「モーセの十戒」も、最初のひとつめが「神は唯一で、他の神などあってはならない」というもので、契約したものは他の神(宗教)の存在自体を認めないという立場になります。これが契約の第一項なのですから、一神教を信じるものは唯一神を信じないほかの宗教とは対立が運命づけられてしまっているわけです。人間の長い歴史において宗教的な対立から戦争になることが多いのも当たり前といえそうですが、もっとも対立の激しいキリスト教とイスラム教は、信奉する神が同一であるため、ここまでの流れで語ってきた宗教的対立ではなく、広い視野で見れば内部抗争みたいなものだったりするのですからおかしな話です。