ところで、神が世界すべてを造ったとするならば、どうしてわざわざ対立する「悪魔」などという存在も造ったのでしょうか。一種の矛盾ともいえそうなこの問いに、神を信じる人々はさまざまな理由を考えています。そのうちのひとつが、強い力を持つ天使が野心を持ったため神に罰せられ「堕天使」となり、それが悪魔となったというものです。「にわとりが先か、卵が先か」みたいなことにもなりかねない、後付け感の強い設定ではあるのですが、そこから大天使ミカエルと悪魔ルシファーがもともとは兄弟だったといった魅力的な話に発展していくことで説として支持を集めていったものと思われます。
ともあれ、天使も悪魔も神によって造られた存在ということになるわけですが、これこそ「一神教」らしい考え方といえます。神(唯一神)こそが絶対的で、並び立つものはいてはならないのです。