最初に書いておくが、この事件は迷宮入りであり、犯人はわかっていない。
昭和10年代、福井のある村で、ある小売商の家に夜半10時頃、訪問者があった。
本家からの使いです、といって表戸を叩くので、
細君が起きて出てみると、赤毛布を頭からすっぽりかぶって、
本家の提灯を持った男が軒先に立っている。
本家で急病人が出たから、呼んできてくれと頼まれたというのだ。
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急いで亭主はその男とともに家を出ていった。
本家からその家までは8キロほどある。
亭主を送りだしてやった妻は心配しながらも、
子供たちを再度寝かしつけて、自分もうとうととした。
しかし2、3時間後、また戸を叩く音がした。