売主側からみれば、契約がいつになるか分からない(契約前にその申込みが撤回されるかもしれない)「購入希望者A」よりも、「購入希望者C」を優先したくなることもあるはずです。申込みの順番にかかわらず「早く契約ができる人」を優先することは、「契約優先」あるいは「手付優先」といわれます。
もし、「購入希望者A」が住宅ローンを利用する(特約による白紙解除のリスクがある)予定なのに対して「購入希望者C」が現金購入の場合、あるいは「購入希望者A」には価格交渉(値下げ要求)があるのに対して「購入希望者C」にはそれがないような場合なら、売主はなおさら申込みの順番にこだわりたくないでしょう。
そのほかにも物件や売主の状況などに応じて、住宅ローンの事前審査が先に下りた人と契約をする「ローン優先」、残代金を早く支払える人と契約をする「決済優先」などもあります。また、上の図で「購入希望者B」と契約をすれば、売主側の仲介業者は売主と買主の双方から手数料を得られるため、申込みの順番や条件にかかわりなく「購入希望者B」が優先されることもあります。