルコーはまた、振戦を伴わないタイプのパーキンソン病についても記載し、パーキンソン病にみられる動作の鈍さは、もともとジェームズ・パーキンソンが考えた「筋力の低下」とは異なった病態であることを指摘しました。
1919年に、パーキンソン病では中脳の黒質の神経細胞が脱落することが発見されました。
また、パーキンソン病では、運動症状以外にも、便秘や頻尿などの自律神経の症状、不眠などの睡眠障害、うつ症状などの精神症状、認知機能障害などがみられることがわかっています。これらを非運動症状と呼びます。うつ症状は患者さんの約半数にその傾向があるといわれていて、患者さん自身や家族の方も気づかないことの多い症状です。認知症は病気が進行すると約2割の方にみられます。非運動症状は、患者さんやご家族と医師との間に、意志の疎通がよくとれていて、はじめて気づかれる症状です。気になることがあれば、気軽に主治医の先生に相談してください。
しかしパーキンソン病には、10代、20代、30代の働き盛りに発症するタイプの、遺伝的要素の強い若年性パーキンソン病(AR-JP)と呼ばれるタイプがあるのです。
若いのに、指がぴくぴくする、手足がふるえる、歩きにくく「すくみ足」が出たりする、体がこわばって強い痛みが生じる、そして他の病気が見つからず、心療内科などの治療でも一向によくならない…。それは若年性パーキンソン病かもしれません。
専門家にも知らない人が多く、正しい診断に至る道のりは非常に険しく、精神科の病気などと誤診され、漫然と効果のない治療を受けつづけている人も少なくないと思われます。
ゆっくりと進行するのが特徴です。
パーキンソン病は、何年もかけてゆっくりと進行する病気です。
以前は、「パーキンソン病を発症すると、10年後には寝たきりになる」といわれていました。
しかし、現在は効果的な治療薬もあるため、発症から長い年数にわたり、よい状態を保つことができます。
それだけに、早い段階からきちんと治療を始めることが大切です。
ヤール重症度分類によって、パーキンソン病の重度を区別できます。
1度なら軽度、5度なら重度です。
3度以上には活動が制限され、病気が進行すると介助が必要な状態になってしまいます。
病院では、パーキンソン病には基本的に投薬による治療を行いますが、この薬で副作用の出る場合があります。吐き気や眠気、起立性低血圧、足のむくみをはじめ、長い間薬を服用することで、体が勝手に動くジスキネジアや、薬の効きが悪くなるオンオフ現象が起きるケースがあります。
パーキンソン病は放っておいても手の震えが起きる症状が見られます。しかし、パーキンソン病の投薬治療をしているとその副作用で手の震えが起きる場合も。このような症状が起こったら、副作用なのか病気の症状なのか医師によく診てもらう必要が生じます。
- 1
- 2