実のところ、一神教が他の宗教を認めないというのはその出自に理由が求められます。歴史的に見れば一神教は新しい宗教で、元をたどれば多神教から生まれたものといえます。
キリスト教とイスラム教はユダヤ教から派生したもの、といえますが、そのユダヤ教は古代ペルシアの「ゾロアスター教」に強く影響を受けて生まれたものとされています。ゾロアスター教は善神アフラ・マズダーと悪神アンリ・マンユの善悪二神の対立に象徴される善悪二元論を基本としていますが、原初の形態の一神教と考えられています。アンリ・マンユはアフラ・マズダーの一部が分離したものという考え方で、元々多神教的にさまざまな役割を持つ神々がいましたが、それらを「天使」としてアフラ・マズダーに帰属させることで「一神教」としての体裁を固めていったものと思われます。