出ていくとまた赤毛布の男である。
彼は「病人はとても朝までもたなそうだから、
女房も呼んでくれと言われ、迎えに来た」と言った。
細君はすわ大変とばかりに、子供と親しい近隣の家にあずけて男とまた一緒に出ていった。
すると1,2時間たって、今度は子供を頼んだ隣家の戸を叩く者がいる。
また赤毛布の男で、顔は見えない。
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「両親が、子供も連れてきてくれというので迎えに来た」と男は言った。
しかしその家の細君は、こんな夜中に子供に風邪をひかせては大変だし、
もうぐっすり眠っているから明日にしておくれ、と言った。
男は再度頼んだが、彼女は頑として応じなかったので、
赤毛布の男は不承不承、帰っていった。